卑怯だろう?
「お弁当を持ってお庭でお昼はいかがでしょう。旦那様」
楽しげに、あまりに自然に小娘が囀る。
「ご本をお読みになられていてよろしいのですよ? ちゃーんとニューがはい、あーんって食べさせてあげますからね」
咽せるわ!
「不要だ」
「ぇええ。ご本読めますし、お口あけるだけで食べ物も食べられますよ? ニューにちょっと任せるだけで」
残念そうににじり寄らないでほしい。
「うふふ。ここ数日でニューは旦那様の好まれる献立の方向性を理解したのです。お弁当の献立はきっとお気に召すはずですから、お覚悟を!」
小娘の用意する料理は中毒性のある成分でも突っ込んであるのか実に食べやすい。食事というものを楽しみにする王子や聖女を訝しんでいたが、この料理であれば納得できなくもない。
「冗談ですけどね。安定した睡眠と陽射しのもとでの散歩。規則正しい食事。ゆとりある生活が旦那様に『美味しい』を取り戻させただけだとニューは思います。動くための栄養でなく美味しい食事。とても大事だとニューは考えます」
嬉しいと言わんばかりの笑顔に私の動きは止まる。
ズルい。
これは狡いし卑怯。
そう。
それは卑怯だ!
私は、よく生きることがよかった。
だから生きていた。
生きるのに害が及ばぬよう、苦労も空腹もイヤだった。
私が私らしく生きることに重きなど置かなかった。
だから、私は私を知ろうとしなかったし、王子や聖女、父のことも知ろうとしなかった。
だから『弟』に殺されかけた。
知ろうとしなきゃいけなかったんだと今なら思っている。
「家事は任せても私はちゃんとスローライフはおくれると思うんだ」
「もちろんニューがお手伝いしますよ? 旦那様は何もしなくても大丈夫ですよ♪」
そうじゃない。
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