第37話 またお前か!
翌日の朝、
遠くでは鳥のさえずりが聞こえ、街が少しずつ目覚めていく音が耳に届く。
しかし、その美しさとは裏腹に、通りには不安げな表情のエルフたちの姿が目立つ。
時折聞こえる
「ねえミュウちゃん、あそこかな?」
シャルが指さす先には、小さな木造の家が見える。
屋根には美しい
その前には心配そうな表情の若いエルフの女性が立っていた。
その目には
「おはよう! あたしたち、評議会から
シャルの言葉に女性は
「どうぞ、中へ」
家の中に入ると、
案内されたベッドには若いエルフの男性が横たわっていた。
時折、体が小刻みに
すると、
それは通常のものとは明らかに
しかも、
その感覚は、まるで
「ミュウちゃん、どう?」
シャルの問いかけに、
通常の病気とは明らかに異なる何かを感じるが、その正体がつかめない。
口を開きかけたが、言葉にするのは難しい。MPの消費も気になるので、
(状態異常回復
青白い光が
その光は
その
「うーん……
シャルが
「夜になると悪夢にうなされて苦しみ、朝には極度の
日に日に元気がなくなっていって、今はほとんどベッドの上で……」
女性の声は
――その
暗い森、
必死に足を動かしてその
「っ!」
思わず手を
まるで自分自身が悪夢を見ているようだった。
「ミュウちゃん、
シャルの声に我に返る。
小さく
「んー、なるほど。今のところは完全には治せないけど、ちょっとは楽にできそう……って感じかな」
シャルが女性に告げると、
その目に宿った光が、
(中回復
今度は体力の回復と、精神を安定させる効果も加えてみた。
しばらくすると、
顔色も
「あ……! ありがとうございます!
感謝を伝えるエルフの女性の声には、
その
それから
街を歩きながら、至る所で同じような
全員が全員医者にかかるわけではないようで、
その
それでも、少しずつ街の
日が
周囲では
「なーんか、
そもそも『夢
シャルの
確かに、通常の病気とは明らかに異なる何かがある。
それは
「でも、ミュウちゃんの
シャルの言葉に、小さく
しかし、心の中では
この病の根本的な原因は一体何なのか。そして、それをどうすれば解決できるのか。
光る
しかし、その美しさの中にも、どこか
■
宿に
夕暮れの
そんな静かな
「なっ、お前たちは……!?」
聞き覚えのある声に、
広場の中心にある古びた石柱の
ノルディアスでの出来事が頭をよぎる……。
「えっ、グラハム!? なんでここにいるの?」
シャルの声が
同時に
グラハムが以前
金属のかすかな音が、
グラハムは
「ふん、お前たちこそ何をしている? この国でも
その言葉に、シャルが
が、直後にニヤリと
金色に
「ふっふっふ……あたし
「は……はぁ!? 何なんだそりゃ、何がどうなってそんなことに……!?」
グラハムはあからさまに
……ちょっと気分がいいかもしれない。
「あんたこそ、ギルドはどうしたの?」
グラハムの表情が
「はっ! あんな小さなギルド、とうの昔に卒業したさ。今はもっと大きな野望を
その言葉とは裏腹に、
どうやら、ギルドの
「へー……
「
「新たな
シャルは目を細めてグラハムの赤くなった顔を見つめる。
図星のようだ。
「こ、ここには
言葉に
でも、ここで
エルフの人たち、あんまり人間が好きじゃなさそうなんだけど……。
周囲を見回すと、
「ふーん、で、ミュウちゃんに何か言うことないの?」
責めるようなシャルの言葉に、グラハムは
その目には、かつての
「チッ。言うことなんぞないね。そいつが
「営業停止って……
かつてのギルドマスターの姿はそこになく、ただの迷える中年男性がそこにいた。
「チッ……相変わらず無口なやつだな」
グラハムは大きなため息をつくと、がっくりと
「まあいい。お前たちとはもう関係ない。
せいぜい、この国でも
そう言い残すと、グラハムは
「なんだったんだろうね、あれ」
シャルが首を
「まあいっか。あんなやつのこと気にしてもしょうがない。さ、宿に
シャルの明るい声に
グラハムとの予期せぬ再会は、どこか
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