第98話 「魔界」の話
「はぁ……」
カフェの
座面がふわりと
店内には様々な
紅茶の
「お
シャルは相変わらず元気だ。
メニューを手に、キラキラした目で品定めをしている。その声には
(シャルは相変わらず元気だなぁ……
買い物とお
そろそろ回復しておこうかな……と
温かな
そのときふと窓の外を見ると、
「……!」
カールした
黒い服に身を包んだその姿は、以前の
「あれ、カールじゃない?」
シャルも気づいたらしく、
以前、
まだ慣れない
「……話を、聞きたい」
「えー、あいつに? そういえば、あいつも石の密議のメンバーなんだっけ」
シャルは不満そうな表情を
テーブルに置かれたカップから、紅茶の湯気が立ち上る。
「リュークが言ってたこと、あたしもちょっと気になるし。ただ気をつけてね。あたしが先に行くから!」
足音が
やがて、人通りの少ない路地に入っていった。
両側の建物が日差しを
路地の
「やあ、お久しぶり。
くるりと
その様子は、まるで楽しい再会を喜ぶかのよう。そんな
「……」
「なんだねその目は。
「どうだか。直前で
カールは苦笑いしながら、両手を上げた。
「まあまあ。
気づいてくれたようだから、こうして待ってたってわけさ」
カールの表情が、一転して
秋風が路地を
「つい最近、
それが一体何なのか、聞きたいんだろう?」
路地裏に、重苦しい空気が流れる。
カールの声には、今までにない重みが
「ソルドス・カストルムの正体について……そして、この世界が直面している本当の
風が
「我々の敵は――
カールが口にした言葉に、思わず目を見開く。
風が路地を
「なにそれー?」
シャルが
「子供の
「ああ、そうさ」
カールはゆっくりと
「確かにおとぎ話だ。でも、
ソルドス・カストルムは、
路地に流れる空気が、
遠くで
「いやいや……」
シャルが
「この
「だが、考えてみてほしい」
カールの声が低く
「あの
「強大な
専門家でも、ドラゴンは別の世界から
「えっ、そうなの……?」
シャルの表情が、少しずつ変化していく。
半信半疑ながら、その言葉に耳を
……ドラゴン、か。
黒い
それはもしかして、
「石の密議は、そんな存在と戦うための軍事組織として始まった。だが、時が
カールはカールしたヒゲを
路地の空気が冷たく、
「
風に乗って、遠くから祝賀の音楽が聞こえてくる。
フルートの明るい音色と、人々の笑い声。街はまだ、
「でも、なんでそんな大事なこと、今まで
シャルが問いかける。その声には
「そもそも君ら、全然ノルディアスに帰ってなかったじゃん?」
「いや……まぁ……そうかも」
「それに
カールは
風が
「そもそも、どうやってそんなこと知ったの?」
「古い記録さ。千年前の記録……。図書館の
その言葉に、
千年前。マーリンの生きていた時代。心臓が
「千年前、この世界は
だが、
力強く宣言するカール。
マーリンはこの戦いを経験した……?
「ソルドス・カストルムは、
そして
カールの言葉が、重く
「今回はたまたま、君たちのおかげで
もっと大きな
「……ふーん」
シャルは
「そっか。……えっ、マジなのこの話? カールの適当な作り話じゃなくて?」
「オイ!
「ええ……じゃあ、もしかしてこの世界『
「あ、いるぞ」
「!?」
カールは事もなげに答える。……えっ、そんなのいるの!?
「
「へ、へぇ~、いるんだ……そっかぁ……」
シャルの声が勢いを失っていく。半信半疑だったのが疑い率がだいぶ高くなってそうだ……。
一方、
(
その時代に、この世界は
そして今、再び千年周期の時を
……これは
マーリンはこの騒動を知っていて、この時代にいるんだ。
「まあ、信じるか信じないかは君たち
カールが
「
「そうなんだ……」
シャルは複雑そうな表情を
「あのさ。こういう大事な話するなら、お茶でもしながらゆっくり話せばいいのに。
路地裏って、なんかヤバい話してる感じがしない?」
「そうだねぇ。でも、
カールは軽く
「また会おう。聖女様の新しい服、とても似合ってたよ」
残されたのは、まだ
「はぁ……なんだかすごい話を聞いちゃったね」
シャルが大きくため息をつく。その声には、複雑な感情が混ざっていた。
「
確かに、話が大きすぎる。
「……マーリンが、
「ん? ミュウちゃんの
シャルの目が
「絶対知ってるよね、何か。結局その人を探さなきゃだめかー」
けど、この二つは密接に
「あ、でもその前に!」
「せっかく買い物
「……っ!」
思わず後ずさる
「
(うっ……見られてた……)
シャルの元気な声に引っ張られるように、
秋の
世界の危機も、
目の前には、もっと
「ねえねえ、このお店はどう? あ、あっちにも
(助けて、
……遠くでは、まだ祝賀の音楽が
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます