第36話 夢枯れ病とエテルナ共和国
「エテルナ共和国という、アランシアの同盟国があってね。その地で
カップを受け皿に置く音が、静かなレストランに
「
でも
ルシアン王の言葉に、シャルが首を
「エテルナって、エルフの国だよね? あんまり人間と
「ああ、その通り。どうもあの国のエルフが、初代王と親交があったようでね。
エテルナは古くからの伝統を重んじる国。それゆえに今まで同盟も続いていたのだが、いかんせん、新しい問題への対処が苦手なんだ」
ルシアン王は紅茶に口をつけ、
その仕草に、王としての
カップを置く音が、再び
「時に伝統は、新しい問題の解決を
だからこそ、予はミュウ、シャル。君たちの力を借りたいのだ」
(
思わず
「ギルドからの正式な
エテルナに行って、この
ルシアン王の
「任せてよ、ルシ……じゃなかった、ルーク!
ミュウちゃんならどんな病気だって何とかしてみせるよ!
ラーナの村だって助けたんだしね!」
シャルの明るい声が
「ありがとう。君たちは本当に、
■
そして、エテルナ共和国。
国境を
森林の
木々のざわめきと、遠くで聞こえる鳥のさえずりが、この地の自然の豊かさを物語っていた。
首都エルミラに
空に向かってそびえ立つ
その幹や枝に沿うように建てられた建物群。
まるで、自然と建築物が一体化したかのような光景だった。
街路樹の間を
そこを
水面に映る木々の
そして、そこかしこに見られるエルフたちの姿。
長く
(
その
周囲から
「わぁ……すごい
シャルが興奮気味に
確かに、
不思議と
街を歩きながら、
エルフの子供たちが、空中に
その笑い声が、街の
色とりどりの商品が、
だが、そんな
(ん……?)
街の
しかし、人々の表情には何か暗いものが
通りの
「ねえミュウちゃん。なんか変じゃない? みんな元気なようで元気じゃないっていうか……」
シャルの言葉に、小さく
「また『夢
「ああ、
「伝統的な
(夢
聞いたこともない病名に、思わず足を止める。だが、その
「おや、人間さんかい?
深いしわの刻まれた顔。だが、その目は若々しく
「あ、うん! あたし
シャルが明るく答える。だが、老エルフの表情が
「そうかい。だが、今のエテルナは観光どころじゃないよ。
『夢
老エルフは、少し悲しそうな表情を
「人間さんには悪いが、この国じゃ今、よそ者は
その言葉に、シャルが
「え、どうして?」
「この国じゃ、人間を見下すエルフが多いんだよ。『夢
『人間の仕業だ』なんて言う
老エルフはため息をつく。その息には長い歴史と
「まあ、
これも何かの
そう言って、老エルフは去っていった。
(
「わかってたけど、ただの観光じゃすまなそうだね。しっかり調査しよっか!」
エルミラの空に、
オレンジ色に染まった空が、
だが同時に、その光は不安の
■
翌朝、
エルフたちの
すれ
その
「ねえミュウちゃん、なーんか視線がヤな感じじゃない?」
シャルの声には
(……まぁ
そう思ったが口には出さない。変な人だと思われそうだ。
やがて、
その幹には
エテルナ共和国の評議会だ。……階段で登らないといけないとは思わなかった。
そんなふうに気が
「人間よ、ここは立ち入り禁止だ」
アランシアでもらった、金色に
「そ、それは……! アランシア王国の
「どう? 通してもらえる?」
「……ああ。通るがいい」
衛兵はバツが悪そうに道を開ける。
最上部にある評議会の内部。
木々の枝が
中央の広間には半円形に並んだ席があり、様々な
「よく来られた、人間の
その声には
「我々は、ルシアン王からの書簡を受け取っている。君たちの力を借りたい」
エルダーの言葉に、
「エルダー、人間に
「そうだ! 我々にはエルフの
反対の声が上がる中、エルダーは静かに手を上げた。広間が静まり返る。
「諸君、我々の伝統的な方法では
今こそ、新しい
エルダーは
「どうか、我々の
その言葉に、広間が再びざわめく。
シャルが一歩前に出て、力強く宣言した。
「任せて!
「ありがとう。では、『夢
エルダーが手をかざすと、空中に光の
「この病に
光の人型が、苦しむような仕草を見せる。
「病状が進行すると、現実と夢の区別がつかなくなり、最終的には……
光の人型が、ゆっくりと地面に横たわる。その姿に、胸が
「我々の伝統的な
エルダーの言葉に、
「まずは
そして、この病の原因を
「……!」
「オッケー! あたしとミュウちゃんにお任せ!」
評議会を後にした
「ミュウちゃん、大変そうだけど……
シャルの声に、
そして、街の
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