第30話 アランシアの夜
ルークは
その
「へぇー、ルーク。あなたの絵、すごくきれいだね!」
シャルが、ルークの
シャルの赤い
「
「だってずっと固まってるの
「ええ……。仕方ないな。続きは帰ってから
「それで、ルーク。あたしたち街の様子を調査してるんだけど、何か街の人から見てわかったこととかあるの?」
「ああ、いくつか気になる点があるよ。
たとえば
「へえ! ガイウスも同じこと言ってたなぁ」
シャルは、アーケイディアのギルドマスターの言葉を思い返す。
たしかに、
「まず、暴走の発生パターンだ。発生する時間も場所も、ある程度の規則性がある。
深夜にはあまり起きない。首都から大きく外れた
「人がやってる……しかも組織的じゃない、ってことかな?」
「その通り。
ルークの説明は、
……そう語ったあと、
「ぐぅっ……!」
「え、なになに。どうしたの? ミュウちゃん、治してあげれる?」
「い、いや……平気だ。ただ――」
「
「まずあたし
(
いつになく
けど、仕方ないかもしれない。この人明らかに
しかし人物像はともかく、ルークがただの画家でないことは確かだ。
手入れの
ルークの身につけている服から、かすかに高級な
「ミュウちゃんはどう思う?
シャルの声に、
「……あ、えっと……まだ……」
その
そのとき
近くの建物から、不気味なうなり声が聞こえる。
地面の
「うわっ、また
シャルが
その光は、まるで生き物のように
道行く人々の悲鳴が
「
ルークの声が、
その
「
青白い光が、ルークの体を
その光は
光が広がるにつれ、空気が
(これは……結界
少なくとも、過去に戦った石の
光に包まれた建物は、ゆっくりとその形を元に
建物が元の
数分後、すべてが元通りになった。まるで何事もなかったかのように。
「おー、すごい! ルーク、
ルークは、少し
額に
「まぁそんなところかな。実は、
美しき
シャルは後半については白けた目で見つめていた。
「君たちは街の様子を調査していると言ったね。それにガイウスとも知り合いらしい。
どうだろう。
「うーん……まぁちょっとキモいけど、現地の人だし、知識もあるしね。
あたしはいいよ。ミュウちゃんは?」
シャルは不承不承ながらルークの提案を受け入れたようだ。
しかし
(でも、少なくとも悪い人ではなさそうだし……)
■
そんな
空が
シャルは相変わらず元気いっぱいで、あちこち指さしながら歩いている。
「ほら、見てごらん。あれがアランシア王国の
ルークが指さす方向に目をやると、
太陽が
青や
その光は、まるで生き物のように
「わぁ、きれい! ミュウちゃん、見える?」
ランタンの
(ルークが変なことばっかり言うから……なんか意識しちゃう……)
「これらのランタンは、空気中の
ルークが説明を続ける。
「昼と夜の境目を感知して、
歩きながら耳を
「おや、ちょうどいいタイミングだ。夜市が始まったようだね」
ルークの案内で、
通りに入ると、たくさんの屋台が
様々な
「わぁ! なんかすっごくいい
「ああ、あれは『
様々な
「へぇ~。どんな効果があるの?」
「そうだな……食べた人の
正直、ただの
屋台の前に広げられたテーブルの上に熱々の料理が置かれ、思わず顔がほころぶ。
肉と野菜がゴロゴロ入った
スプーンですくうと、とろみのあるソースが
一口食べると、口の中に複雑な
「うまーい! ね、ミュウちゃんも食べてみて!」
言われるまでもなく、
そんな食事を楽しみながら、
人々の笑い声や、屋台の
ふと気がつくと、ルークが少し
「……ああ……問題ない……」
「では、引き続き……」
その人物は、どことなく身なりのいい様子。話し声は聞こえるが、何を言っているのかまではわからない。
ルークに
(あの人、かなり身なりが良かったけど……やっぱり、
考えているうちに、ルークが
「さて、そろそろ宿に向かおうか。
街はすっかり
歩きながら、ルークは街の歴史や文化について語ってくれた。
「この国は初代王の時代から、
だからこそ、
「だよね。いろんな種族がいるし、いい国だと思うよ!」
「ありがとう。そう言ってもらえると
確かに、見たことのない
人間以外の種族がこんなにいるのも意外だった。
「でも、最近の
ルークの声が少し
「何とかしなければ……」
……そうだ。
この国の
「
シャルの言葉にルークは少し
「ありがとう。君たちの力を借りられて、本当に心強いよ」
そう思わずにはいられなかった。
宿に向かう道すがら、
不思議な
(ルークは本当に
その正体について、
そんなことを考えながら歩いていると、シャルが
「ねえミュウちゃん、あれ見て!」
その
「わぁ……」
思わず
「アランシアの
(
ハッとして
ルークがそんな
「さあ、宿はもうすぐだ。協力のお礼に金は
「いいの? ありがとー! ルークって金持ちなんだねぇ」
「はっはっは。ある所にはあるものだからな。では
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