第41話 夢から醒める国
ゆっくりと目を開けると、そこは見慣れない白い
窓から
カーテンが風に
「あ、ミュウちゃん! 目、覚めた?」
シャルの声に、
「……」
「ゆっくり飲んでね。もう
水を飲み終えると、少し体力が
「ここは……?」
かすれた声で
「エテルナの病院だよ。夢
シャルの説明に、
そういえば、
その
「びょ、病気は……?」
心配そうに
「あ、そうそう! ミュウちゃんが夢
シャルの
窓の外から、街の
「……よかった」
小さな声でそう
「あ、そうだ! 評議会の人たちに
「……?」
シャルは少し困ったような、
その表情に、何かいやな予感がする。
「いやー……あはは。ま、割といつものだよ、聖女さん」
「……!」
シャルの言葉で、
「ミュウちゃんのこと、みんな『夢
ちなみにあたしは『
シャルは
「……!」
これなら
そんな
「
シャルの言葉に、少し安心する。しかし、まだ胸の中にモヤモヤとした感情が残る。
そんな時、
「失礼します」
入ってきたのは、エテルナの評議会の
その声は落ち着いていて、どこか
「お2人のおかげで、我々の街は救われました。心から感謝申し上げます」
「いいっていいって! それに、結構乱暴なやり方しちゃったし」
シャルの明るい声に、
そ……そうだよ! ちょっと忘れかけてたけど、
あれって
「いえ。おかげで目が覚めました。
伝統を守ることは大切ですが、それに
お、おお……好意的に受け止めてくれてよかった。
けど少し
「評議会では、お2人に正式な感謝の意を表したいと考えております。
よろしければ、後ほど評議会にお
「うん! ミュウちゃんが歩けるようになったらね」
シャルが
評議会という言葉に、
「それと……」
評議員は少し言葉を
「街の人々が、お2人のためにパレードを準備しているんです。
「えっ、すご! ねえミュウちゃん、パレードだって!」
「……!?」
シャルは興奮気味に
しかし、
(パレード? ……パレード!? そ、そんな、無理無理無理……!)
首の筋肉とか頭が痛くなるほど。
「め、めっちゃ
(だめどころの
なんであんなに
しばらく頭を
頭からシーツを
「ああっ、ミュウちゃんが
シャルが
「あ、あの……」
「あ、ごめんね。ミュウちゃんはあまり人前に出るのが得意じゃないんだ。やっぱりパレードはナシで!」
シーツの外で、シャルはやんわりと断ってくれていた。
はぁ、よかった……。
「わかりました。では、別の形で感謝の意を表させていただきます」
評議員が去った後、
「はぁ、はぁ……」
シーツからちらりと外を
その目が、何かを
「ミュ~ウ~ちゃ~ん?」
「……っ?」
すると……シャルがこちらに
シーツをめくられ、
「っ、あっ……! や、やめ……っ、あはっ、ははっ」
思わず笑い声が
「
(や、
シャルの指が
窓の外では、鳥のさえずりが聞こえ、新しい朝の
■
しばらくして、
エテルナの中心部に位置するその建物は、相変わらずの
幹の表面には複雑な模様が刻まれ、その年輪が物語るように古代からの歴史を感じさせる。
木の幹に作られた
一段一段、足を
風が
「相変わらずすごいねー、この建物!」
シャルの声が、静かな空間に
頂上まで
中心にいるのはエルダー・リーフハート。
「ようこそ、
声には温かみがあり、
「ミュウ
エルダーが立ち上がる。
「あなた方の勇気と
それと同時に……謝罪を。あなた方の言葉を信じきれず、不十分な協力となってしまったことをお
評議員たちが
その光景に、
「いやいや、頭なんて下げなくていいって! みんなが無事でよかったよ!」
シャルが明るく返事をする。
「あなた方の功績は、永くエテルナの歴史に刻まれることだろう」
エルダーが続ける。
「我々は、あなた方に『エテルナの守護者』の
その言葉に、シャルが目を
「おお! なんかすごそうな
胸の中で、複雑な感情が
その後、評議員たちから様々な感謝の言葉を受けた。
中には、夢
その
式典が終わり
「聖女様!」
「
「ありがとうございます! 本当に助かりました……!」
様々な声が
またなんかふらふらしてきたかも……。頭がクラクラする。
そんな中、1人の少女が
「聖女のお
少女の
白と黄色の花束を受け取ると、その
花の
シャルが
「ほら、みんなただ感謝したいだけなんだよ。
周りの人々の
空には夕日が
……あんな夢を見たせいだろう。風が
それから宿に帰るべくエテルナの中心広場を歩いていると、
「おや、これは
夕暮れ時の空気が少し冷たく、
ていうか何その「君」付け……。
風が
その音が、この場の
「グラハム……」
シャルは不満げに
前回エテルナで会ったときの険悪な
空気が重く、息苦しさを感じる。
それから
「は……ハッハ、そんなに
グラハムは両手を広げ、無害を
しかし、その目には計算高い光が宿っていた。
「聞いたよ。この国の病気をすっかり治したそうじゃないか。
さすがは
「そこでだ。
グラハムの提案に、
シャルは
「
そこでお前たちのような実力者がいれば、きっと評議会も認めてくれるはずだ」
そこで、エルフたちの評判のいい
「ミュウちゃん、どうする? ミュウちゃんが決めていいよ」
「……!?」
そ、そんな……! どうして急にぃ……。
と思ったが、シャルの表情を見るに、意地悪しているわけではなさそうだ。……はぁ。
深呼吸をすると、木々の
「……いやだ」
自分でも
「なっ……!」
グラハムの表情が
作り笑いが
「おいおい、考え直せ! 君たちのような力は、組織の中で
「わ、
責めるようなグラハムの言葉、何事かと見つめるエルフたちの目に体が
以前ならここで、
だけど今は、もう
「
その仕草に、勇気をもらう。体の
「くっ……」
グラハムの顔が
「いいか、よく聞け! お前たちが今、評価されているのは、たまたま大きな事件に
いつまでもそんな幸運は続かないぞ! いずれ必ず
その時、
「何か問題でも?」
評議員の声に、グラハムは
「い、いえ。何でも……はは」
「エルフの伝統を理解せず、我らの
「なっ! そ、それは……」
「あなたはこの国から
「グラハムだ! 貴様っ……! この
グラハムは
その背中が、夕暮れの
彼が逆に
評議員は
「やれやれ。せっかく人間を見直していたところだったのに」
「あはは……まぁ気を落とさないでよ。人間だって、あんなんばっかじゃないからさ!」
「ええ、存じております
シャルと評議員は
激しかった心臓の音が
夕日が
(マーリン……)
(もっと、あなたについて知りたい)
……
夜風が
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