第21話 聖女の伝説
シャルが持ってきた料理の
ベッドに
「はい、ミュウちゃん。村の食材をもらって作った、シャル特製スープだよ!」
湯気の立つスープから、野菜の
おそるおそる木のスプーンですくって口に運ぶと、温かな液体が
「……!」
「どう?
シャルの期待に満ちた目を見て、
すごいなあ、シャルは。明るくて戦えて料理も作れて……。
(……?)
でも、
このスープ、ただの料理じゃない。回復効果のある薬草が使われているようだ。
舌の上に残る独特の苦みがそれを物語っている。
数口で体の
スープを
「あ、もう
シャルが
「村の様子が見たいの? じゃあ行こっか!」
シャルの後について外に出ると、
木々のざわめきが耳に
村は活気を
しかし、その表情にはやや
「どうしたんだろ。なんか顔暗いね?」
シャルの言葉に
心配そうな声が風に乗って聞こえてくる。
「あちゃー……完全にだめだな、こりゃ」
「まったく、残った
「アンタが
どうやら長く続いた
畑は
木々も元気がなく、枝がしなだれている。
あちらこちらから雑草が生え放題になっており、
様子を見ていると、村長が
「ああ、ミュウ様! もう回復されたのですか。本当にありがとうございます」
(さ……様?)
様ってなに!? なんか変な方向で話が伝わってない……!?
「あ、そうだ。村長さん、畑とか木とかがすごく元気ないみたいだけど、どうしてなの?」
村長は深いため息をつく。その表情には深い
「ああ……あの
人々は回復しましたが、この土地はもう……」
その言葉を聞いて、
「え? ミュウちゃん?」
シャルが不思議そうに
ざわつく村の人を
「ミュウちゃん、まさか……」
シャルの声が聞こえ、人々がざわつく。ああ……あんまり見ないで……!
(大回復
青白い光が
その光は
「お、おお……!?」
「なんと、
村人たちから
畑には新芽が顔を出し始めている。
雑草はまだ少し残っているが、ある程度消せたようだ。
「す、すごい!
「や、やっぱりアレは本当だったのか!
村人たちの間で、どよめきが起こる。
……
だから
「ミュウちゃん、すっごーい! なんかだんだんヒールの
シャルが
シャルの体温が全身に伝わってくる。
シャルの言うとおりだ。
人を治したり、せいぜい
結局回復は回復なんだけど、回復できる対象がより
「畑まで治ったなら、この村ももう
村人たちが次々と近寄ってくる。
その目には
「
「
「神が
そんな言葉が
その
その
「まさか、畑まで……! 本当にありがとうございます。
「ありがとうございます!」
「ありがとうございます!」
その言葉に、村人たちが
「あはは……テキトーに言ったことがこんなふうに広がるとはね」
「……!?」
シャ、シャル!? なにか言ったの!? そのせいでこんなことになってるの!?
「いやいや、
「……っ!」
思いっきりそれのせいじゃん!
「ごめんごめんって! でも、評判が広まるのは
そうかもしれないけど……!
そのとき、ゴルドーが人々を
「落ち着け。たしか
「
(コミュ
その言葉に、人々は少し冷静になった。
ゴルドーは
「……まさか、畑まで回復させるとは。
ゴルドーの声には、感心と
そうなんだろうか。考えてみれば、
「でも、これでミュウちゃんの評判は決まりだね。もう完全に
シャルが笑いながら言う。他人事だと思ってない!?
人々の
新たな
その中で、
昼時の
風に
「これからお前たちはどうする?」
ゴルドーが静かに口を開いた。
風が
「そうだね。この村はもう
ノルディアスのギルドでまた
「
ゴルドーの言葉に、
「え? ノルディアスに帰らないの?」
「あの
「なるほど。ま、気をつけてね! また
「ああ。気をつけるよ」
ゴルドーは
そのとき、村長が
「ミュウ様、シャル様。本当にありがとうございました」
村長は深々と頭を下げる。その
「ところで
そこで
「
シャルが興味深そうに食いついた。
「はい。レイクタウンはその名の通り、湖の上に浮かぶ水上都市として有名だったのですが……。
湖が、
「湖が
ゴルドーが話を聞いて
ああ……こういうインテリな
シャルはそういうの
「気が向いたらでいいのですが……お2人なら、きっと何か解決の糸口を見つけられるのではないでしょうか」
「うん、
「ああ、それと……そうでした。こちらを受け取ってください」
そんなことを考えていると、村長は
ジャラ、と
「せめてものお礼です。20クラウンほどですが」
「だ、だいぶ大金じゃない!?」
「いや。村1つ救ったと考えれば安い部類だ。だが何分、金もないからな」
ゴルドーがそう
なけなしのお金、となるとむしろ、受け取らないほうが失礼な気がするしね。
「おっけー、それじゃ決まりだね!」
シャルはお金を
「レイクタウンに向かおう!」
「気をつけろよ。何かあったら、すぐに
ゴルドーの言葉に
それから村に
「
「また来てくださいね!」
「この村を
様々な声が
シャルは村人たちに大きく手を
「みんな、元気でね! また絶対来るからさ!」
ゴルドーは村人に混じって、静かに
遠くなっていく村の
それらが新しい旅の始まりを告げているようだった。
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