第7話 出発と閃き
……まぶたが重い。頭がぼんやりとしている中、少しずつ意識が
鼻をくすぐる薬草の
「あ! ミュウちゃん、目を開けたね!
シャルの声だ。その声に反応するように、周囲がざわめき始める。
木の
「本当か!?
(えいゆ――は?)
「おーい、みんな! ミュウさんが起きたぞー!」
(え……?
目を完全に開けると、そこには見知らぬ顔がびっしりと
その数、ゆうに20人は
「ミュウちゃん! 良かったー、もう心配かけないでよ! 急に
シャルが
……その勢いのまま
「うぐっ……!」
「あ! ごめん!
……あと、シャルの
(そ、それにやばい……人が多すぎる……MPが……)
「ミュウさん! 本当にありがとうございました!」
村長が前に出てきて、
その後ろでも、村人たちが感謝の言葉を口々に発している。
「
「グレートナーガの退治、ありがとうございます!」
「うちの村の恩人ですよ!」
(あっ……あばばばばば)
あまりの
注目を集めるのはただでさえ苦手なのに、なんでこんなに
「あれ? ミュウちゃん? また
シャルの声が聞こえる。が、もう返事はできない。MPがなくなりました。
「むむ……まだ
無理もない、グレートナーガの
さっきから言っているけれど、グレートナーガってなんだろう?
あの
「みなさん、しばらく静かにして、ミュウさんを休ませてあげましょう」
その言葉に、
「で、でも村長。
「そうだな……シャルさんにお
「おぉ~、
「もちろんです。グレートナーガというと、A級の中でも相当に
それでも、確実な解決は保証できないほどの
「へぇー、マジ!? 大変なんだねぇ……じゃ、今まで村に来なかったのは運が良かったんだ」
シャルの元気な声。それからコインの音。金属がぶつかり合う、
クラウンというと、金貨のはずだ。すごい大金なんじゃ……?
「それと、これを。
「おおっ、これは助かる! いやー、やっぱどこのギルド行くにしても
ゆっくりと休んでMPを回復させる。よくわかんないことは、シャルに任せてしまおう……。
■
それから、さらに数時間後。夜が明け、朝になった。
「ミュウちゃん、そろそろ起きれる?」
「あ、起きた! もう
「……」
小さく
今の状態なら……初対面の人と3分くらいは(途切れ途切れで)話せるかもしれない。
「良かった~。あのね、村長さんが色々くれたんだよ!
シャルは
金貨が朝日に照らされ、まぶしく
「はい、これ。ミュウちゃんの分ね!」
シャルは当然のように金貨4
……本当にこんなに
「なぁにミュウちゃん。金貨が
「ちが……」
「もしかして、前衛が多くもらうべきとかそういうこと考えてた?」
「そんなことないよ。あたしが今生きてるのはミュウちゃんのおかげ。でも、グレートナーガにとどめを
だからさ。どっちが欠けてもあの
太陽のように明るく、
「それでね、このまま
そこならもっと大きな
「よーし! じゃあ、そろそろ準備して出発しよう!」
シャルが元気よく立ち上がる。その
「あ、起きましたか! よかった!」
「……!」
村長だ。そして、その後ろにはまた大勢の村人たち。
「おっ、村のみんなー! あたし
「ありがとよ! さぁ、
人々の体温と
(あっ、オアアアア……)
大勢の
「ほら、みんなが見送ってくれるってさ! ミュウちゃんも
「あっ……アッ……」
それに
朝の
人々の
■
一方、ミュウとシャルがシャロウナハトを旅立った
「くそっ! また
ギルドマスターのグラハムが、
その
その音に、周囲にいた
「す、すみません……前回の
グラハムは深いため息をつく。その息は、まるで
最近、
それも、以前なら
原因は
「仕方ない。医務室で休んでおけ」
グラハムの言葉に、
「あの、ギルドマスター」
「最近、なんだか様子がおかしくないですか? 以前なら、ギルドに
その言葉に、グラハムの表情が
額に
「……気のせいだ。重い
グラハムは
「さあ、早く医務室に行け」
(どうしてこんなことに……? クソ、ヒーラー
そう考えていると、マスターの
「入れ」
ドアが開き、ギルドの受付係が顔を
「ギルドマスター、お
それを聞き、グラハムの表情が少し明るくなった。その目に、かすかな光が
「よし、すぐに通せ」
その2分後、長い
豊満な
「お
「ああ、リンダ。相変わらず
グラハムは立ち上がり、リンダを医務室へと案内する。
そこには先ほどの
「こいつらを
リンダは
「わかったわ。じゃあ、
リンダは
「
その
青白い光が
(神の加護であれば、もっと
「何よその顔は。『神の加護』じゃなくてガッカリした?」
リンダの
「あ、い、いや……そういうわけじゃない! 気にしないでくれ、ハハ」
グラハムは
ただでさえヒーラーが不足した現状、A級
(神の加護をアテに入ってきた
内心の
その表情には、
「リンダ、ありがとう。これからしばらく、長期
「ムリよ。
リンダの冷たい返事に、グラハムの表情が
「そ……そこをなんとかできないか!?
グラハムの声には、明らかな
「……はぁ」
リンダは
そうとわかっていながら、
グラハムは医務室を後にし、自分の
そのほとんどが、最近増加している
紙の山から
(このままでは、ギルドの評判が……それに新たな登録者も……くそっ)
グラハムは再び深いため息をつく。
(どうして神の加護が消えた? ……その前後で起きたことは……うるさいシャルをクビにしたことと、あと……
そう思いながら、グラハムは再び仕事に
(……ああ、そうだ。ミュウだったな。あいつも一応ヒーラーで――)
その
(まさか――)
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