第9話:バッドピーポー再び。
バッドピーポーたちはこのまま引き下がる弱虫な組織ではなかった。
20名ほどの武装した集団が博士の研究所を囲んでいた。
「お邪魔しますよ」
またもや詐欺沼だった。
「また、おまえか」
「懲りもせず、ご苦労なことじゃな、スルメイカ」
「ん、ま、そのたとえは気に入らないが、悪くはない・・・」
ペコパか!!
「生きてましたか博士・・・香典用意してきたんですけどね」
「今日こそ、あのバカヂカラ女を渡してもらいましょう」
「あがいても無駄ですぞ、この建物の周りを武装集団が取り囲んでますからね」
「もうすぐ武装ヘリも来ます」
「逆らえば、大事な研究所は蜂の巣です」
「ご近所にも迷惑かかりますし・・・」
「観念したほうが身のためですな」
「ごちゃごちゃと、よくしゃべるやつじゃな」
「なにを言っとる、おまえらみたいなゲスにメイはやらんわい」
「これでも敬意を表してしゃべってるのです・・・」
「素直にあの子を渡した方がいいと思いますけど・・・」
「でないと研究所どころか、二度とお天道様が拝めなくなりますよ、じじい」
「ふん、メイはここにはおらん」
「わかってますよ、この間いた若いやつのところでしょ」
「それに先日もコスプレ・サミットだかなんかに出てましたね」
「情報はだだ漏れ・・・全部筒抜けです」
「あの子がもしダメなら、あんたでもいい」
「もう一体、あれと同じモノを作ってくれるなら、そしたらおとなしく
帰ってやってもいいですよ」
「ダメなら、あんたもあの若造も道ずれに死んでもらいましょうかね」
「新一には手を出すな」
「今回は、お嬢ちゃんに対抗するためにそれなりに準備して、来てます
からね」
「どんなに、あがいても、あんたの負けですよ」
「御託はそれだけか・・・」
その頃メイは、新一の家じゃなく研究所のプレハブにいて、 研究所とプレハブの
周りに潜むあやしげな影をとっくの昔に察知していた。
メイの特殊能力はたとえ壁で敵が見えなくても人の体温を感知して敵の位置を
いち早く察知する能力があるのだ。
(数は約20人・・・武器は・・・H&K P9SにH&K MP5)
メイは、まずプレハブの周りにいた男たちをひとりずつ片付けていった。
残るは研究所の周りにいる15人。
さすがに15人は一瞬と言うわけにはいかない。
武装集団はひとりづつ研究所の中に入ってきた。
ぐずぐずしていると博士が危ない。
メイは、自分が気を引いて博士を救おうと思った。
「蜂の巣になりたくなかったら、おとなしく言うことを聞くんですな」
「一個師団で襲ってきても、メイは倒せんぞ」
「いくら強くても、素人の小娘相手に我々が負けるわけないでしょう」
「そうか、どっちみちもう遅いがな・・・」
詐欺沼が研究所の裏手を見ると、メイが仁王立ちで立っていた。
憤慨したため髪はブルーからピンクに変わっていた。
すると武装集団のひとりがメイを狙って撃った。
訓練された連中だから腕はいい・・・でも撃った弾はメイをかすめた。
メイは飛んできた玉をヒョイっと軽く避けた。
以前、詐欺沼の子分Bが撃った時のことをメイはちゃんと学習していた。
もうメイド服に穴は開かない。
「私の胸を狙ったでしょ・・・スケベ」
「あんた、一番にやっつけちゃうから・・・」
今の銃の音を聞いて新一も、察して家から出てきた。
「プレハブの周りにいたおっさんたち、全部やっつけちゃったからね」
「嘘だろう」
「あれだけの精鋭を・・・こんな短時間に5人も倒したって言うのか」
「メイ、大丈夫か・・・博士は?」
新一があわててやってきた。
「大丈夫だよ新一」
「新一は危険が及ばないところに隠れてて」
しばらく平和が続いてるうちに新一はメイにとっては、かなり大切なひとりに
なっていた。
どうせ、いても役に立たないと思った新一はすごすごとプレハブの隅に隠れて
様子を見ることにした。
「これだけは言っておいてやる」
「メイの能力はまだほんの一部、覚醒しただけじゃ」
「いまのうちに手を引くんだな」
博士が詐欺沼に言った。
「くそじじい・・・いくら強いったって、こっちだってプロだ、 素人の小娘相手に負けるわけがないわ」
「んじゃな、試してみ」
「メイは無敵じゃ、襲ってきても情けない結果になるだけのことじゃ」
詐欺沼は銃を二発天井に向けて発射した。
「雨漏りしたら弁償させるからな」
その合図とともに武装した男どもが一斉に攻め込んできた。
そいつらの動きは、さすがにプロ、素早く無駄な動きはなかった。
だが、そいつらの動きよりメイのほうが数倍早かった。
世界最強のメイドは動いた。
つづくぞ。
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