第103話 魔王と過ごす夜
……
相変わらずの図太さというか、たくましさというか……。
3つの赤い月の光が、窓からぼんやりと
その不気味な光のせいで、
クリスタルの柱が、まるで
(
人間界とは
呼吸するたびに、金属のような味が口の中に広がる気がする……。
クリスタルに
……キィン。
ふと、どこか遠くでクリスタルの音が
続いて、かすかに歌声が聞こえてくる。
(イリス……?)
確かに、どこからともなく歌声が
ベッドから降りると、冷たい
その
クリスタルが混ざった
……ほんとに
そっと
その光が
遠くには
そこに、イリスの姿があった。
その声に導かれ、
けれど、その成長は
イリスの
(
「……
月明かりに照らされた横顔が、
「
イリスの声には
「……う、うん……」
「仕方のないやつだ。こちらへ来るがいい」
イリスが手招きする。
足音が
それに合わせて、クリスタルが共鳴するように音を立てる。
イリスの
冷たいクリスタルの
「この場所からは、かつての我が城下が一望できたのだ」
イリスの目線の先には、月明かりに照らされた
所々に生えたクリスタルが、赤い光を反射して不規則に
「……かつての?」
「ああ。千年前、この城はもっと美しく、ここには街があった」
イリスの声には深い
「クリスタルの
月の光を受けて七色に
イリスは、まるで目の前にその光景が広がっているかのように、
その目には、
「父上――先代
イリスの声が
クリスタルの
「しかし父上は、
(人間の……?)
イリスはそこで言葉を切り、深いため息をつく。
夜風が
「千年の時を経て、ようやく目覚めた我が見たものは……」
イリスは自分の手のひらを見つめる。
その手には、かすかに
「この姿よ。かつての力は失われ、城は
そう言って、イリスは再び歌い始める。
その声に導かれ、
けれど――すぐに歌声が
銀の
「くっ……この程度の
イリスの
「……あ、あの……回復
イリスは
青白い光が
「ふむ……。確かに体力は回復する」
イリスは手のひらを開き閉じする。血の
「だが、これはただの体力の問題ではない。
「……どうして?」
「
イリスは首を
「いや、それだけではない。
「……いっそ殺されていた方が、この無力さに苦しまずに済んだのかもしれんな」
そう
その声は
けれど、
まるで、自分に言い聞かせるように。
クリスタルはその
言葉は必要なかった。ただそばにいることが、
赤い月の光が、
イリスの歌声は、夜が
その声に導かれ、クリスタルは着実に城を修復していく。
ガシャガシャという音と共に、
それは月明かりを受けて、まるでガラスの
イリスの歌に合わせて、
キィン、キィンという
それは不思議と
「……ふむ」
イリスが歌の手を休める。その横顔には、小さな達成感が
月明かりがクリスタルの窓を
赤い光がクリスタルによって七色に分けられ、
「ずいぶんと
イリスが
「人間といっても様々なようだ。勇者のような
イリスの声は
イリスもまた、それ以上は何も言わなかった。
……コミュ障的には敵だと思っていたけど、案外話しやすい人だ。
遠くの山々が、少しずつ
夜が明けようとしているのだ。空の色が、
「さて、もう少しだけ続けるか」
イリスが再び歌い始める。その声が夜明け前の空気に
クリスタルが光を放ち、城は着実に本来の姿を
それは
夜明け前の風が
空気の
「おはよー! って、ええっ!?」
シャルの声が
窓の外にあるのは、
クリスタルの
赤い月の光は
クリスタルが両方の光を受け、さらに
「すっごい! いつの間にこんな……って、もしかして
シャルは
「まぁな。だが、これでもまだ昔の
イリスがそう言って遠くを見やる。
そこには、
それは昨夜とは
夜の
……それだけに、ホントに帰れるのだろうかと不安にもなるけど。
けど、くよくよしても仕方ない。何よりシャルもいるんだし、きっとなんとかなるはずだ。
外を見るイリスの
やっぱり、
「あれ、ミュウちゃん
シャルが
「客人を
「ミュウちゃん、例の
「……!」
な、なんで! アレで回復しようと思ってたから
シャルはそんな
「やれやれ。
「……!?」
「あー、ずるい! あたしもミュウちゃんを
「……!?!?」
そ、そんな
気付けば
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