第32話

 考え直し、八月の途中から、感想に構成について書くようにしました。

 はじめから書かなかったのは、時間が書かると考えたからでした。

 作品によりますが(体力と時間と、精神的余裕なども影響しますけど)感想を書くのに、ショートなら小一時間、ロングなら数時間以上、かかります。

 少しでも時間をかけず、一作でも多く読んで書こうと思ってのことだったのですが、構成がきちんとできているか気にしている方もいらっしゃったので、それならばと、昨年からはじめた、作品の構成についても感想に書くことにした次第です。


 短編なら、四つの構成を意識して作るのがいいとされます。

一、導入部:登場人物や舞台設定の紹介

二、展開部:主要な出来事や葛藤の描写

三、クライマックス:物語のピークとなる場面

四、結末:物語の締めくくり


 4000字のショートの場合、

・導入部:四百字(十パーセント)

 主人公と設定の紹介

 物語の基本的な状況説明

・展開部:二千四百字(六十パーセント)

 主要な出来事の描写

 登場人物の関係性の発展

 葛藤や問題の提示と深化

・クライマックス:八百字(二十パーセント)

 物語のピーク

 主要な葛藤の解決または転換点

・結末:四百字(十パーセント)

 物語の締めくくり

 主人公の変化や学びの描写


 二万字のロングの場合なら、

・導入部:二千字(十パーセント)

 主要登場人物の詳細な紹介

 世界観や背景の丁寧な描写

 物語の主要テーマの提示

・展開部前半:六千字(三十パーセント)

 複数の伏線の配置

 登場人物間の関係性の構築

 主要な葛藤や問題の提示

・展開部後半:六千字(三十パーセント)

 伏線の回収開始

 葛藤や問題の深化

 サブプロットの展開


・クライマックス:四千字(二十パーセント)

 主要な葛藤のピーク

 重要な決断や行動の描写

 伏線の大きな回収

・結末:二千字(十パーセント)

 物語全体の締めくくり

 登場人物の変化や成長の描写

 残された問題や今後の展望の示唆


 三幕八場は長編小説での構成なのですが、カクヨム甲子園では、ロング作品に気合を入れて作られる方もいらっしゃいますので、三幕八場構成でみるようにしてます。


一幕一場、状況の説明 はじまり

  二場 目的の説明 主人公が目的を持つ

二幕三場 最初の課題 一度目の試練

  四場 重い課題 二度目の試練

  五場 状況の再整備、転換点 見つかった状況の整理

  六場 最大の課題 一番高い障壁、謎解きのヒントに気づく

三幕七場 最後の課題 どんでん返し 最大のクライマックス

  八場 結末 エピローグ


 自分で書かれている作品は、これらを参考に、作者自身で確かめるのが一番いいのではと思います。よく書けている作品の作家さんは、そのへんができていると思います。

 ……そんなこと考えず、プロットもなしにお話を作りました?

 そういう人もいます。

 難しいことを考えず、感覚できてしまう人もいます。

 どなたかとはいいませんが、構成だのプロットだのと考えずに書いて、受賞された人も過去にいましたので、気にしすぎるのもよくないかもしれません。

 構成は、作品のバランスを見るのに役立ちます。

 テンポが悪いときに構成をみると、たとえば前半が間延びした作りになっていたと気付くことで、どこを直したらいいのかに役立つでしょう。


 登場人物の葛藤曲線による中心軌道の粗筋や、構成を書いているとき、綺麗にできる作品に出会うことがあります。そういう作品は、書いていて気持ちがいいです。構成が良くても、別の場所でちょっと……という場合もありますので、粗筋や構成だけでは作品の善し悪しを決めつけるのは早計だと思います。

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