第101話 くしゃみが止まらないんですよ
「我は
赤い月の光を背に
銀色の
「えっと、そのー……」
シャルが
それもそのはず。人間界で伝説とされ名前すら知られていない存在が、こんな形で目の前に現れるなんて。
「ほう、言葉を失っているようだな? ま、当然であろうな」
「いや、まぁ、言葉を失うっていうか……ビックリしたけど。ホントなの?」
シャルの問いにイリスは
その表情には、どこか人を
「
そう言って
まるで星空のように美しく、でもどこか不気味な光景。キィンキィンという共鳴音が
次の
まるでオルゴールの歯車のように、規則正しく、
光の
「これが王の力よ。王は
イリスの
その
(す、すごい……)
それに、この場の空気を支配する
「へぇー……」
シャルが
「で、その魔王様はなんであたしたちを助けてくれたの?」
いきなりのタメ口!?
相手は
しかし、イリスは意外にも
クリスタルの
「
イリスは
「そこの幼子の持つ力に、興味があってな」
「……え?」
「先ほどの戦い、我は見ていたぞ。あの傷を
「さて、このまま野ざらしで話を続けるのも何だな。
イリスが手を
その先には、先ほど見えた
「人間界への門のことも、そこで話そうではないか」
その言葉に、シャルが身を乗り出す。
「え! 人間界に
「ああ、帰りたいのだろう? まぁ、そう簡単な話ではないが……」
イリスの言葉は
シャルと目を合わせ、小さく
「んじゃ、お言葉に
シャルの声が、
イリスは満足げに
その背中には、どこか
足元の
三つの赤い月が、
■
細い山道を登ること数分。
やがて
黒曜石のように
その姿は
それは建物全体が呼吸をしているかのようだった。
「ここが、
イリスが大きな門の前で立ち止まる。
イリスが手を
「ずいぶん静かだね……」
「……っ、くしゅんっ」
……思わず
それはともかくシャルの言葉通り、城内は人の気配が全くない。
「……まぁ、な」
イリスの返事は
赤い光が
それでも残っている部分からは、かつての
「えっと、イリス」
「なんだ、人間の
シャルの声に、イリスが
「人間界に帰る方法って、本当にあるの?」
「ああ。だが……」
イリスは言葉を切り、大きな
複雑な模様が、クリスタルの光を反射して
「まずは
だが、そのクリスタルの
しかし、
「
イリスの言葉に従い、
クッションからは
……ていうか。出る。
「……くしゅっ!」
「人間界への門は、確かに存在する」
イリスが話し始める。その声は、広間の
「だが、簡単には
「くしゅんっ……!」
イリスの表情が
「現在の
「現在の
「はっ……くしゅんっ」
「うるさいぞ
(ひいぃ、すみません……!)
くしゃみをしすぎて
シャルは
いつもはフード
……そういえば
「現在の
シャルの疑問に対して、イリスは小さくため息をつく。
「
「へー。じゃあ
(シャルーーーーっ!!)
イリスは
「千年に一度開く門は、本来ならまだ開かれぬはずだった」
イリスの声が、静かに
「しかし、
そなたらが転移してきたのも、その
「
「多分に
イリスの
「人間界の……力?」
「ああ。
イリスの言葉に、
そんなふうに鼻をすすりつつ首を
「
イリスはそこで言葉を切り立ち上がった。
「我もまたその血筋の者。だが今は……力を失っている」
「それって、
イリスは小さく首を
「
人間界の力を利用して、さらなる野望を
イリスの言葉に、先日のソルドス・カストルムのことを思い出した。
それもクロムウェルの差し金だったのかもしれない。人間界の力、ってなんなんだろう……。
「実はな、童子よ」
イリスが
月の光が
「我はそなたの持つ
「……!?」
「先ほどの戦いで見せた力。あれはもしや、
(た、確かに効くかもしれないけど……)
「つまり、あたしたちに
「そうだ。
その代わり、人間界への門までそなたらを案内しよう」
イリスの申し出に、シャルは
その表情には、まだ
「でも、そのクロムウェルって
「ふん、確かにな。だが、今の我には……
イリスの声には、かすかな苦さが混じっていた。
そこには
――その時、ズンという重たい音が
「……っ!?」
城全体が、かすかに
「クロムウェルの
イリスが窓の外を見る。
その視線の先には、遠くの地平線に
「返事は今すぐでなくてもいい。だが、もはや長く
この城にも、もう安全ではないのだ」
シャルはまっすぐイリスを見つめ、小さくため息をつく。
「まぁ、人間界に帰るにしても、この場をどうにかしないとダメっぽいしね」
そう言って、シャルは
「ミュウちゃんはどう思う?」
クリスタルの
その中で、
(確かに、
でも、イリスの目には迷いはない。その
それに、
(
深く息を
「うん……! えと、
あ。
やばい。鼻がすごいむずむずすっ――
「はっ……くしゅんっ……!」
……ああ。
「人間!! コラァ!」
「ごっ、ごめんなさっ……はっくしゅんっ!」
「もういい!
シャルが
「あははは! うん、協力するよ。ミュウちゃんもそのつもりみたいだしね」
「そうか……。礼を言う。一応な」
イリスの表情が
まるで月が雲間から顔を出したように、その表情が明るくなった。
「では、今からこの城を出る。外に何かいるようだ。まずはそれを共に片付けるとしよう」
イリスはため息をつきながら続ける。
……くしゃみさえ
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