第2話 知ってたの
「はい、じゃあカンパーイ!」
(なんで、こうなったんだろう……)
ついさっきまでギルドを追放され、
「ねえねえ、ミュウちゃん。そんな暗い顔しないの。クビになったってことは仕事もないんだし、せめて今くらいは楽しもうよ!」
……そんな気分になれるはずがない。貯金もないのにさ。
「あ、そういえば
「…………」
シャルと名乗った
そして何より特筆すべきは、
声の大きさだけじゃなく、ホントにずっと
「ミュウちゃんって多分未成年だよね? 勝手にジュース
シャルは
「プッハー! うまい! やっぱお酒は最高だよー。ミュウちゃんもはやく飲めるようになりなさい!」
(そんなこと言われても……)
実を言うと――というか、そりゃそうだろって感じだけど、
酒場の
でも、
「そういえばさ、ミュウちゃんはなんでクビになったの?」
シャルの質問に、
(それ話さなきゃいけない……?)
「あ、ごめんごめん。言いたくないならいいよ。ちなみにあたしはね、うるさすぎてクビになっちゃったんだ。信じられる? あっはっはっは!」
シャルは明るく笑う。その
「ギルドマスターに『お前の声がでかすぎるし、ずっと
「ちょっと! なに
シャルがテーブルを
ひええ~……
「……でもさ、ミュウちゃん。あたし、ちょっと気になることがあるんだ」
シャルの声のトーンが少し落ちる。
「ミュウちゃんって、すごいヒール能力持ってるよね? あなたを追い出して、あのギルド平気なのかな?」
その言葉に、
(え……どうして……?)
グラスを持つ手が少し
「あ、ごめんごめん! びっくりさせちゃった?」
シャルが
そんな
「実はね、ミュウちゃんのこと、ちょっと前から気になってたんだ」
シャルは身を乗り出し、声を少し落として続ける。
「ギルドの中で、
(気づいてた……?)
だからこそ、これまで
「それでね、あたしこっそり見てたんだ。そしたらさ、ミュウちゃんがいつも
シャルの緑色の
「マスターは神の加護とか言ってたけど、神様が特定のギルドにだけ加護を
(それはホントにそう)
「すごいよね、ミュウちゃんのあれ。無
これまで
「でもさ、なんでそんな
シャルの問いかけに、
(
「あ、ごめんごめん。また聞いちゃいけないこと聞いちゃったかな」
「でもさ、もったいないよ。せっかくそんな能力を持ってるんだから、もっと
(……そうかなぁ……)
「ねえ、ミュウちゃん」
シャルの声に、
「あたしと
「……え?」
思わず声が
「だってさ、あたしたち
それに、あたしみたいな前線で戦う人間にとって、ミュウちゃんみたいな
シャルの目が
「どう? まだ
シャルが右手を差し出す。その手には、たくさんの
たしかに、このまま街にいても仕方ない。この街での
引き続き
でも、見ず知らずの人と旅に出るなんて……。酒場の
(でも……
冷たい夜風が
「大変だ!
「どうしたの!? うわっ、めっちゃ血が出てるー!
シャルが立ち上がり、大きな声で勢いよく
「街の外れで
(あ……そういえば、最近は
ってことは、もしかして今ギルドは気づき始めてるのかな。神の加護とかいうのがなくなったってこと。
まぁ、それと
シャルが
(うん。とにかく、治してあげないと。
「この子が今から
シャルの声は、ざわざわと小さな声で
右手に
(大回復
それから1秒後、光が消える。ヒールの
「あ……れ?
「消えた?」
「お、おい。平気か?」
男が立ち上がったのを見て、酒場に
「す、すげぇ! マジで治ったのか!? トリックじゃねぇよな」
「ヒールって、こんな
「お
「こっち
質問と
やばい。こんな大勢の
「っしゃー、見たか! これがあたしのパートナー、ミュウちゃんの実力よ!」
シャルの大きな声が
「あたし
「なぁんだ、もうパーティー組んでたのかよ」
「そゆこと♪ 残念だったね」
「いいなぁ、あんなんできたら前衛も楽だろうに」
「お前もアレくらいやれよ。ヒーラーだろ?」
「無理に決まってんだろ! あんなの、
シャルの
(あ、ありがとう……助かった……)
心の中でお礼を言いながら、
「さあて、そろそろ準備しよっか。ミュウちゃん」
シャルの言葉に、
――こうして。のちに
「おーい、お
「えっマジ!? じゃあお言葉に
――始まろうと、していた……?
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