第38話 夢喰らい
翌朝。
エルミラの
周囲には背の高い銀色の木々が立ち並び、その葉が朝日に
やはりというか、
それぞれの木から感じる
「さて、ここの
シャルの声には、少し不安が混じっている。
何か神秘的な
そして、
「わぁ……なんだかすごい場所。
シャルが
「お入りなさい、お待ちしていましたよ」
……
中は予想以上に広く、
様々な色の
そして、その
銀色の長い
しかし、その目は若々しく、
「よくいらっしゃいました、人間の友よ。
その声は、まるで森そのものが語りかけてくるかのような深みがあった。
これまで出会ったエルフとは少し
「あの、あたしたち夢
「わかっています。あなた方の来訪は、風が
話そうとするシャルを手で制し、エラニアはゆっくりと立ち上がった。
「夢
「古の
シャルが身を乗り出す。
エラニアは巻物を広げ、そこに
赤い目と
「かつて、我々エルフと自然界との間に結ばれた
しかし、時が
「夢
シャルが首を
「そう、夢や希望、生命力そのものを食らう存在です。
古の時代、我々の先祖は自然との
しかし今、その
エラニアの表情が暗くなる。
「なんで
「我々エルフが、自然との調和や古来の
よき
「は……はぁ」
気持ちはわかる。エルフが精神的に
どちらかというと、今のエルフを
「じゃあ、どうすればいいの?
エルフの人たちを
シャルの言葉を、エラニアが静かに受け止め
「答えは、夢
「その
シャルが
「ええ? でも、そこに
「そうです。しかし、その
これから先、どうすればいいのか。答えはあるのに、それに
伝統って
■
エラニアとの話を終えた
再び国の中心部に
その周りには、
「ミュウちゃん、
シャルが
ここ最近の
もちろん、
「オッケー。じゃ、行こっか!」
評議会の広間に入ると、半円形に並んだ席に様々な
中央には、先日会ったエルダー・リーフハートの姿があった。
「人間の
エルダーの声が
「うん。エラニアさんから重要な情報をもらってきたよ。
夢
評議会の面々がざわめく。不安そうな表情や、
「夢
「古の伝承に登場する
「そして!」
ざわつく評議会の言葉を
「その
だからあたしたちに、その
「とんでもない!」
「人間に我々の聖地を
「そもそも、人間の言うことを信じられるのか?」
シャルの
しかし、そんな中シャルは
エルダーが手を挙げ、
「静かに。
「ありがとう。あたしたちは
ただ、病気の原因を
評議会の中で、意見が分かれ始めた。
エルダーは
議論は延々と続き、
人間である
この
やがて、エルダーが立ち上がった。広間が静まり返る。
「
その言葉に、
「我々の伝統と
「でも――」
エルダーの言葉に、評議会のメンバーたちが
シャルは口を開きかけたが、
「……そうだね。
「ねえ、ミュウちゃん。やっぱあたし、
評議会の決定を無視するなんて危険じゃないかな……!? どんな目に
「だって、このままじゃ病気は広がるばかりでしょ? あたしたちにできることをしなきゃ」
シャルの言葉に、
でも、エルフたちの
それに、アランシアでは似たようなやり方でなんとかなった……けど、今回もうまく行くとは限らない。
あのときは
「ミュウちゃんはどうする?
(ええええ……)
シャルの問いかけに、
(……シャルについていくしかない。だって、シャルは
ゆっくりと、
「よし、決まりだね! 準備して、夜に出発しよう」
シャルの声には興奮が混じっていた。
これから何が起こるのか、想像もつかない。
でも、シャルと
そう思いながら、
夕暮れの街並みが、
■
月明かりに照らされたエルミラの街並みは、昼間とは
木々の葉が銀色に
「よし、行こう」
シャルが小声で言った。
足元の
時折、夜行性の生き物の鳴き声が聞こえ、
「ミュウちゃん、
シャルが心配そうに
それらが入り混じって、胸の中でぐるぐると
しばらく歩くと、木々の間から
月明かりに照らされたその姿は、
「あれが
近づくにつれ、
その門には、見たこともない文字が刻まれている。
「なんて書いてあるんだろう? ミュウちゃん、読める?」
シャルが首を
当然、
内部は予想以上に広く、
「この
たしかに、赤い目と
足音が
時折、どこからともなく冷たい風が
そんな中、
「聞こえる?」
シャルの
かすかに、どこかで
中央には
「……
――その
光はみるみる強くなり、やがて人型の姿を形作り始める。
「
低く、しかし
姿を現したのは、
赤い目、
「おまえたちの夢……すべて頂く。悪夢の中で
夢
意識が
「ミュウちゃん! やば……い……」
シャルの声が遠くなっていく。
最後に見たのは、シャルが
そして、
周りの世界が
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