第72話 寝落ち系聖女
朝食を終えた
街は
人々の話し声や荷車の
通りを歩く人々の足音や、遠くで鳴く鳥の声も聞こえてくる。
しかし、
昨夜からの
目の前がぼやけ、足元がふらつく感覚がする。
「ミュウちゃん、
シャルの心配そうな声が聞こえる。
「きゃっ! ミュウさん!」
リンが
リンの体温と、かすかな花の
「無理しないでよ、ミュウちゃん!? リン、ミュウちゃんを支えてあげて。あたしが荷物持つから」
シャルの声が、どこか遠くから聞こえてくる。
目を開けると、リンの心配そうな顔が目の前にあった。
「
(む、むしろ2人はなんで平気なの……)
城までの道のりが、以前の何倍も長く感じられる。
足を引きずるような感覚で、一歩一歩前に進む。
城に
足音が大理石の
そこには、
前回会った時と同じく、
クッションの
「ようこそ。ミュウに、シャルに、リンだったな」
将軍の低く落ち着いた声が、
その声に、
広間の空気が、
「試験官からの報告は受け取った。見事な
リンが一歩前に出て、深々と頭を下げる。
「はい、ありがとうございます。
「うむ。お前たちの力は確かに認めよう。正式に
その言葉に、シャルが小さく
リンの表情にも、
「しかし、
将軍の声が、少し厳しさを増す。その声に、広間の空気が再び
「
「えっ……そ、そうなんですか?」
「うむ。『
そして、そのいずれもが
目の前がぼやけ、
「伝説によれば、本物の
しかし、その泉を守る者たちの存在もいて……」
将軍の声が、どんどん遠くなっていく。
目の前がぼやけ始め、体が
耳鳴りのような音が聞こえ、視界が暗くなっていく。
「ミュウちゃん!?」
シャルの
■
「ミュウさん?
目を開けると、そこはどこか見知らぬ
リンとシャルが、心配そうな顔で
あれ……? どうなったんだっけ……?
「ごめんね、ミュウちゃん。そんなに
シャルの声には、申し訳なさが
「一応将軍様も、
(そ、そんなに子供に見えるのかな……)
まぁ子供ではあるのかもしれないけど、そんなにかな……。
などと考えていると、だんだん頭がハッキリしてくる。
ゆっくりと背筋が冷えていき、自分がとんでもない無礼を働いた自覚が
「え、えと、あの……」
「無理しないで。まだちょっと休んでていいんだよ」
シャルが
「ええ。将軍様が、この城の客室で休むよう手配してくださったんです」
リンがフトンの上から
「それで、
「……?」
「『
(そ、そうなんだ。……
少なくとも、知らない人と旅をすることにはならないわけだ。
なら、気が楽かもしれない。ほっとした息が
「ふわ……あぁ。なんか、あたしも
「!?」
シャルはひとつ
体温が近く感じられ、シャルの
「ちょ、あの……シャルさん?」
「リンもせっかくだから
「いやいや! さ、さすがにまずいですよ。この
リンの声が
そんな声とシャルの体温を感じながら、
かすかに
……それから目を覚ますと、
窓から
「あ、起きた?」
シャルの声に、
頭の重さはすっかり消え、体が軽く感じられた。
フトンから立ち上がると、足に
「よく
シャルは窓
一回
体を
「さて、
リンが
ドアが開く音と共に、
「将軍様から、最初に向かうべき
リンは地図を広げ、
山々や川、森が細かく記されており、その精密さに目を
地図からは、かすかに古い紙と
「
リンが指さす先には、深い森に囲まれた
その線の
「ここは、
「神秘的?」
シャルが興奮気味に
「
それとももう少し
「それに、谷の
「
その言葉に、
マーリン――
「でも、危険も多いそうです。その
中には、
その言葉に、
窓から入る風が、少し冷たく感じられる。
「
シャルが明るく言う。……たしかに、『夢
精神に作用する悪
「よーし! じゃあ
シャルの声が、
「まずは装備の
リンが冷静に準備のリストを挙げていく。が、シャルはチッチッと舌を鳴らした。
「そういうのは、旅をしながら現地で買うんだよ! それも旅の
「そ、そういうもの……なんですか? わかりました」
リンはシャルの言葉を真に受けてしまった。いや……そういうものではない。
本当は
窓の外では、夕日が
空が赤く染まり、雲が金色に
「それじゃ、そろそろお
(本当にね)
次に将軍に会うときのために土下座のやり方を勉強しておいたほうがいいかもしれない。
ゴクリと
(ヒスイドウ……か)
そこにマーリンの手がかりはあるのだろうか。
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