第9話 聖女サリー ④

魔王討伐に旅立つ前に、パーティーとして連携するための修行が始まった。

本来ならば、すぐにでも修行の旅に出るべきなのだが、勇者サチと聖女である私のレベルが低すぎて、初期の訓練を見ていた騎士団長に止められてしまっていた。


サチのレベルが低いのは、まあ仕方ないだろう。

なにしろ、辺境の田舎町で、勇者として見出されるまで極貧に喘ぐような暮らしをしていたのだから。

勇者や聖女を選ぶ基準が、良くわからない。

何故私が、聖女として選ばれたのだろうか。

前回の魔王討伐では、記録に残る限りでは、転生者がパーティーメンバーに選ばれたとか。

少なくとも、私は、転生者では無い。

前世の記憶も、他人の知識も、持っていない。

まあ、転生者が選抜基準だとしても、どうやって探すのか理解できないしさ。


そんな風に考えながら、メグに愚痴っていたら、


「あら、勇者は聖剣を手に取る事が出来る事、聖女は鑑定の水晶球で基準以上の色とレベルを出す事が条件なのよ、知らなかったの?」


………………………………………そういえば、そんな事も、あったわね。

幼い頃の、教会での鑑定の儀。

その時の情報で、私が聖女と見なされたらしい。


ホントに、いいのだろうか。

私は、血を見れば失神し、回復魔法も充分とは言えないし。


そんなこんなで、サチと私のレベルアップの為の修行が始まった。

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