第8話:いまのところ平和にやってます。

バッドピーポーのやつらが逃げてから、しばらく平和が続いた。

メイが研究所にいるとまた危険な目に合うかもしれないと博士はメイを

新一の家に預けることにした。


研究所と大して距離的に変わらなかったから、武器もなにもない

新一の家の方がなんとなく危険な気がするけど・・・。


新一は母親が早くに亡くなり、いまは父親と暮らしている。

突然、メイがやって来たので、おやじは驚いたが、うまい飯が食べられると言うと なにも文句は言わなかった。


むしろ、若い女の子が来てくれて家の中が明るくなったと逆に喜んだ。

メイと新一の勉強は続いたが、新一の努力も虚しくメイは相変わらず言葉が錯綜

していた。

女の子らしい時もあれば、おっさんみたいに悪口雑言な時もあった。


普段のメイはハウスメイドらしく、家事、炊事、洗濯をけなげにこなした。

特に博士の家のご飯と新一の家のご飯を同時進行で作っていたので 食事の時だけは忙しくしていた。


ただ新一が学校へ、新一のおやじが仕事に、それぞれ行ってしまうと、たちまち暇を持て余した。

そんなメイを熱心に訪ねて来るファンもいて、 メイの熱狂的なファンの要請で、

コスプレサミット・メイドさん部門に参加して※カメコのモデルにもなったりして

いた。

主催側の要望で水着なんか着せられて、一気にメイのファンが増えたりした。


そして、お茶柱博士はメイのためになにやら作っていた。

それぞれが、それぞれの時間を日々平和に過ごしていた。


あの詐欺沼と言う男の組織はBad people「バッドピーポー」と言って

読んで字のごとし、悪い人たち・・・戦争兵器などを売ってる武器商人なのだ。


ショッカーみたいな世界征服をねらう組織とはちょっとちがう種類の悪者で

逆に人類が反映してくれた方が美味しい商売をしているのだ。


メイが狙われたのはメイを武器に改造すれば高値で売れると企んでのことで、

やつらはしつこい・・・メイを手に入れるまで諦めないだろう。


ある意味、メイは人類の未来の命運を握っていると言えるかもしれない。


学校から帰ってきた新一は研究所に来ていた。


「博士・・・もしメイの設計図とかあったらやばいんじゃないか?」


「大丈夫じゃ、最初っから設計図なんぞないからの」

「メイの全てはわしの脳みその中じゃ」

「だからメイさえ誘拐されなければ大丈夫」

「誘拐なんて無理とは思うがな・・・そんなことしたらメイの返り討ちに合うわ」


「そもそもメイを作ったのは、飯を作ってくれる女が欲しかったからじゃない」

「あつらみたいなやつが現れた時の防衛のためにメイを作ったんじゃ」

「ま、即席物ばかりも食べたくはなかったのも事実じゃがな」

「メイはメイドだが、世界最強のガイノイドなんじゃ」


「メイはおかしくなったりしないのか?・・・」

「SF映画なんかでAIが暴走して人間の敵になったって話やってたぞ・・・」


「残念ながら、そんなドラマチックなことにはならん」


「だって博士が作ったんだろ」


「そうやってわしを侮辱して楽しいか?」

「メイの体にはどんなウイルスに感染しても、即座に殲滅してしまうナノマシンが

体内や脳で活動していて常にメディカルチェック 〔 医学的検査 〕は怠らないように

できてるんじゃ

「万が一も狂うことなんかないわ」


「口の悪いのさえ改善されたら完璧なんじゃがのう」


「それって、もとは俺のせいじゃないからな」


博士は新一の顔をじーと見て言った。


「おまえの顔を見てると期待するだけ無駄のように思えてきたわい」


そんな、のんきな話をしている間にも、悪の手は刻々と迫っていた。


「しんいち〜、はかせ〜・・・バンメシだぞ〜〜〜」


メイの声は近所まわりに響きわたるほどデカかった。

あ〜あそこは今、晩御飯か・・・と近所の人たちに思われただけの話で

平和だからと言う以外、なんてことない日々が過ぎていった。


あ、おわかりと思いますが※カメコとは「カメラ小僧」のことです。


つづくぞ。

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