第4話:どっちが災難。

それからメイは少しづつ、いろんなことを覚えていった。

新一は自分の勉強そっちのけで、1日もかかさずメイの言語担当をがんばっていた。

でもメイの口の悪さはなかなか治らなかった。


夕方、メイは初めて夕飯の食材を買いに商店街に出かけた。


「メイひとりで大丈夫かな?」


「ひとりで買い物くらいはいけるようにならんとな」


「行ってくるね・・・」


メイは博士が書いてくれたメモを持って 買い物かごを下げて商店街の八百屋さんに

買い物に出かけていった。

八百屋までは歩いてほんの15分程度・・・。


メイが八百屋で食材を選んでいる時だった。

軽乗用車に乗ったどこかの年寄りがアクセルとブレーキを踏み間違えて突然歩道を

超えてメイのいる八百屋に向かって暴走してきた。


ちょうど八百屋の店の前にいたメイめがけて、そのまま突っ込んできた。

それを間の当たりにした八百屋のおやじが叫んだ。


「どっかのメイド喫茶の子が軽四に惹かれた〜」


軽四は店の中まで突っ込んで止まった。

店はぐちゃぐちゃ、メイも軽四の下敷きになった。


「お嬢ちゃん大丈夫か?・・・」


八百屋のおやじはメイの無事を確認しながら言った。


「誰か救急車・・・・メイドさんが・・・」


すると、しばらくしてメイを下敷きにした軽四がむくむくと起き上がった。

フロント部分が先に上がって軽四を下から持ち上げるようにメイが立ち上がった。


「車もろくに運転できないんなら、とっとと免許返納しろ、くそじじい」


メイはそう言ってそのまま軽四を放り投げた。

めちゃ馬鹿力で。


幸い、まわりに怪我人はひとりもいなくて八百屋の食材がかなり売り物に

ならなくなった。


メイに投げ飛ばされた軽四は見えなくなるほど遠くへ飛んでいった。


あとで分かった話によると、じじいが乗った軽四は隣町の公園の噴水の池まで

飛んでいったようで、公園にいた人かたちが空から軽四が 降ってきたと

証言している。

幸いにも軽四のじじいも無事で公園にいた人にも被害がなかったようだった。


軽四のじじいの警察の事情聴取によると「アクセルとブレーキを踏み間違えて

八百屋に突っ込んだまでは覚えているが後のことは覚えていないと証言した。

で、この件は謎のまま終わった。


この場合、メイとじじいとどっちが災難だったんだろう?。


軽四をぶん投げたあとメイは、なにごともなかったように売り物にならなくなった

食材をタダでもらってプイッと帰って行った。


「たらいま」


「メイ、どうした服が破れてるし・・・汚れてるじゃんか」


「暴走してきた軽四のくそじじいに惹かれた」

「だから投げ飛ばしたやったわ・・・あはは」


「どこも怪我ないか?」


新一は心配してメイの身体中チェックした。


「毛がないのは軽四を運転してた、じじのほうだわ・・・」

「あ、博士もないじゃん、きゃはは」


つづぞ。


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