第46話 収容所に潜入せよ
冷たい朝
空はまだ暗く、東の空がうっすらと明るくなり始めたところだ。
遠くから鳥の鳴き声が聞こえ、新しい一日の始まりを告げていた。
高さ20メートルはあろうかという分厚い
その頂上には、
建物全体から
「あそこが入り口ね……」
リンダが
「さて、どうやって入りましょうか」
リンダが
その時、
新しく
周囲には
「ああ……そうね、死体の服を借りるってのはどう?」
「!?」
し、死体の服を着るなんて……!?
胸が
「なによ。
「……」
確かに、
土は新しく、まだしっかりと固まっていない。
リンダが
「ほら、
リンダが小声で
冷たく
やがて、布きれが見えてきた。
その
リンダは
灰色がかった
そこには土の
その
「はい、着て」
「ひっ……」
差し出された服に、
その服からは死の気配が
冷たい風が
「もう、仕方ないわね。ほら、
そう言うと、
「……!」
そのままどんどん
寒い! そして
「ふーん、まぁまぁそれっぽいわね。栄養が足りてない
(
結局、
体に比べて大きすぎる服は、まるで子供が
歩くたびに布がこすれる音が聞こえる。
リンダも
朝の冷気が
内部は想像以上に広く、
その
その
空気は重く、
かび
その
時折
「シャルの情報を得るには、
(き、聞き出す……!?
無理無理! いやそんなこと言ってる
「ねぇ、あなた」
リンダは近くにいた
その目には
コミュ障……なわけではないだろう。
心も体も
それから
その前には2人の兵士が立っている。
「あそこが食堂みたいね。中に入って情報を集めましょ」
リンダの声には、わずかな期待が混じっている。
中は予想以上に広く、長テーブルが何列も並んでいた。
その向こうに広がる白い空が、この場所がいかに
外の自由な世界が、まるで別次元のように感じられる。
テーブルは長年の使用で傷だらけで、ところどころ深い傷がついている。
その傷に指を
その目は、長年の苦労を物語るようにくぼんでいる。
「新入りかい?」
老人の声はかすれていた。その声には、かすかな
「ええ、そうよ。ところで――」
その時、
金属的な音が耳を
警報の
金属的な音が耳を
食器が
「チャンスよ。今のうちにシャルがこの収容所にいるのかを探しましょ」
兵士たちは
警報の
その間を
「……っ!」
「ねえ、あれ」
リンダの声に、我に返る。
リンダが指さす先には、「立入禁止」と書かれた
空気中に紙の
書類の山が積み上げられた机が何台も並び、その
窓から
「
リンダの言葉に
紙をめくる音がやかましく
やがて、
開いてみると、そこには
その罪状のほとんどは「反逆罪」「納税義務
ページをめくる音が耳に残り続ける。しかしどれだけページをめくっても、シャルの名前は見つからなかった。
ここにはいない――その事実に、
もしかしたら、シャルはそもそも
それとも、別のところに
「ふうん……まったく、
(うーん……あるかなそんなの。えーと……)
目を
その時、
赤い
文字を見た
「これは……聖女
文書には、
『真なる聖女アリアの意向により、
アリア様は、
「どういうこと? 聖女が聖女を
それにアリアって……?」
リンダの声が
その時、
大きな
「ここも
心臓の
「ここにはいないようだ」
「他を探そう」
兵士たちが去っていく音が聞こえた。
……
「もう危ないわ。ここから出ましょう」
リンダが小声で言う。
警報はまだ
そして、
「お前たち、そこで何をしている」
背後から声がした。
「警報が鳴ったら
「あの、
「
看守は
……そのとき
傷口から
日常的に
その光景に、胸が痛む。
(……助けたい。この人たちを)
シャルを探しにここに
だけどこの
この中に、本当に罪を
一昨日の村でも、災害にもかかわらず納税は厳しくなる一方だと言っていた。
この
「……ちがう」
この
罪もない人が苦しみ
「ミュウ?」
「おい、聞こえないのかガキ! 列に並べ……!」
兵士の
兵士が
「ま、
兵士が
その
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます