第67話 アズールハーバー
長い航海の
足元のしっかりとした地面に、少し安心感を覚える。
潮風が
目の前に広がる
白い
建物の形も不思議だ。屋根の
その曲線が、青空に
「うわぁ! すっごい
シャルの声が
その声に、近くにいたカモメが
確かに
(人が……多すぎる……!)
港には様々な国の人々が
商人らしき人々が大きな声で
人が多いとそれだけで
しかも、耳に入る言葉の多くは聞き慣れないものだ。
まるで波のように、知らない言語が
「よーし、まずは宿を探そう!
シャルが
小さく
そこには少し歩くたびに、新しい発見があった。
街角には見たこともない形の照明がぶら下がっている。
紙で作った
赤や黄色の明かりが温かみのある
その光が
通りを歩く人々の服装も
色とりどりの模様が
布がこすれ合う音が、風に乗って聞こえてくる。
(あれは何だろう……?)
ある店の前に、
丸い顔に大きな目、赤い
人形の表面は
「へぇ~、なんか
シャルが人形を
その動きはなんだか
そうして歩いていくうちに、
入り口には見慣れない文字で何か書かれている。看板からは木の
「これ宿? だよね? よーし、ここに入ろっか!」
シャルが
戸を開ける際、
中は落ち着いた
入り口には複数の
足の裏に植物っぽい
受付には、
「
聞き慣れない言葉だった。
その音は
(やばい、全然通じない。何言ってるんだろう……?)
「あのー、
シャルは大きな
その姿と動きが
シャルの動きに合わせて、
受付の女性は
「ああ……
今度は
「やった! 通じた! えーっと、2! 2
シャルが
どうやら通じたらしい。
手続きを済ませ、
「へぇ~、これで
シャルが
こんな
荷物を置いて一息つくと、シャルが立ち上がった。
フトンから身を起こす際、布地がこすれる音がする。
「さあ、次は町を探検しよう! あの大きな
窓の外に見える大きな
荷物を置いて少しは身軽になったし、
再び街に出ると、さっきよりも人が増えていた。
昼時なのだろうか、多くの人が食事を楽しんでいる。
活気に満ちた声が、通りを
通りを歩いていると、
そこでは様々な
色とりどりの布や、キラキラと
見たこともない形の道具や、
(わぁ……
特に目を引いたのは、
中の
「ミュウちゃん、あれ見て! なんか
シャルが指さす先には、蒸気の
そこでは、
「それ2つちょうだい!」
「
シャルは迷わず注文した。店主は慣れた手つきで、目の前で調理を始める。
熱した鉄板の上で皮を焼き、中に野菜や肉を
鉄板から
完成した料理を受け取ったシャルは、うれしそうに一口かじった。皮がパリッと音を立てる。
「うま――」
……と思いきや、
「うわあああ、
シャルが
どうやらかなり
でも、笑ってばかりもいられない。料理は
(……っ)
思いきって一口、大きめに
皮は思ったより
(あ……おいしい)
たしかに
むしろこの
「ミュ、ミュウちゃん
棒がついた木の
「……」
「ぬぬ……! たしかに捨てるのはもったいないけど……!」
「…………」
「わ、わかった……はい、ミュウちゃん」
「
シャルは少し
出会ったばっかりの
そのことを思い出して少し
そんな昼食を終えて(シャルは足りないので別のものを食べた)
その大きさは圧巻で、首を思い切り後ろに反らさないと頂上まで見えないほどだ。
石造りの
時を刻む音が、かすかに聞こえてくる。
「すごいねぇ。きっとここからなら街中が
シャルが期待に胸を
しかし、
「
「ん? なになに?」
「あー……入場料! 5!」
「あっ、お金かかるんだ! そりゃそうか」
シャルが
「これじゃない」
「え? これじゃないって……」
「……
外国人向けの屋台ではそのまま
「ああ、そっか! すっかり忘れてたよ。じゃ、先に
シャルの声に
周囲を見回すと、通りの角に小さな
店に近づくと、中年の男性が
「いらっしゃい、お
男性は
「うん! この金貨、地元のお金に
シャルが金貨を2枚取り出す。
本当はもっと大量に持ってはいるが、とりあえず必要な量だけ
男性はそれを受け取ると、にやりと笑った。その
「ふむふむ。では、これが相当額ですよ」
男性が差し出したのは、小さな銀貨が10枚ほど。
(おかしい……)
「えっと、これって……少なくない? ホントにこれで合ってる?」
「いやいや、これが相場ですよ。西方の金貨にはこれくらいが
男性の声のトーンが少し強くなる。
シャルも少し
そんな
「
この地の人々と同じように、布が多めな衣服を身に着けていた。
女性は燃えるような赤い
厳しい
「り、リンどの! これは……その……」
男性が
その
「
リンの言葉に、男性は頭を深々と下げた。
「申し訳ありません! こちらが正しい金額です!」
男性は
シャルは
「えっと……ありがとう?」
シャルが
リンは
その
「
「あの、ありがとう! 助かったよ! あたし
シャルが感謝の言葉を述べる。
リンは少し困ったような表情を
「あ、あなたたち……観光? 旅行?」
「うん! 色々あってね、こっちの大陸に
リンはゆっくりと
「わ、
「わぁ、本当!? ありがとうリン!」
リンは照れくさそうに
風に乗って、どこからか笛の音が聞こえてくる。その音に、
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