第18話 村を救え!
宿屋を出ると、朝の冷たい空気が
街はまだ
その光景を見てから、
「…………」
「…………」
お
ゴルドーが用意した馬車が、宿屋の前で待っていた。
大きな荷物を積んだその馬車は、長旅の準備が整っているように見える。
馬の
「おー、
シャルが
車体には
「ギルドから借りた。長旅は快適な方がいいだろう」
ゴルドーの言葉に、
荷物を積み
ゴルドーが
車輪が
街を出ると、
広大な草原が広がり、遠くには山々が連なっている。
朝日に照らされた草原は、金色に
風に
「わー、きれい!」
シャルが
ポニーテールにまとめられた赤い
「気をつけろ。落ちるぞ」
ゴルドーの冷静な声に、シャルは少し
「もー、ちょっとくらいいいじゃーん。ねえミュウちゃん、あなたもこういう
街の中では見られない
草原の向こうに広がる空の青さに、思わず見とれてしまう。
「ところでさー、ゴルドー。村のこととか、もうちょい
シャルの声が馬車の外を向く。
ゴルドーは少し間を置いてから、ゆっくりと話し始める。その声は、馬車の
「
「6年前、
最初は
ゴルドーの言葉に、馬車の中の空気が静まる。
風が草を
「……どんな
シャルが静かに
「高熱と、
ゴルドーは
「……意識を失う。そのまま目覚めない者も多い」
その言葉に、
村社会においてそんな人が出た
むしろそんな
村ごと
そんな人たちを
病気は当事者も、その周りの人の体力も
時間的に考えて、村も人もそろそろ限界だろう。
もし
「でも、ミュウちゃんの
シャルが
「ああ、
ゴルドーの声がかすかに明るくなるのを効いて、
夜になると馬車は
木々の間を
森の中の空気は
「これまで、どんなヒーラーを連れてきたの?」
さっきまで
「様々だ。
「へー、すごいね! でも、みんな治せなかったんだ……」
「ああ。だが、ミュウの
ゴルドーの言葉に、
「古代
シャルが
「ミュウ。お前の
ゴルドーの
「覚えてるってさ」
「聞かせてくれないか?
「……!?」
そ、そんな! あの
「あー、ダメだね。ミュウちゃんがこの世の終わりみたいな顔してるからやめとこうか」
「どういうことだ……」
「人前で
……馬車の中にまで
「……まあいい」
ゴルドーが
「古代
「なるほど、ゴルドーは
そう考えていると、少し悲しい気持ちになる。かといって体を動かすのも苦手だし……。
「ミュウちゃんはどこで
シャルの問いに、
どう答えたらいいだろう。
「……
「
「……よく、覚えてない……かも」
「えー? そんなことある?」
シャルが不思議そうな顔をする。
「
ゴルドーが何か
「まあいい。いずれ思い出したら知らせてくれ」
遠くに、山々が見えてきた。
その
「あれが、
ゴルドーが指さす先に、大きな山が
その山の
「もうすぐだね。
シャルの声が、少し
■
馬車が村の入り口に
村は
木々の葉さえも、風に
「ここが……ラーナ村だ」
ゴルドーの声には、深い悲しみが
かつてはここも、少なくとも今よりは
今は、まるで時が止まったかのような静けさだ。
馬車から
遠くの鉱山の方角らしき場所から、かすかに
目についた畑は雑草が
その光景が、この村の苦境を物語っていた。
「村長のところに行こう」
ゴルドーの案内で、
村の中心にある大きな建物の前で、
深いしわの
「ゴルドー、
老人の声は、かすれていながらも強い意志を感じさせた。
「ああ、村長。今回はより勝算のあるヒーラーを連れて
ゴルドーが
その
「よく
村長の言葉に、
「任せてください! あたしは別に何もしないけど、ミュウちゃんは
「ああ。期待しているよ」
村長は
建物の中は
「
白い布を口に当てた村長は、古びた羊皮紙の地図をテーブルの上に広げ指さした。
「6年前、
しかし、その
村長の指が、地図上の鉱山を示す。その指先が、わずかに
「その
高熱、
確かに通常の病気とは
空気中に、目に見えない
おそるおそる、
(状態
青白い光が
……
「すごい! 効いてる!」
「……いや……」
シャルが
これは一時的に
「……ごめんなさい……」
村長は深いため息をつく。その表情には、
しかし、完全に希望を失ったわけではないようだ。
「しかし、
ゴルドーが静かに言った。その言葉が、わずかながら暗い集会所に希望を
「ところで村長! その鉱山っての、もう少し
シャルが
鉱山から
「ああ、そうだな……わかった」
村長は少し
「実は、その鉱山を
しかし、その直後に
「
シャルが少し
でも、確かにこれは予想外の
「ああ。どうやら古代の文明の
「ねえミュウちゃん! その
シャルが
これらには必ず関連があるはずだ。その
「村長、あの
「お、おい……! お前も知っているだろう。あそこは人が入れる
「だがもう、あの場を直接調査するしかない。時間がないのはわかっているはずだ」
村長とゴルドーは
「あ、あ、あの、あの」
「どうした」
「……アッ……」
声が出ない。
……だけど、
勇気を
「げ、現地に行けば……わかると、思います……病気の原因とか……あっ、バリアの
「ほ、本当か?」
村長と、ついでにシャルは
「よーし! じゃあ
「わかった。
ゴルドーも同意し、
その重責を感じながら、
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