第10話 剣士マヤ ①

強くなれれば、良くなると思っていた。

けど、現実は、違っていた。


どんなに強くなっても、所詮は、女で。

女子の頂点に立っても、男子の中堅にすら敵わなくて。

技で躱しても、力で負けてしまう。


私も、来年には、成人する十五歳になる。

父からいただいた猶予は、あと一年しかない。

それまでに何らかの結果を残せなければ、姉達のように何処かの貴族家や商家に嫁に出されるのだろう。


騎士爵家の八女として生まれ、姉達が嫁ぎ先で良く扱われていないことを知って、自身の運命を変えるために才能を見出された剣の道を目指した。

父からは、お前が男だったらと、何度も愚痴のように言われた。


兄弟達は、父と違って、剣の才能が無かった。

騎士爵の位は、子が騎士に任命されなければ受け継ぐことが出来ない一代限りの位で。

女子が騎士に任じられた例は皆無で。


このままでは家族全員平民かと、諦めの雰囲気が見えてきた時に、父と私が領主様に呼び出された。

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