東方探訪編
第61話 魔導王を探して
アランシア王国の城下町に入った
「聖女様、お帰りなさい!」
「シャルさん、ありがとう!」
「戦争を終わらせたって聞いたぞ! 本当にありがとう!」
人々の熱気と興奮が、空気を
シャルは満面の
注目を浴びるのはやっぱり苦手だ。周囲から
「ミュウちゃん、もっと胸を張って歩こうよ! みんな喜んでくれてるんだから!」
そう言いながら、シャルが
その
(そんなの無理だよ~……こんなに人がいたらMPがみるみる減ってく……)
城の
「やあミュウ、シャル。予だけ先に帰っててすまないな。先にいろいろとやっておくことがあったものでね」
王は
「別にいいよ! あたし
シャルが元気よくこれまでの戦いの報告を始める。
シャルの説明を聞いていたルシアン王は、深く
「本当によくやってくれた。おかげで、
王はそう言うと、にやりと
「さて、
王城近くの高級宿『銀の月』を2週間分予約しておいた」
「えっ、マジで!? ありがと~!」
シャルが飛び上がって喜ぶ。その声が
「ミュウちゃん、聞いた!? 高級宿だって!」
シャルが
その勢いで、
「……う、うん」
小さく
「ルシアン王、じゃあね! さっそく行ってくるー!」
王に軽く
城を出る時、冷たい石の
『銀の月』は、その名の通り銀色に
夕暮れの光を受けて、建物全体が
ラベンダーの
「わぁ~、すっごい
シャルは目を
その足音も、
広々としたリビングルームと、バルコニーまであった。
窓から
「ねぇねぇミュウちゃん、お
シャルが
グレイシャルは寒かったし、しばらく体を温めたい気分だ。
小さく
各
湯気が
「わぁ~、気持ち良さそう!」
それを見たシャルは
その豊満な体が
服が
「ほら、ミュウちゃんも早く
言われるがまま、おずおずと服を
シャルの体と比べると、
足先からゆっくりと湯船に
「あ~、気持ちいい~」
シャルが大きな声で言う。その声が
「ね、ミュウちゃんも気持ちいいでしょ?」
波を起こしながらシャルが
その
「……うん」
小さく
「ミュウちゃん、背中流してあげようか?」
「えっ、アッ」
断る間もなく、シャルは
シャルの指が背中を
(う、うぅ……
顔が
でも、シャルの
湯船から
「ね、ミュウちゃん。これからどうする?」
「戦争も終わったし、もう一度
それとも、ノルディアスあたりに
その質問に、
お湯の中で、つま先がふわふわと
(そうだ……! マーリンのこと……)
そのことを思い出し、
「……マーリンを、探したい」
その言葉に、シャルは少し
「マーリン? それって……たしかミュウちゃんの
「そっか。でも、たしかその
そうと決まったわけじゃないけど、ほとんどそうだと見ていいだろう。
「で、その
「……」
シャルは興味深そうに言った。
千年前の人間と言われても、
「……うん! それいいね! 千年前の
シャルの目が
「よーし、決まりだね! マーリンを探す旅に出よう!」
シャルが立ち上がり、湯船から水しぶきを上げた。
その姿を見て、思わず小さく
お
「ね、せっかくだし、
マーリンのことも、何か情報があるかもしれないし」
その提案に、
それに図書館の本の
ベッドに横たわりながら、
不安もあるけれど、シャルと
そんなことを考えているうちに、
かすかに聞こえるシャルの
■
翌朝、
朝の
鳥のさえずりが耳に
図書館は
入り口の大きな
古い羊皮紙と
「うわぁ、すごい本の量!」
シャルの声が図書館内に
(図書館では静かにしなきゃ……)
シャルは申し訳なさそうに笑い、小声で「ごめんごめん」と言った。その
それから
本の背表紙が整然と並ぶ様子は圧巻で、木と
「ねぇミュウちゃん、どこから探せばいいと思う?」
シャルが小声で
確かに、手当たり
そういえばアランシアは色んな国から
図書館内を
「……歴史書……かな」
以前、ルシアン王は言っていた。アランシア王国の初代王は
であれば、アランシア王国の歴史を
シャルとともに歴史書のコーナーに向かうと、古い
その一つ一つに、長い年月の重みを感じる。指で本の背表紙をなぞると、ざらついた
しばらく探していると、シャルが一冊の本を見つけた。
「ねぇ、これ見て! 『アランシア王国建国史』だって」
ページをめくると、黄ばんだ紙から古い
本の内容を読み進めていくと、興味深い記述を見つけた。目を
『アランシア王国の初代王、アーサー・ソレイユは、かの伝説の
初代王は
「アランシアの初代王が……!? あっ、そういえばルシアンもそんなこと言ってたような!」
シャルが興奮気味に言う。その声に、近くにいた
さらに読み進めると、もう一つ気になる記述があった。
ページをめくる音が、
『
「
シャルも
「ミュウちゃん、これが手がかりになるかも。
確かにそうかもしれない。でも、その
本を開く音、ページをめくる音が、静かに重なり合う。
しかし、
ただ、いくつかの資料から、
少なくとも、
地図を広げると、東方には広大な海が広がっている。
「東かー……結構遠いね」
シャルが
確かに、アランシア王国からはかなりの
図書館で得られる情報はこれくらいだった。
まぶしい陽光が目に入り、
図書館内の
人々の話し声、馬車の音、商人の
「さて、どうする? 東に向かって旅立つ?」
シャルの問いかけに、
確かに目的地は決まったけれど、まだ準備が必要だ。風が
「……準備が、いるかも」
「そうだね。お金も必要だし、装備も整えないと」
シャルの言葉に
「じゃあさ、まずは近場で
「……!」
その提案はいいアイデアだと思った。
「よし、決まりだね! でも、どの街に行く?」
確かに、どの街に向かうかは重要だ。東への道筋にある街がいいだろう。
街の
とはいえ、
「東に向かって歩く」……じゃだめだよね、やっぱり。
「そうだな……ここのサンクロスとかどう?」
「サンクロス……?」
「東への
シャルの説明に
地図上でサンクロスを指差すと、そこは大きな川と
「よーし、じゃあサンクロスに向かおう! 準備して、
マーリンを探す大きな目標と、そのための小さな目標。
少しずつだけど、前に進んでいる気がする。胸の中に、小さな期待が芽生える。
市場は活気に
戦争中の
準備を終え、宿に
空が赤く染まり、
街灯の様々な色の光が、
「ねぇミュウちゃん、
窓の外では、満月が
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