第86話 決戦の時
アズールハーバーの本丸、将軍の
窓から
「ふむ。
何度目かの深呼吸をして、姿勢を
横目で見ると、シャルも
いつもなら大の字で
「うん!
シャルが
パチパチという音と共に、
静電気で、
「シャ、シャルさん! 屋内ですよ、ここ!」
「あ、やばっ! ごめんごめん!」
リンの
思わず
意外にも将軍は、
その表情からは、むしろ
朝日に照らされた横顔に、深いしわが刻まれているのが見えた。
「よい。それだけの力を持ちながら、きちんと我々に報告に
この
将軍の言葉に、リンの背筋がより一層
「これで
その言葉に、将軍の表情が
窓から
「ガンダールヴァ、か。
だが、これで三神器の
その時、
「将軍様! 大変です!」
「なんだ。
「申し訳ありません! ですが、これは
武士の声には
武士の
「『無明の谷』で、
さらに、周辺の村で住民が次々と
その言葉に、
将軍が勢いよく立ち上がり、
「無明の谷……!?」
リンが息を
「無明の谷って……?」
シャルの問いに、将軍が重々しく答える。
その声は、これまでにない深刻さを帯びていた。
「この大陸に点在する
将軍の言葉が、
「古来より、迷える
将軍はしばし目を閉じ、
やがて、ゆっくりと顔を上げた。その
「
リンが音もなく立ち上がる。
「では、
「うむ。お前たちならできると信じている。だがくれぐれも無理はするな」
リンが
シャルも、久しぶりに
こうして
■
「無明の谷」は、まさにその名の通りだった。
入り口に立った
目を
それなのに、どこからともなく視線を感じる。背筋がゾクゾクする……。
谷の入り口は
その上部は
「うわ……これマジでヤバくない? 昼なのに、まるで深夜みたい。それに寒気がすごい~」
シャルの声が、
いつもの元気な声が、どこか遠くから聞こえてくるように感じられた。
「気をつけてください。この
リンの警告に、
この
まるで
シュルシュルと足元で草が
生温かい風が、じっとりと
鼻をつく
「うわっ……!?」
そのとき、シャルが
その光は
「なんか反応してるよ! ほら、この方向! 光の筋が
シャルが
光の中で
「
リンの言葉に、
「
かすかな声が、
その姿は、まるでろうそくの
「あっ!
「待ってください、シャルさん!」
シャルが
「あれは……人ではありません。人の
「え!?
リンの言葉に、
(本当だ……)
人の形をしているようで、どこか
全身が
そして、その
よく見ると無数の
その流れは、
「
「うぇぇ~……
(こんな感じではないと思うけど……)
人の
これは何らかの
それにしても、この数の
苦しみにまみれた声、助けを求める声、
その声は
(苦しそう……でも、
胸が
足元は
時折、足を
息苦しさを感じ、服が
その時、シャルの
光は
「光が強くなってる!
その言葉と同時に、目の前の
まるで
耳をつんざくような風切り音と共に、視界が開けていく。
「見えた! あそこです!」
黒い
その姿は前回よりも一回り大きく、
その様は、まるで
「――ガンダールヴァ!」
リンの声が
その表情には、
「よく
「んなワケないでしょーが!」
ガンダールヴァの声は、まるで
その姿からは前回以上の
「これで
ガンダールヴァの言葉と共に、
集められた
その悲鳴は
シャルが
それぞれの武器が、
決戦の時が、始まろうとしていた――。
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