第56話 聖女の正体
窓から
その光が、
かすかに
金属質の冷たい
シャルが
「ふわぁ~、まだ
シャルの声に、リンダが軽く
「あなた、もう少し
リンダの言葉に、シャルが
その仕草が、どこか子供っぽくて、思わず笑ってしまう。
そんなやり取りを見ながら、ルシアン王が静かに
「3人パーティーの
「何言ってんのこの男」
(リ、リンダ……! 一応王様だから……!)
「それはともかく。……本当によくやってくれた、ミュウ。
君がいなければ、この伝統あるアーケイディアは
確かに結界は
そう考えていると、
勢いよく開かれた
「陛下! 朗報です!」
息を切らせた伝令が、
「何だ? 落ち着いて報告せよ」
ルシアン王の落ち着いた声に、伝令は深呼吸をして言葉を続けた。
「は、はい。
フェルナヴ
その言葉に
シャルが大きな声で
「やったー! みんなすごいね! ゴルドーたちの
シャルの声に、
ルシアン王は、厳しい表情を
「
「はい。
その言葉に、ルシアン王の表情がようやく
「そうか……本当によくやってくれた。これで、戦争も終わりが見えてきたな」
その実感が、少しずつ
しばらくの間、
しかし、その平和な時間もつかの間。再び
「陛下! グレイシャル
別の伝令が、
「なに? こんなに早くか?」
「は、はい。ほとんど
ルシアン王の声が
「わかった。すぐに会見の準備をしろ。そして、グレイシャル
「はっ!」
伝令は深々と頭を下げると、急いで
その足音が、
ルシアン王は
「おそらく、これから
シャルが大きく何度も
「やった! やーっと平和が
リンダも、静かに
しかし、その目には
「ええ。なんだかんだ長かったわね、この戦争も。でも、まだ油断はできないわ」
聖女アリアのこと、あのドラゴンのこと……
そんな思いを
窓の外では、鳥のさえずりが聞こえ始めていた。新しい朝の
しばらくすると、
明らかに
「グレイシャル
「わ、
その言葉に、
ルシアン王は静かに
「わかった。受理しよう。
その
「あ、ありがとうございます。それで、講和会議の日程ですが……」
「ああ、それは後ほど
ルシアン王の言葉に、オスカーは再び深々と頭を下げると
しばらくの間、
戦争が終わった。その実感が、少しずつ
「……今ので戦争終わったの? ホントに? なんかやけにあっさりしてない?」
「そう……だな。たしかに予の作戦がうまく行ったのはあるだろうが、いささか
その言葉に、
いいことのはずなのに喜びきれないというか、なんというか。胸にモヤモヤとした感覚が広がる。
これからは、平和な日々が
グレイシャル
(そう思いたいんだけど……)
「まぁ、とりあえず! 祝勝においしいものでも食べようよ、ミュウちゃん!」
……そうだね。考えていたって仕方がない。
ひとまず今は、平和になったってことにしておこう。シャルの明るい声に、少し心が軽くなる。
窓の外では、鳥のさえずりがより一層
■
数日後、
講和会議は、戦争を終わらせる一手となったこの
冷たい風が
足元の雪を
それでも、窓から
大広間に入ると、そこにはすでにグレイシャル
その中心に立つ人物を見て、
黒色の
なにかがズレているように感じる。足音が不自然に静かに思える。
「ようこそ、アランシア王国の
アリアの声が
「この
「そうか。戦争のきっかけが語る
ルシアン王の声はいつになく
その皮肉な声に、
アリアの
「なんだと、貴様――」
「落ち着いてください、
……こ、
……たしかに、老人が身につけているものは
しかしなんというか、顔に
言われるまで
「……う、うむ。お前が言うのなら……」
……やはり、この国の実権はとっくにアリアが
それから講和会議が始まり、両国の代表が言葉を
羽ペンが紙をこする音、書類をめくる音が静かに
しかし、
動きが
そして、ふと気づいた。アリアの目。
その
(まさか……!)
「ミュウちゃん? どうしたの?」
シャルが心配そうに
「あ、あなたは……あの、ドラゴン……?」
その目に、
「何を言っているのかしら?
「あなたは……聖女アリア、じゃない……」
人前で
最初に会ったときも思っていたけど、やっぱり「これ」は人間じゃない。
心臓が激しく
あのときアランシアを
その
「な、何を言っておる!
(状態異常回復
このアリアの状態は「正常」ではない。
これをもとに
その
「
アリアの姿が
その体はみるみるうちに
石や木材が
「ガアアアアア……! まさか人間ごときが、我の
人々の悲鳴が
「そうだ。我はアリアに非ず。ヴェグナトール――
「ミュウちゃん、危ない!」
ヴェグナトールの
その声が、建物全体を
熱気が
「みんな、
ゴルドーの
悲鳴と足音が入り混じり、パニックの
空から降り注ぐ
おそらくこの戦争で――最後の戦いが始まろうとしていた。
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