第77話 黒煙に揺れる詠唱
「やあぁっ!」
シャルの
男は後ろに
「これで……えっ?」
胸から
(傷が……治ってる……?)
不気味な
そして、それと同時に男の目が光った。その
「うわっ! なんなのコイツら!?」
シャルが
(この
回復速度は
それより、
市場には
その姿は、まるで
老人や子供、足を
「くそっ! これじゃ城まで行けないよ!」
シャルが歯を食いしばる。
「おぉー!
(みんなを
「ミュウちゃん! あたしが引きつけるから、その間に市民の人たちを!」
できるだけ多くの人を一度に回復できるよう、
(全体回復
その時、視界の
「はっ!」
美しい
刀を
「この光……この光は……!」
リンの声が
その
(リン……どうしたの?)
いつもの
「うわっ! ミュウちゃん、気をつけて!」
シャルの警告に、
「ひっ……」
(これで正気に……!)
「――お、あ。ウアアアァァアアア!」
しかし、男の目の
その
(ダメか……
シャルの
地面に
「回復
なんていうか……アレは
シャルは
「あの夜と……同じ光……まさか……」
刀身に反射する陽光が、不規則に
「リンちゃん?
「
リンの体から
その気配に反応するように、周囲の空気が重く、どんよりとしてきた。
「おい、城に火の手が!」
黒い
その
風に乗って、
「……!」
リンの体が
「リン! ちょっと落ち着いて!」
シャルが
空気が
その混乱の中、リンの体から
――その時。
深い
その姿は、混乱の
「あ……」
リンの声が
その手から、じくりと血が
カランカランという
市場を
(なに、この人……?)
その歩みには重みがあり、周囲の空気までもが
まるで時間が
「貴様ァッ!」
リンの
理性を失ったような血走った目で、
刀を
「リン!?」
シャルが
しかし、リンの体は
「はああぁッ!」
リンの刀が
「む」
その動きは風のように自然で、それでいて不気味なほど的確だった。
「お前は……」
その声には、人とは思えない
「両親の
リンは再び刀を
(これは……
リンの
その姿は人としての理性を失いかけているように見え、空気までもが重く
そして、何かを
「――
不気味な
「争いの
「グオォォォおぉッ!」
その声には、苦痛と
「……ッ、アァァァアアァアア!」
苦しげに
リンもまた、その声に反応するように全身を
「リン!」
シャルがリンに
空気を切り
いくつもの輪が連なった
城に向かって。
「くっ……やばい、行かれる!」
シャルの
その
「うあああああッ!」
一方、リンは
代わりに
「精神回復
温かな緑の光が、
リンの体が
「はぁ……はぁ……
額から流れる
城からは、さらに大きな
ただでさえ無かった理性がより失われ、もはやまともに集団で動くこともできない。
シャルは混乱の中、着実に
そこに、重装備の衛兵たちが
「
「おお……アアアアアアッ!」
衛兵たちによって
いかに理性も痛みもなかったとしても、数で
「城へ……行かな、ければ……」
そのときリンがよろよろと立ち上がり、城に向かっていく。
その目にはまだ
「リン! ちょっと待って!」
シャルがリンを追う。
(あの
市場に、
そして、遠くで燃え盛る城。夕暮れの空が、その
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