第27話 蘇る湖
カーテンの
シャルはまだ
レイクタウン、
ベッドから起き上がり、
湖の水位が、
ほんの数日前まで見えなかった湖面が、今ではこの位置からでもはっきり見えた。
魚の群れが時折水面を
その
「んー……おはよー、ミュウちゃん」
シャルの声に
「あれ? もう起きてたの? 相変わらず早起きだねー」
シャルはそう言いながら、ゆっくりとベッドから
「ねえねえ、湖の様子どう?」
シャルも
「おお! すごい、水増えてる! あたしらの
シャルが
「そうだ! せっかく湖が復活したんだし、街の様子見に行こうよ!
きっと前とは全然
シャルの提案に、
でも、確かに街の様子は気になる。小さく
「よし! じゃあ準備して出かけよう!」
シャルの勢いに
宿を出ると、街には
水不足の心配がなくなったせいか、人々の表情が前よりずっと明るい。
道行く人々の会話も
街全体に、希望に満ちた空気が
「わー、すごい変わったね! ねえミュウちゃん、あそこ見て!」
シャルが指さす先には、
その光景に、思わず
水の音と
本当なら運河をボートで進む形で移動するのがこの街の基本らしい。
だが運河の水位はまだ
シャルが興味を持った店に立ち寄ったり、地元の人と会話を
通りには
この水上都市にも畑はあるみたいだ。
野菜の
「あ、ミュウちゃん! あそこのカフェ、いい感じじゃない? ちょっと
シャルが指さしたのは、
白い石で作られた建物で、テラス席からは湖全体が
中に入り席に着くと、
シャルが熱心にメニューを見ている間、
少し前まで、この位置からでは水は見えなかったのだろう。
湖からの
「よーし、決めた! ミュウちゃんも何か食べる?」
シャルの声に
湖魚のグリル、水草を使ったサラダ、地元の野菜のスープなど、水の
でも、どれを選んでいいかわからない。
「じゃあ、ミュウちゃんにはこれにしとくね! 絶対
シャルが
ありがたいような、少し心配なような……。
しばらくすると料理が運ばれてきた。
シャルの前には、大きな魚のグリルが。
まともなチョイスだ! 料理からは、
「いただきまーす!」
シャルの元気な声に合わせて、
サラダを一口食べると、
小魚にかかったドレッシングが、全体の味を引き立てている。思わず目を見開いてしまった。
野菜のシャキシャキとした歯ごたえと、魚の
「どう?
シャルが焼けた魚を口いっぱいに
「でしょ! ここの料理、すっごく
水不足の時は休業してたらしいけど、また営業再開できて良かったって、さっきの人が言ってたよ」
シャルの話を聞きながら、
カフェの中には、料理の
「でもミュウちゃん、サラダだけで足りる?
「…………」
どうだろう。サラダはおいしいけど、たしかに少し足りないような。
でも、もう一品なにか食べるにはお
そんなふうに
「はい、あーん!」
「……っ」
あーん……。あーん……!?
これをこのまま食べろと……!? い、いや、別にいいんだけど。いや、うん。ええと……。
「ミュウちゃん、もうちょい口開けて! 口が小さいよ!」
「……っ」
これでも結構開けてるつもりなんだけど……。
できるだけ
塩味と焼けた皮の
「おいしい?」
「……ん……」
食事を終え、ほっと一息ついたところで、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「あら、お2人さん。こんなところで会うなんて」
店の中を
「わー、ナイア!
ナイアは
その表情は、2日前に
「2人のおかげで、街が活気を
ナイアがそう言って深々と頭を下げる。
「いやいや、ナイアも
「そうそう! それより、街の様子はどう? 復興は順調?」
シャルの質問に、ナイアは少し
その表情に、わずかな
「ええ、水不足の問題は解消されつつあるわ。ただ、完全な復興にはまだ時間がかかるでしょうね。
水位も回復しきっていないし、何より水不足で街を
ナイアの言葉に、シャルが少し残念そうな顔をする。
でも、すぐに明るい表情に
「でも、これからどんどん良くなっていくんだよね! 楽しみだなー」
シャルの言葉に、ナイアも
そんな2人のやりとりを、
「そうだ、ミュウ。あなたにお願いしたいことがあるの」
ナイアの言葉に、
「実は、
ナイアの言葉に、
「
ナイアの声には、少し
シャルが目を丸くする。その
「へぇ! そんなこと
「……!?」
「ミュウ、お願いできるかしら?
神官たちも、レイクタウンを救ってくれた恩人に会いたがっているし、シャルも
ナイアの
「え~、あたしが恩人? あはは、なんか照れるねえ」
シャルの明るい声が、カフェの静かな空気を
ナイアの
小さく
「ありがとう。では、これから
カフェを出ると、街の
人々の話し声、商人の
白い石造りの
屋根には水を
その
「ここがレイクタウンの
建物の
以前水がなかったときは少し
建物の周りには、水を表すような青い花が
その
それらの絵は、まるで生きているかのように光を
その音が、
中央には浅い池みたいなものがあり、その周りに数人の老人たちが立っていた。
神官たちだろう。
「こちらが、レイクタウンを救った
ナイアが
その
神官たちの目には、
「よく
中央のおじいさんが
その声は
「まずはあなたがたに最大限のお礼を。
この街を救ってくださって、本当にありがとうございます」
「いやいやそんな~」
シャルの声が、
「それとミュウさん。ナイアから、
あなたの力を、この目で見せていただけませんか?」
長老が池を指さす。その指は、
水面に
(水を
すると、
光の
光が消えると、池の水が
底に
水面が鏡のように
神官たちから
「ま、まさか……本当に!」
「言い伝えにあるとおりだ。
「
「ええ。このレイクタウンの湖は、元は
しかしある日湖に
それがこの街の始まりだと」
長老の声には、
「おお……ミュウちゃんの
「ミュウさん。いえ……
「へァっ」
中央の神官が近づいてきて、
「その力を、
「……!?」
つ、つまり……この街の神官になってほしいってこと!? さすがにそれは……!
「あー……ミュウちゃんは
シャルの声が、
「なんと……そうですか。残念ですが、それも仕方がないかもしれません。
あなたの力は、まさに神からの
「アッ……ア……は、ハイ……」
長老の言葉に、
あと、また
神官との
湖面が夕日に照らされ、オレンジ色に
その光景は、まるで湖全体が燃えているかのようだ。
「ミュウちゃん、すっごかったよ! あんな風に水がキレイになるなんて!
まさに
「……!?」
シャルが
「
あなたが名乗っても別にいいと思うけど?」
ナイアもからかうように
やだー……!
「さあ、夕食でも食べに行きましょう。
水の音、風の音、人々の笑い声。
それらが
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