第45話 雪解けの夜
村を出発してから、もう半日以上が
足元には
冷たい風が
空気は冷たく、息を
「はぁ……」
リンダのため息が、
「ねえ、あなた。少しは
「あ、あっ……その……」
やばい。「なんか
コミュ障にそんな話ができるわけもなく、
リンダは
「まったく。それにしても、あなたと旅することになるなんてね。
あのギルドにいたころは考えもしなかった」
そう言いながらも、リンダの目には少し
なにかを思い出しているのだろうか。
しばらく
それぞれの木には雪が引っかかって、森は白く染まっている。
枝から時折雪が落ち、ポタポタと音を立てる。
日が
木々の間から
「ねえ。そろそろ
「……」
リンダの言葉に、
地面にはたいてい、うっすらと雪が積もっている。
冷気が服を通して体に
リンダは荷物から
そして、遠くを見つめながら、静かに話し始めた。
「ねえ。
しかし
「
名門の学院で学んで、才能があるって言われてた」
リンダの目が、
「でもある日、貴族の
「結局、その子は助からなかった。
……そんなことがあったなんて。
「それからは
でも、あの時の
「だから、あなたみたいな天才を見ると、どうしても
あのとき
「……」
リンダは言葉を
天才。同じヒーラーのリンダがそう言うからには、そうなのかもしれない。
それに
……だけど、
助けられなくて歯がゆい思いをしたことはある。リンダが思うほど
「なによ、その言いたいことがありそうな目は」
しかし当然、
――そのときだった。
リンダが
「
次の
「おい、あそこに
「何者だ?
兵士たちの
リンダは
「ちっ、来るなら来なさい!」
リンダが
空気が重く、静電気を帯びたように感じられた。
「
リンダの
青白い光が森を照らし、
兵士たちは
雪を
「
隊長らしき兵士の号令で、
「
地面から
氷が形成される音が、ギギと
しかし、それでも2人の兵士が
「くっ……!」
リンダは
火球が消える音と共に、かすかに
「
兵士の
血が
その
近くに落ちていた長い枝を拾い、それを
「ミュウ!?」
(小回復
リンダの
青白い光がリンダの体を
「これは……!」
傷が
リンダの目が大きく見開かれる。
「……礼は言わないわよ!」
リンダの声に力が
「天上の
リンダの
リンダが
それゆえに、
「なんだこの女は!?
兵士たちの
リンダの
やがて、最後の
……辺りに
リンダは
その目には、
「はは……やっぱり、すごいじゃない。
「だけど……あ、あの……。戦ったのは、リンダ、だから……」
「……ふっ」
リンダは
その
夕日が森を赤く染める中、
風が静かに
……戦いの後、
空気は相変わらず冷たく、
その光は、雪に
パチパチと
リンダは
寒さと
毛布の中でも、冷気が骨の
「ねえ、ミュウ」
代わりに、何か
「は、はいっ……?」
雪を
その視線に、
「あなたって、本当に不思議な子ね」
リンダの言葉に、
「こんなに強いのに、自信がない。
人と話すのが苦手なのに、困っている人は
ああ……だからコミュ障と言われるんだろうなあ……。
「あのね、
リンダが何か言いかけたとき、
木々がざわめき、雪が
「……っ」
「あら、寒いの?」
リンダは自分の毛布を取り、
その行動に、
や、
「あ……ありが、とう……」
リンダの
「……何よ! そんなに
「あっ、ごっ、ごめんなさ……」
「だから
リンダが笑う。その
シャルくらいわかりやすければコミュ障にも助かるのになあ……。
夜が
時折、遠くで動物の鳴き声が聞こえる。
リンダはずっと
その視線が、
そのうち
気づくと、
リンダの体温が、
「あら、
リンダの声が、耳元で
「! ご、ごめん……」
「いいのよ。そのまま
リンダの声に、
リンダの体温と、
■
朝日が森を照らし始めたとき、
冷たい空気が
リンダはすでに起きていて、荷物をまとめていた。
おかげであまり寒さを感じなかったみたいだ。
毛布からは、リンダの
「おはよう、ミュウ。よく
リンダは何事もなかったように声をかけてくる。その声には、いつもの
毛布と
「なによ。毛布のことなら
「あ、う、うん……」
「
昨夜の
「さあ、出発よ。シャルを探さないといけないんでしょ?」
リンダの言葉に、
そうだ、シャルを探さないと。シャルの
雪を
木々の間から
そうして森を
その姿は、まるで
「あれね。見つからないように気をつけないと」
リンダの声が低くなる。
「……うん」
危険なことは分かっている。だけど――。
リンダが
「ミュウ、約束しなさい。無茶はしないって。
あなたが無茶することは、シャルだって望んでないから」
リンダは
「よし、行きましょう」
リンダが前を向いて歩き出す。
静かな森を
寒風が
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