定期訪問

 ぽっちゃりガートンから幾ばくかの食材とフォーダルで発行された情報誌と購入しているシリーズ本の新刊を受け取ります。


「やっぱり母屋に戻れただろ。ニュー」


 さもありなんと得意げなガートンにニューも苦笑いがこぼれます。


「今はニューが家事の手解き中なんですよ。掃除とか食事準備とか庭の手入れに菜園の手入れ。必要な項目を説明しつつ書きだしてようやくまずは体験してどこまで出来るようになれるかをはかるとおっしゃってくださいました」


 さすが旦那様です。

 菜園と庭のとりあえずの手入れ許可を得てニューは一安心ですとも。


「そうだよなぁ。本気で単独自活するなら狩りや採取もできないとだしなぁ。フォーダルまで買い出しに来るならまだしも、話から聞くに出不精っぽいしな」


 えー。

 適切に運動もしてほしいんですけど?


「お料理をする時は旦那様も基本ご一緒なので、ガートンに出せるお茶菓子はありませんよ。ニューとしては申し訳ないですけど。

「え!? 鳥のローストも、鹿腿のローストのフルーツソースもなし!?」

「ニューの知る限りないですね」

「無慈悲!」


 おおげさな反応をするガートンのことは嫌いではありません。付き合い長いですからね。


「近辺の魔物情報とダンジョン情報は旦那様ちゃんには秘匿案件ね」

「コレはニュー用ですか」


 渡された情報誌(週一発行)を眺めつつ問えば、ガートンが肯定します。


「ああ。旦那様ちゃんにはまず生活環境を整えてもらって、療養重視って感じかなぁ。あとほら、必要な物を手に入れるには交渉が必要ってことも理解してほしいしね」


 なるほど。


「旦那様のまわりには先回りして必要な物を揃えてくださる方々が多かったのですね」

「あと、都会じゃ少し動くだけで必要な物は手に入るもんさ」


 お金と身分があれば。となりますが、坊ちゃんが気を配ってらっしゃるんですからそれなりに身分は有り、資金もついてきているんでしょうね。

 旦那様は坊ちゃんからの紹介な訳ですし。


「旦那様にガートンが来ているとはお伝えしたんですけどね」


 チラッと沈黙に包まれる玄関を二人で見つめます。


「出てきやがらねぇな」


 本当に。


「言葉遣い、悪いですよ。坊ちゃんが許されているとはいえ、旦那様が許されるかは別ですよ」


 笑って「また後日」と手を振るガートンを見送ります。

 自活するとは他者(ガートン)との交渉も含まれることに旦那様はいつ気が付かれるのでしょうか?

 ニューはちゃーんと黙ってますよ。


 即死に繋がることと尋ねられたこと以外は。

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