第76話 黒装束の襲撃
「
将軍の声に、
広い
窓から
机の上には
黄ばんだ布地が、
「まさか……」
将軍はため息をつき、立ち上がった。
「リンよ。その地図には
「はい。古代の地図だと思われます」
リンの声に、将軍は深いしわを寄せる。
「これは……予想以上に事態が複雑になってきたな」
「将軍? どういうことでしょうか」
リンが静かに問いかける。
しかし、その
将軍は少し
その動作に、
赤い
刀を持つ将軍の手に、力が
(ひいい、すみませ――っ)
「この刀は、かつて東方三神器と呼ばれた宝物の一つなのだ。
その言葉に、シャルが目を
赤い
……でもよかった。
「三神器?
シャルの質問に、将軍は刀を
「一つは『
伝説では、この三つが
窓を
せ、世界を……支配? ずいぶんまた大げさな話になってきたけど……。
でも、
「だが
『
存在するのかどうかすら
将軍は
「だが君たちは確かに、ヒスイドウの
それどころか、
「ってことは……
シャルの声が高くなる。
その声が
「うむ。そして、その『
「そうなのですか?」
「ああ。
ヒスイドウに
「ってことは……あたしたち相当
「うむ。……そうだけど、今結構大変な話をしている。テンションを上げるタイミングを
将軍は相変わらず
そう、大変な話だ。
(鏡を持っていったのって、もしかして……?)
だが、それは
台座に残された布の状態や、
「しかし、
将軍は
「建物の存在自体が、長い間忘れ去られていたのだろう。
その位置と、地図上の
将軍は窓の外を見やる。その
外から聞こえる波の音が、この場の
「そこにはもしや、『
■
「うわぁ、相変わらずすっごい人!」
アズールハーバーの市場は、昼下がりとは思えないほどの
色とりどりの商品が並び、活気のある声が
「この街、やっぱり港町だけあって市場が大きいねぇ。それに、
シャルは額の
リンは別の用事があるとのことで、
周りを歩く商人たちの活気のある声に、少し
「よーし、じゃあまず地図買おうか。それと……ミュウちゃん、ちょっと休もうか。人多すぎて
確かに、これだけの
人々の話し声や笑い声が耳に入るたび、エネルギーが吸い取られていくのを感じる。
建物の
茶屋の中は不思議と市場の
「
店主が持ってきた青磁の
氷の
シャルは一気に飲み干すと、ため息をついた。氷のカチャカチャという音が
「ふぅ……。でも、ちょっと整理しないとね。今までのこと」
このあたりで情報の整理が必要だろう。
茶屋の
「えっとね」
シャルは指を折りながら話し始めた。
「まず、ミュウちゃんとあたしがこの東方大陸に
マーリンは1000年前に『
マーリン……
7年前に
「でも『
シャルは二
「そこに、アズールハーバーの将軍が『
将軍は『不老不死の泉』を探してるんだけど……あたしたちからすれば、どっちにしろ『
「……うん」
実際、運が良かったと思う。一から調査するのは大変だったはずだ。
複数ある『
窓から入る風が、
「それで『
シャルは声を
「その鏡ってのが大変なモノで、東方三神器の一つ。
あと
「……世界……」
世界を支配する力なんて、想像もつかない。
「わかるよミュウちゃんの気持ち。いまいちピンとこないよね? なんかおとぎ話みたいというか」
ガラスの
「で、その鏡を
シャルは
魚を売る声、値切る声、笑い声。それらが茶屋の中まで、かすかに届いていた。
「それで次は『
シャルは
氷が
「ねぇ、ミュウちゃん。マーリンってすごい
(でも、
今さら鏡を持ち去ったりあちこちウロウロしているとは思えない)
首を横に
「だよね。じゃあ、
「
店主の声に、
器用に
(もうそんなにいらないんだけど……)
「あ、ねえ! この近くで地図屋さんってある?」
シャルが通訳
潮風が
白い
たくさんの
「――きゃあああああっ!」
その時、
「なっ!?」
シャルが立ち上がる。
氷の
茶屋の出口に
さっきまで聞こえていたガラスの
人々が
「何あれ……」
シャルの
潮風に乗って、
全身を黒い布で
歩き方も不自然で、まるで
関節が曲がる
そして、それぞれが短い刀を持っている。
「やばいよ、あの人たち! 城に向かってない!?」
シャルの指差す先――将軍の城の方角だ。
行く手を
「
商人の体が宙を
「こら! なにしてんの!」
シャルが
が、その時
(この殺気……
しかし、それは戦う意思を持った者の殺気とは
特定の
全包囲、すべてに対して殺意を向けている。まるで、理性を失った
「うおオぉおぉおォっ!」
シャルの
血が飛び散るのに、まるで痛覚がないかのようだ。
「なっ!?」
シャルが
黒い布が風にはためく音が、不気味に
「くっ!」
シャルがなんとか受け流すが、
まるで自分の命も
その刀がシャルの
(小回復
青白い光が傷を
「ミュウちゃん、後ろ!」
布がこすれる音さえしない、不気味な静けさ。目が合った
「ミュウちゃん!」
シャルの声が悲痛に
間に合わない――! 目の前で、刀が
「はッ!」
金属のぶつかり合う音が耳を
火花が散る。
「シャルさん! ミュウさんは
「ありがとリン!
あ、危なかった……! 心臓がドキドキして、つい
リンの刀が
しかし、骨の折れる音がしたはずなのに、すぐに立ち上がりまた
「これは……なにか、おかしい」
リンの声に
確かに、相手の様子は
目は
それでいて、その動きは正確で
「みなさん、気をつけて! この人たち、どこかおかしいです!」
「わかってる! でも、城の方に向かってるってことは……!」
シャルの言葉通り、
進路には、まだ
幼い子供を
「あの人たちを守らないと!」
シャルが
遠くでは、もう衛兵たちの
金属の
事態は急を告げていた。
その血走った目は、どこか……
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