第57話 ヴェグナトール
講和会議が行われていた大広間は、
広間の
「そうだ。我はアリアに非ず。ヴェグナトール――
その声が建物全体を
空気が
「ミュウちゃん、危ない!」
シャルの
直後、
悲鳴と足音が入り混じり、パニックの
「ヴェグナトール……聞いたことがある。100年以上前、グレイシャル
ゴルドーの声が静かに聞こえる。さすがのゴルドーも、とんでもないモンスターを相手に少し
「ほう……
ヴェグナトールの
その声には、人間を見下すような冷ややかさが
「みんな、
ナイアが
その姿勢からは、迷いのない決意が感じられる。
その時、
「落ち着け! 順序よく
王の声に、少しずつだが人々の動きが整っていく。
足元の
「ミュウ! 良かった、無事か!」
ルシアン王が満足げに
「お前が何者かは知らんが……仮にも講和会議という場で、一方の国を
今後
ルシアン王の言葉には、外交官としての冷静さと、王としての
しかし、それはヴェグナトール――理外の
「グハハハハ……! グレイシャルがなくなる? それはいい! 我もソレを望んでおるわ!」
ヴェグナトールの
その
「くっ!」
ルシアン王が
しかし、ドラゴンの
光の
(
青白い光が
「ありがとう、ミュウ!」
王の
とはいえ、
あの
本人だけの力で、いつまでもあの
ルシアン王の額には、
その時、思いもよらぬ方向から声が聞こえた。
「お、おお……アリア……アリア……!?」
その先には、ヴェグナトールの
「
「……!」
「なんということを……っ!」
リンダとルシアン王がその光景に絶句する。
青白い光が
(……
「ありがとう、ミュウ! シャル、
ルシアン王の指示に、シャルが
シャルの
「おっけー! ほら
その
その時、ヴェグナトールが再び
今度は
「ちっ……! どうする、策はあるか!?」
ゴルドーが
「ゴルドー!」
ナイアが
「ぐあっ……!」
ナイアの体が宙を
(まずい。大回復
「
だからといって、決定打のない中いつまでも
その時、
低く、力強い音が建物全体を
「
「『あの』聖女アリアのことだ。これくらいはしてくるだろうと思って待機させておいた!」
ルシアン王の声に、
しかし、その
「ゾルダグ ヴァズナゲ ドゥルゾッゲ……!」
ヴェグナトールの
全身が、音の波と
「我は
これしきの兵が、物の数になると思うか……ッ!」
その
「何だこれは……!?」
ゴルドーが
「毒!?」
ナイアが
(状態異常回復
青白い光が
同時に、
金属音と共に、青い光の波が空気を切り
「でぇりゃあああああっ!!」
「ヌゥ……!」
それは
「その
シャルが
「シャル!」
思わず大きな声が出る。しかし、シャルはすでにそこから
「
ヴェグナトールの言葉に、
アリアのため?
しかし、今はそれを考えている場合ではない。
ヴェグナトールの
建物の柱が次々と
石材がきしむ音が絶え間なく
「このままでは
ルシアン王の
その声に応じ、アランシア王国の兵士たちが
「はっ!」
兵士たちの
まるで黒い雨のように、矢がヴェグナトールに向かって降り注ぐ。
しかし、
「ガゾ ブラゾグ ゲズバグ ドゥルゾッゲ、ゾルダグ ヴォゾゲガ ナッ!」
なんらかの
オレンジ色の
「あ――ああああああっ!!」
兵士たちの悲鳴が
(全体、大回復
やがて
「なっ、なんだ……!? 火傷がない!」
「これが聖女の
兵士たちの間で
これまでよりも早く、より強力な回復ができるようになっている。体の
それを見たヴェグナトールは、
その音は、
「聖女……聖女、聖女……!?」
ヴェグナトールが再び
しかし、その声には
その目に、
「アリア以外に、聖女などいない……! 貴様らはすべて
その光は
まるで世界そのものが
「な、何が起きている……! 今度は何をする気だ!?」
ルシアン王が
――光が収まると、
それは
まるでガラスの
「これは、結界!? ミュウ!」
ナイアが
「ミュウちゃん! そんな……っ!」
そして、
ナイアも、ルシアン王も、シャルもゴルドーも……
結界の「中」にいるのは、
「
全身が
こんなモンスターに、
(……けど)
「ミュウちゃん! ミュウちゃんっ!」
結界の外で、悲痛な表情を
「……っ!?」
(……
シャルを悲しませることはできない。私と違って優しくて明るいあの人を、傷つけることはしたくない。
この戦争が始まって、何度も自分に言い聞かせた言葉を繰り返す。生き残るために、できることをする。
(
「
光と、
それは、
ある意味で、
「――
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