聖女戦争編
第42話 牢獄の中
……冷たい。
石の
小さな窓から
その光は、外の世界がまだ存在していることを教えてくれる
時折、風が
(シャル……今どこにいるの……?)
シャルの
いや、考えるのをやめよう。シャルは強い。きっと
(でも、あの時もっと強く
その息が白く
ここはグレイシャル
広大な領土を持ち、様々な文化が入り混じっている。
そんな国の、最も
目を閉じると、つい数日前の出来事が、
■
エテルナ共和国。エルフたちの国。
まるで森の中にいるような、
生命力に満ちた
そして何より、
あの
「エルフのみんな元気だねー!
シャルの声が、
その姿が、今でも
そう、あのときの
そんな
その
「あなたが聖女、ミュウ様ですね」
「……?」
「なになに、どちらさま?」
「グレイシャル
その言葉に、
「グレイシャル
「ええ。それゆえに体調を
「……!」
使者の言葉は
力を貸す理由には十分に思えた。
「
「うん、おっけーだよ! ミュウちゃんもやるでしょ?」
シャルは
その目には、
もちろん、
寒さは危険かもしれない。でも、困っている人々を助けることができるなら……。
そうして
エテルナを後にする時、評議員たちが
「気をつけて行ってらっしゃいませ。
グレイシャルは……少し変わった国ですから」
その言葉の意味を、
■
北への旅の道中、
エテルナの緑豊かな森を
そして
木々の
シャルはいつもながら道中ずっと明るかった。
「ねえミュウちゃん、グレイシャル
雪がいっぱいなんでしょ? 楽しみだね!」
以前住んでいたところでは、雪なんてあまり見たこともなかった。
そうして数日かけて、
目の前に広がる光景は、まさに銀世界だった。
どこまでも続く白い雪原。空高くそびえる黒い
冷たい風が
しかし、その美しさも
「動くな!」
「っ!?」
馬のいななきと、
「聖女を
その声に、
何が起きているのか、理解できなかった。心臓が
「ちょ、ちょっと待って! 何言ってるの?
何かの
シャルの必死の
馬車の
その冷たい目つきに、背筋が
「なっ……! あんた、あたし
「
「お前っ……!」
シャルが
兵士たちは
金属の冷たい
「
「あっ……!?」
雪の上に体が転ぶ。冷たさが体中に広がる。
「ミュウちゃんから手を
シャルが
同様に、
ガチャガチャとした
「連れていけ」
……そうして、
「ミュウちゃん! ミュウちゃーん!」
シャルの
その声を聞いていると、なんだか泣きそうになる。
だけど
そうして
…………。
目を開けると、また同じ灰色の
どれくらいの時間が
ここには
ただ、定期的に看守がやってきては、わずかな食事を置いていくだけだ。
冷たいパンと水。それが
だけど、こんな所で
シャルのために。そして、
きっと、ここを出る方法はある。そう信じて、
そんな
重々しい足音が、
金属が
その姿は冷たい月光に照らされ、不気味な
「聖女
「……!?」
看守の冷たい声が、
その言葉の意味を理解するまでに、少し時間がかかった。心臓が大きく
「3日後の正午だ。それまでお前の罪を
男が去ると、再び
足音が遠ざかっていく中、
(
現実感のない言葉に、胸が
呼吸が浅くなり、
これまで何度も死の危険は味わってきた。
でも、こんな風に一方的に死を宣告されるのは初めてだった。
冷たい石の
(
エテルナやアランシア王国の人々の
もう二度と会えない。そう思うと、胸が
時間が過ぎていく。それがどれくらいだったのかはわからない。
ただ、絶望の中で、
そんな時、再び足音が聞こえてきた。
豊満な胸が、
……あれ?
どこかで見た、ような……。
「はぁぁ……ミュウって名前聞いたからまさかと思ったけど、ホントにあんたなの……!?」
その声に、
「リ、リンダ……さん?」
かすれた声で、
以前ギルドで
リンダは
その
「そうよ。こんなところで再会するなんて思わなかったわ」
その目は、
「どうして……ここに……?」
「どうしてここにはこっちの
「ひっ!」
「……ま、なんとなくわかるけど。『聖女
「せ、聖女……がり……?」
聞き返すと、リンダはギロリとこちらを
「とにかくねぇ! あんた、こんなとこに
「……!」
その言葉に、
力なく首を横に
「だったら……
「え……!?」
「その代わり!
命を! 救って! やるんだから!」
リンダの目が
その音に再び体が
「どう? このまま死ぬか、それとも
リンダの問いかけに、
生きる。生きてここから出る。シャルのために、そして自分のために。
リンダの
「よろしい。じゃあ行くわよ」
そのうちの一つをガチャガチャと
金属同士がぶつかり合う音がけたたましく
しばらくして、ガタンと
金属の
「さ、立ちなさい。早く
リンダの手が
――――
あとがき
今回から新章、「聖女戦争編」突入です!
この作品だと初の長編になるのでいろいろと見切り発車です。
ミュウの行く末やシャルの行方が気になる方は、ぜひ作品のフォローと★評価をお願いします!
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