第82話 24時間戦えますか?
夜が明け、朝日が黒い岩場を赤く染め始めた
冷たい
岩の上に置いた
その動きに合わせて、
「あれ、ミュウちゃんなんか元気そうだね! ぐっすり
シャルの明るい声が、朝もやを
その光は
「もしかして、
「……うん」
小さく
(精神回復
「うわっ、なんか
リンも興味深そうにこちらを見ている。
「え、えっとね。次は……」
「あれ!? ミュウちゃんの
さすが、
その観察眼の確かさに少し
「えっ!? そ、そんなことが……!?」
リンが
「あ、あの……
どもりながら、なんとか説明しようとする。
「使う量を、減らして……回復、の方が、上回るように……」
言葉を
でも今は、すぐに回復
……でもやっぱり会話は苦手だ。手のひらに
「つまり、実質的にMP切れがなくなったってこと?」
シャルが要約してくれて助かった。
「すごい……! それならもしかして、あたしたちの分も……!?」
「
リンの感心したような声。
しかし、
それは期待と不安が混ざり合った、得体の知れない予感。
(MPだけじゃない。もしかしたら、もっとすごい……というか、ヤバイことができるかもしれないんだよね)
昨夜の実験で、精神回復
(
体に何か悪
そもそも人間は
それを
(水や食べ物だって、理論的には回復
でも、だからこそ強力だ。人間にとって
それらを無視して戦い続けることができれば、その人は
遠くで
(
遠くでは
「あ、あの……もう一つ」
「
その言葉に、
朝もやの中で、時間が止まったかのような静けさが
「ちょ、ちょっと待って! それってどういうこと!?」
シャルの声が
「つまり……24時間、
遠くで鳥が鳴く声だけが、この場の重さを
「それは危険すぎます」
リンがきっぱりと言い切った。
「人間の体には、休息が必要です。
「そうだよ! ミュウちゃん、体
シャルも心配そうな表情を
朝日を浴びた
(やっぱり……
人間の体に、そんな無理を通していいはずがない。副作用だってきっと――。
「ですが……」
リンが言葉を
朝日を浴びた岩山の向こうに、
「ここは修練の場。古の戦士たちが、
リンの言葉に、風が
「しかも、ミュウさんの回復
リンはそう言って、
「
「リン、本気ー!? いくらなんでも……」
シャルが
「このままの実力では、あの
「うぐ……」
その言葉に、シャルは言葉を
今のままでは、勝ち目はない。その事実が、朝の空気を重くする。
「もちろん、ミュウさんの
リンは
「効果と副作用を、細かく観察しながら。少しでも異常があれば、
(リン……)
「うーん……」
シャルが
「確かに、このままじゃあの
それはどちらかというとシャル自身よりも、
「ミュウちゃんは、ホントに
人間の体の限界に
「だ、
必死に言葉を
「少しでも、ヘン、だったら……やめるから」
シャルはしばらく
「もう! しょうがないなぁ。あたしも付き合うよ」
「シャル……!」
「でも! ちょっとでもおかしかったら
その仕草には、いつもの強さは無かった。
温かな手のひらが、
「約束だよ? 無茶しないでね」
「……うん」
決意と、不安と、そして期待が入り混じったような空気。
朝日がより高く
■
――それから、
1日目。12時間ほど戦っては別の
「ねむっ……あ、
夕暮れ時、シャルが大きな
青白い光が
「すごっ、全然
「……」
でも、副作用らしい副作用は今のところ出ていなかった。
「ふんっ! せやぁっ!」
リンの刀が
「はぁ、お
「あ、回復……」
「うわっ、お
シャルが青ざめつつ
2日目。30時間ほど経過した
「そういえば、筋肉痛とかない気がする」
「あ……それも、その……」
「それも治してるの!?
とはいえ、ちゃんと筋肉が成長するような形で治している。
つまりこの
シャルの
3日目。57時間ほど経過。空気が重く、昼なお暗い。
シャルの
「あたし、今までこんなに
「ですね。
「もう人間の領域を
シャルの
正直、ここまで順調すぎて不安になってくる。でも、確実に三人とも強くなっているのを感じた。
4日目。103時間ほど経過……。
夜が明けようとする
「よーし、あとちょっと!」
「シャルさん、次はあっちの
「
「……!」
最初に会ったときはあんなに苦戦していたエラ付きのトカゲ。
今や
……そうして気付けば、大量にいたはずの辺り一帯の
もはや待っても探しても、
「あれ……もしかして、終わり?」
「……ですね。
「ふぅ……でもなんか、すごい
シャルが
この
「す、すごい……我ながらかなりの進歩を感じます」
「いやぁ、ミュウちゃんの
「本当です。
それから、
「はい、これにて
「同感です。いくら副作用が出なかったとはいえ、やりすぎは禁物かと」
「……うん」
三人で固く
人間の限界に
……それに、こんな不安な思いをするくらいなら、
体は元気でも、心が
「よーし、じゃあ12時間くらい
「シャルさん、まだ
「いいや
シャルの断固たる宣言。
肉が焼ける
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