第69話 誘い込まれた者たち
図書館を後にした
どうやらその人物はアズールハーバーにいるそうだ。
街の
街の中心部に近づくにつれ、建物はより
「へぇー、こっちの方が都会っぽいね」
「そうですね。ここは上級武士や商人たちが住む地区なんです。将軍の
リンの声には、少し
門からは、古木の
「ここが将軍の
「だってさ! 気をつけとこう、ミュウちゃん」
(シャルもね……)
シャル、結構な権力者相手でも基本タメ語だからなぁ。
門をくぐると、広大な庭園が広がっていた。
手入れの行き届いた木々や花々、そして小さな川までもが絵画のように美しく配置されている。
草花の
「うわぁ……すっごい。なんか芸術品みたいだね」
「そうなんです。こういった庭を作り出すことを生業としている者もいるんですよ」
「じゃあ、もうホントに作品なんだね! キレイだな~」
将軍というのは、
植物っぽい
広間に通されると、そこには
顔の
身につけた衣服も、シンプルながらどこか高級そうな布地だ。
その質感が、光を
「将軍様。お初にお目にかかります。我々は……」
「うむ……
声が
「うん! あたしたちも
(さっそくタメ語ーッ!)
だ、だだだ
それとも
将軍は
「なぜ
「ええと……実は、こっちのミュウちゃんの
「マーリン!?」
将軍の声が
「そうそう! 知ってるの?」
「……伝説の
外の
「
将軍は
「待て。マーリンの
「あっ、あっ、その、ホンジツハオヒガラモヨク……」
急に話を
将軍はますます
「ど……どういうことだ?」
「あ、
「なぜ笑う……?」
「う、うーん、話せば長くなるっぽいんだよね。とにかく、ミュウちゃんはマーリンを名乗る人と会ってて、
将軍をめちゃくちゃ
シャルのフォローでとりあえず事なきを得たけど、やっぱり会話
「オホン。お前たちの目的は分かった。だが、
「えー! でも、絶対に行きたいんだよ! キレイなとこらしいし!」
「そんな
将軍はずっと
それでも不敵な表情が
「そうか……では、お前たちの実力を見せてもらおう」
「実力……ですか?」
その言葉を聞いたリンが首を
「うむ。
「やった! 任せて! いくらでもやってみせるよ!」
シャルの声が
「これは単なる
「義務……ですか?」
「ああ。
ゆえに
なるほど。つまり、ただの
シャルは
「分かった。あたしたち、絶対クリアしてみせるよ!」
マーリンを探すことと、この国の平和を守ること。多分、いくらか後者のほうがマシだろう。
「よろしい。では、お前たちの
「将軍様は
(
「当然だよ! あたしたち、こう見えてもすっごく強いんだから!」
シャルの声が、少し大きく
「ところで、リンまで
「あ……ああ。平気ですよ! しばらく予定はありませんから」
(……?)
リンの声に、かすかな
まあ、今回の
■
将軍の
夕暮れ時の街は、昼間とは
通りには、夜の営業を始める店々の
チョウチンの
「さて、どこから情報を集めようか」
「まずは酒場に行ってみましょう。そういった場所には様々な情報が集まりますから」
「酒場! いいね――あっ、お酒は
シャルは喜んだ直後に、何かを思い出してこちらを見た。そうだね。それが望ましいよ。
相変わらず酒場は苦手だけど仕方ない。任務のためだ。
小さく
足音が
酒場に入ると、
グラスが
「すいませーん、お酒ちょうだいー!」
テーブルに着くと、シャルが大きな声で酒を注文した。するんだ……。
シャルは受け取った酒をとりあえず一口飲みつつ、テーブルに体を預ける。
「ねえリン、この辺りの
「ううん、そうですね……正直なところ、あまり聞いたことがないんです。ここ最近の、
リンの声には少し
その話を聞いていると、
何を言っているかはわからないが……リンが口元を
「おい、聞いたか。
「マジかよ。あいつら、どこに
「さあな。でも、港の東にある
テーブルの下で、シャルが興奮して
しばらくして酒場を出ると、
街灯の明かりが、
夜の空気が
「港の東の
「で……でも、夜の港は危険です。
興奮するシャルに対して、リンは冷静にそう提案した。
しかし、シャルの
「
(それはそうかもしれない……)
結局、
潮の
やがて人通りが消え、ずいぶんと海に近くなってきたとき、
「あれかな?」
シャルが小声で言う。
中からかすかに人の気配がする。木の
「よし、中に入ってみよう」
「待ってください。
リンはシャルを制止しようとしたが、
ゆっくりとドアを開けると、中は意外にも明るかった。
油ランプの
「
全員が口元に灰色の布を身につけている。
「『灰の手』!」
リンが
シャルは
「
そこから
「
ボスの言葉に、
何を言っているのかわからないが、なにか
「あちゃー……まさかホントに
シャルが
これは確かに、
倉庫の
「
ボスが意味ありげな
その目つきに、
果たして、この
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