第85話 ミュウの決意
アズールハーバーの街が見えてきたとき、思わずため息が
リンも「もう少し
(……まぁ、ドゴンドゴン鳴らしながら歩いてたおかげで、
いい面も少しはあったけど、それよりも悪い面も多かった……。
そんな
久しぶりに
「ただいまー! アズールハーバー!」
シャルが両手を広げて
その視線に気付いたシャルは、さらに大きな声で続けた。
「見てみて! こんな
「シャルさん!? やめ――」
リンの制止の声も
青白い電光が地面に走り、
門の金具に電気が走り、ビリビリと音を立てる。
……これは、まずそう。というか絶対まずい。
リンが深いため息をつく。
「まったく……」
「あはは! ごめんごめん! つい、楽しくなっちゃって!」
シャルは
その姿を見ていると、少し
でも、それは口には出さない。調子に乗るから。
街に入ると、
魚を売る声、荷物を運ぶ音、船のマストを伝う風の音。
その
「まずは宿に行きましょうか。
リンの提案に、
定期的に回復
「そうだね! 久しぶりにゆっくりしよ!」
シャルは元気そうに歩を進める。
でも、その足取りには少し
宿は
「あら、お客様ですね。いらっしゃいませ。……と言っています」
(……現地人のリンが
とにかく、お店の人の
「お
案内された
障子
荷物を置き、ローブを
シャルはもう
「お
「……!?」
シャルの提案に、思わず体が
リンは着物を
「シャルさん、ミュウさんが困っていますよ」
「えー? いいじゃん! ねぇ、ミュウちゃん?」
シャルが近づいてきて、
「あたし先に行ってくるね!」
シャルは期待に満ちたような
その後ろ姿を見送りながら、
「ミュウさん、顔が赤いですよ」
リンの
■
「はーっ! お湯気持ちいー!」
シャルの声が、湯気の向こうから
浴室には温かな湯気が
湯船に
シャルは
「ミュウちゃん、こっちこっち! リンも早く入って!」
シャルの声が浴室に
その姿は、どこか
「シャルさん、そんなに大きな声を出さなくても聞こえますよ?」
リンが体を洗い終え、ゆっくりと湯船に入ってくる。
「えー、いいじゃん! ね、ミュウちゃん! 背中洗ってあげよっか?」
「……っ!」
シャルが
湯の
「あはは! そんなに
言われるがままに、シャルの手が
「わぁ、ミュウちゃんの
「シャルさんも若いほうだと思いますけど……でも、そうですね。キレイだと思います」
リンまでもが同意する。
「やっぱ、
シャルの言葉に、リンが
湯気の向こうで、
確かに、回復
でも、こうして温かな湯に
それは
「ミュウちゃん、背中だけじゃなくて、
「あ、
「……えっ!?」
浴室に満ちる湯気と、
そして、
■
「お
浴室を出て、服を整えた。シャルたちと
まだ若い、20
「失礼します。
リンが通訳するのを聞きながら、
「城の
マコトの言葉に、シャルが身を乗り出す。
「あの時の? 確かにみんな、
「ええ。
回復、中毒……。それは、
回復に
「
今も、
マコトの声が
「
でも、
(なるほど……だから
「
リンの体が、
「ミュウちゃん、行こうよ。ミュウちゃんなら、できるはずだよね」
シャルの声は
「案内、して、ください」
「この中に、20人ほどの
「あ、ああぁぁ……! 回復を……回復を……!」
その声には、どこか
病室を
みな異様に
「ヒール……ヒールを……あの方の、あの方の回復
一番
その目は
シャルが
(ここまでひどい状態になっているなんて……)
回復
それは
(治してあげないと)
包帯の
その目は
「あぁ……ついに、ついに回復
その声には、異常な
まるで
(精神回復
青白い光が男性を
その
「これは……
派手な光も、
それは体だけでなく、
光の
精神の
まるで
体の
その過程で、
光が消えると、男性の目の
「あ……
その目には、もう
代わりに、深い
「よかった……! 治ったみたいだね!」
シャルが
リンも表情を
「あの……
男性は自分の手を見つめ、
「ガンダールヴァ、様に……。――ガンダールヴァ?」
それは、名前だ。おそらく、あの
その名を聞いた
「知っていることを話してください!」
「あ、あの男は……かつて
男性の言葉は
額には再び
「あの男の回復
男性は言葉を
その目には、
「でも、その感覚は長く続かなくて……また
もっと、もっとその
その手法は、まるで
「でも……あなたの
男性は
「体が、元に
……
その言葉に、
回復中毒に
そしてそれを受け止めるだけの心も、今は治っているのだ。
「……ミュウちゃん。気に
シャルの声が、静かに病室に
その声には、いつもの明るさはない。代わりに、深い
「でも……」
その代わり、いつまでも夢の中に
頭の中で、様々な思いが
「いいの。この人には、やってきたことを
シャルはいつになく
「……悪いことをしたときに反省する、っていうのはさ。
それがないと、人はどんどんダメになる。この人は、必死に
シャルの手が
病室に
やがて平静を
「ガンダールヴァは……
異国の
「マーリン!? ミュウちゃんの
シャルとともに
まさか、
「戦いにすらならなかった。
「ひゃ~……アレをそんな一方的にのしちゃったの? ミュウちゃんの
「そしてガンダールヴァは、ずっと
男性の言葉に、リンが息を飲む。
「それで、赤割の
「はい……残る
男性の言葉が
「……あとは、ゆっくり休ませてあげましょう」
リンの言葉に、
まだ19人の
マーリンと
そして、
(マーリン。あなたの代わりに、ガンダールヴァと戦わなきゃ)
暴走し、
まずは、そのためにも――
残された
それに、これほど多くの人を同時に
「みんな、
シャルとリンが
「――大いなる
言葉を
これまでになく大規模な
「
光が
「状態異常、全体回復
青白い光が
窓の外まで光が
光の中で、
黒い
そして――。
「こ、これは……!」
「苦しみがなくなった……!」
「なんて、清らかな……!」
次々と意識を
「これが……本当の
「長らく忘れていた。晴れやかな体の感覚」
「
……ん? なんかこの展開、見たことがある気が。
「聖女様……!」
あ。
「ありがとう、聖女様……!」
「聖女様……!」
ちょっと待って。
「なんか見たことあるやつ
シャルが
その目には、深い感謝の色が
「聖女様の
「救ってくださってありがとうございます……!」
「ミュウちゃん、こっちでも人気者になっちゃったね! あはは!」
シャルが楽しそうに笑う。その声に、
(どうしてこうなるかなぁ……)
病室の中で、「聖女様!」という声が
この
でも、
「聖女様の
「なんて
「……シャル……その……早く、
「
リンが
空には夕日が
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