第3話 イルミスタファンタジー

『イルミスタファンタジー』


今俺の目の前に広がる世界の、舞台。

何がどうなって、こうなるのだろうか?

とにかく、状況が、最悪なのは、わかった。


やり込んだ、ゲームの、世界の、登場人物。


まずは、俺。

『勇者サチ』

そして、その仲間の、少女達。


聖女サリー

魔術師メグ

剣士マヤ


三人の名前は、俺がゲーム開始時に名付けて設定した。


俺達四人と、お目付け役として第一王女が魔王討伐の旅に付いて来ていた。


約一年間の、勇者パーティーとしての、修行の旅。

今思えば、ハーレムパーティーだな。

そんなフラグは、無かったと言えば、嘘になる。

第一王女だけは、さすが王族だけあって俺とは距離を置いてきていたけど。

まあ、王位継承権第一位で、他国の王子様と婚約していれば、俺と間違いを起こすのは駄目だろうけどな。


それはさておき、『イルミスタファンタジー』発売直前に発表されたキービジュアルとプロモーションビデオの少女達の立ち絵の出来が良すぎて、発売直後にベストセラーになったもののシナリオが屑すぎてあっという間にクソゲー認定されて忘れ去られてしまったのは当然と言えて。

勇者の魔王討伐物語としてはまあまあの出来と言えても、その後の領地開発物語がクソすぎて。


なにしろ、報奨として下賜された領地と王女。

第一から第七王女まで、誰を選んでも白い結婚となり、何処の領地を選んでも領地開発は大失敗し、最終的にはそれぞれの王女の手によって直接や間接的に俺は惨殺されてしまうのだから。


まあ、そりゃぁそうなんだろう。

勇者とはいえ平民で、剣の腕は立つものの魔力はなく当然に魔法も使えず。

容姿も自己評価は中の上くらいで、王族から見れば下の下だろうし。


俺の頭の中に流れ込んできた情報の束を何とか整理して、元の『サチ』の記憶を何とか説得して、第八王女の手を取るのに成功して。

ゲームなら失敗すればセーブしたりリセット出来るが、俺が失敗すればパーティーメンバー全員の即死に繋がりかねないからな。


無事?に謁見を終えて、会場の隅に控えていたパーティーメンバーを見やると、サリーとマヤが唖然とした表情で、口を情けなく半分程開けていて。

いつの間にかメグだけが見えなくなっていたが、控えの間で話せるだろうと思いながら、案内人の騎士に促されて第八王女と共に謁見の間を後にした。

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