第43話 雪中の逃走
「さあ、急ぐわよ」
リンダの声に
リンダの足音が、
足音を殺しながら、
冷たい石の
月明かりが石造りの
時折、遠くで兵士たちの話し声や足音が聞こえ、その
リンダは時折角で止まり、周囲の気配を
その仕草は、まるで
「あ、あの……あの」
「何よ?」
リンダの返事は短く、
「この
リンダは歩きながら、深いため息をついた。
その息が白く
「
「……!?」
その言葉に、
「あなたもその聖女の
リンダの言葉に、
なぜ聖女を
寒気が走り、全身の毛が逆立つのを感じる。
「この
他国にまで使者を送って、それなりに認められてる人間を
リンダの言葉が
金属の
「しまった!
リンダは急いで
「おや、リンダ
兵士の声が
リンダは落ち着いた様子で答えた。
「ああ、夜の散歩よ。城内の空気が
「そうですか。それは申し訳ない。
ところで、先ほど
「まあ、大変!
回復士の
リンダが
それにしても、回復士の
あれからそんなに
「ふう、危なかったわね……さあ、急ぐわよ」
城内を
冷たい夜風が
しかし、その
「警報だ!
その音は、まるで
「くそっ、何よこれ!? とにかく見つかったみたいね。走るわよ!」
リンダが
月明かりに照らされた雪が、銀色に
背後では
そして――。
「きゃっ!」
リンダの悲鳴が夜空に
雪が
「痛っ! くそっ、足首を……」
リンダの顔が苦痛で
月明かりに照らされた
「
雪の冷たさが手を通して伝わってくる。
(小回復
冷たい雪と、温かい血の
その光が雪面に反射し、
「あ……あの、
「
リンダの
遠くから、雪を
「待て! どういうつもりだ、
遠くで犬の
寒さで
「ちょっとお休みをいただくわ!
矢となりて敵を
「うおっ!?」
リンダが激しく
熱波が
「よし、これで
リンダが立ち上がり、再び
風が耳元で
「待て! 貴様らっ!」
だがさすがに、
「チッ! ……もういい。追う必要はない」
「しかし隊長、それでは――」
「いや、じきに――」
遠のいていく
それからしばらくして、城下町の建物がなくなってきた
風の音が強くなり、雪の
「
リンダの声が風にかき消されそうになる。
白い粉雪が激しく
寒さが一層厳しくなり、体が
「くっ、このままじゃ
リンダの言葉に、
しかし、この
城下町まで
となると、この何も見えない雪原を進むしかない……? 不安が胸を
寒さで体が
息を
「あ、あの……だ、
リンダは顔を
「問題ないわよ……
ぶっきらぼうに言い放つ
たしかに、
「あ、あの……どうして、
そんな
それゆえに、どうしてなのか知りたかった。
「あのとき……あなたなんか目じゃないくらいのヒーラーとして成長してやる、って言ったでしょ」
「……」
「勉強もしたし、
リンダは無感情にそう言いながら、
ザクザクと大きく足を上げなければ雪の中は進めない。
雪を
「あなたが死んだら、目標として比べる相手がいなくなるじゃない。だから助けた。それだけよ」
「でも……っ」
「うるさい!
リンダに
地面も視界もほとんど真っ白だ。
そんな中、
風の音だけが耳に届き、
「……大、丈夫……?」
「……あんたこそ……
そう言いながら、リンダが
その
「ちょっと! あんた、
痛みはほとんど感じないが、それが逆に危険な兆候だと分かる。
指が動かしにくく、感覚が
「わ、
「バカね! 自分の体くらい自分で治せないの?」
リンダの
温かい光が体を包み、少しずつ感覚が
「はぁ……あんた天才のくせに、こういうとこ
リンダが
「ご、ごめんなさ……」
「いいわ。それより……」
リンダの言葉が
その手の
「あんた足
そう言うと、リンダは
「ぐえ!? り、リンダ……!?」
「
あたしが走るから、あんたは
リンダの声に迷いはない。
雪を
リンダの体に
温かい光が
「あ~、くそーっ! なんで
リンダの
「
リンダの
「
時間が
リンダの体から伝わる熱が、
「リンダ……あ、あの……もう
もう
「うるさいうるさい! あんた捨てて行ったら余計意味わかんないでしょ!
犯罪者になった上に
リンダの声に、
だけど、その
それからも
そして――。
「あっ! あそこ!」
リンダの声に、
「村……! 村があるわ!」
リンダの足が、さらに速く動く。
光に向かって走る。雪を
光が近づくにつれ、家々の
「た、助かった……!」
リンダの声が
「リンダ!」
「くっ……はあ、はあ……! ち、チクショー……
リンダの声がかすれている。
……重い! 重いけど……!
「だ、
村の入り口まで、あと数歩。足が雪に
そして――。
「
ドアが開く音、人々の話し声、そして
「
「2人いるぞ! とにかく中へ入れろ!」
……助かった。
村人たちの暖かい手が、
家々の明かりが、まるで天国の光のように感じられた。
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