第44話 雪の村の聖女
その
火のはぜる音と、木材の
「ふぅ……」
思わず
村人たちが用意してくれた毛布にくるまり、
毛布の
その
ハーブティーの
「あ゛~まったく……死ぬかと思ったわ」
リンダの声には
「お2人とも、本当に
村長らしき老人が、心配そうに
どうやら本当に心配してくれている……ように見える。
村長の目には、年月を感じさせる深いしわが刻まれていた。
「ええ、ありがとうございます。おかげさまで……」
リンダが
「そうですか、よかった。しかし大変な目に
村長は少し言葉を選ぶように間を置いた後、続けた。
長年の苦労が
「最近、こんな異常な
その言葉に、
窓の外では、まだ風の
「ええ、
リンダの言葉に、村長は深くため息をついた。その息が、白い
「ええ。
それなのに、
村長の声には、深い
リンダは
そんな中、
ドアが勢いよく開く音が、
「村長! またヨナおじいちゃんが具合悪くなって……!」
「なんだって!? くっ……もう薬もないのに……!」
青年の
しかし、リンダが
「待ってください。この子なら、きっと助けられますよ」
「!?」
リンダが
「え? この子が?」
村長が
「ええ。この子は並外れた回復
リンダの言葉に、村人たちの目が
いや、まあ、できるけど……!
でも
「本当ですか!? お願いします、ヨナおじいちゃんを助けてください!」
青年が
体力が
足元がふらつくのを感じながら、
案内されるまま、
その手足は、ひどい
(……
両手を広げ、
青白い光が、
その光が老人を
光の温かさが、
今の状態じゃ、戦いの場では役に立てないだろう……。そんな思いが頭をよぎる。
「う、
青年が
「お、おじいちゃん!」
青年が老人に
老人はゆっくりと目を開け、周囲を見回した。その目に、生気が
「む? わしは……」
「良かった……! 本当にありがとうございます!」
青年が
その様子を見ていた村人たちも、
そして、その
「回復士が
「どんな病気も
(なんか
村人たちの興奮した声が、あちこちから聞こえてくる。
そして、次々と病人や
「どうか、
「この傷、治していただけませんか」
次々と寄せられる願いに、
そんな中、リンダがにやにやとしながら歩いてきて、
「さすが聖女様ね? 相変わらず、
その言葉に、
相変わらずリンダは
そんな
「本当にありがとうございます。
村長の目に、
ラーナの村でもこんなだった。
ひどい国に思えても、そこに暮らす人たちは
(……シャル)
村の風景を
会いたい。また
きっと無事でいてくれると信じているが……。胸が
しかし、そんな感傷もつかの間。
馬の
「神
その声に、村全体が
リンダが
「まずいわね。どっか
リンダの声に、
「くっそ、まさかここまで追ってくるなんて……!」
リンダが低い声で
その時、村長が
「お2人とも、こちらへ!」
村長は
「ここに
暗くて見づらいが、何かの荷物が置かれている場所だった。
木箱や
かなり遠くから、重い足音と
その音が
「我々は
「いいえ、ここには何も……」
村長の声が聞こえる。その声には、かすかな
「本当か?
その声に、
「ご、ご心配なく。この村には何も……」
「おい、そこの家から光が
別の
「あ、あれは……」
村長の
「なんだこれは? 大勢の村人が集まっているじゃないか」
「これは……」
「村長、説明しろ」
厳しい声に、村長は言葉を
「じ、実は……回復士の方が、
村長の言葉に、
リンダが
「回復士だと? どこにいる?」
「い、いえ、もう行ってしまわれました。
「
木材が割れる音、金属が
「お、落ち着いてください! 本当に、もういないのです!」
村長の必死の声。しかし、
「村中を
「おい、やめろ! いくらなんでも横暴だぞ!」
「
その声と共に、さらに大きな物音が聞こえてきた。
家具を
「……今は動けないわ。見つかったら終わりよ」
時間が過ぎていく。上からは相変わらず
どれくらい
「ここも調べろ」
冷たい声と共に、光が差し
足音が近づいてくる。心臓の
その音が、周囲の
そして――
「――ここには
「そうか。次だ」
その息が、
しばらくして、上の
「もう
村長の声だった。
村の中は、
「申し訳ありません。
リンダが深々と頭を下げる。村長は首を
「いいえ。むしろ、
それにしても、自国の
「……しかし、
「さぁねえ。急に
村人たちの
「そういえば……あなたのお名前をお聞きしても?」
「あっ、え……」
「ミュウよ。この子の名前はミュウ。お察しの通り、あいつらが探してる聖女ってのはこの子ね」
な、なんでバラしちゃうの! 村人はざわついて
「なるほど、
「道理ですごいわけだ」
「……なるほど。ならば、ここに
その村長の言葉に、
「……まだ、だめ……です」
「え?」
リンダが
「あなた何言ってるのよ。このままじゃ
「シャルを、探さないと。
リンダは
「ギルドにいたあの
「…………」
村長とリンダは、
たとえ難しくても、絶対にシャルを見つけて再会する。それ以外の
「……ふん、生意気ね。いつの間にか、しっかり自己主張するようになったじゃない」
リンダが
「……っ!?」
「じゃあ、あたしも付き合うわ。あんた
「……! あ、ありが……とう」
「うっさい! 感謝するな!」
なっ、なんで……!?
村長は深いため息をついた後、ゆっくりと話し始めた。
「分かりました。ではせめて、
「こことここに、
……
(シャル、待っていて。必ず会いに行くから――)
外では、まだ冷たい風が
しかし、その風に乗って、かすかな希望の
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