グルメッ!!満腹絶倒☆

@yabikarabouni

対決ッ!

やーい やーい


てやんでーいッ!


おれっちの名前は「麦冷モズク」だーい!


おれっちは一人で食べるグルメ、「一人グルメ」の道を往く料理人だーい!!


おれっちの料理は超美味しいんだぞい!!


今日はおれっちの名声を聞きつけて駆け寄ったテレビ局のグルメ番組「頂上料理対決!モズク vs うどん」に出演するんだーい!!




司会者「それでは登場していただきましょう、グルメッ!満腹絶倒☆ 頂上料理対決!モズク vs うどん」


「やーい やーい てやんでーい!!!! 『麦冷モズク』だーい!」


歓声が、辺りを埋め尽くす。


司会者「そして、もう一人の挑戦者は!『うどんの国』からやって来た、うどん職人ッ!!『うどん』選手だー!!」


うどん「どうもーどうもどうもどうもー 『うどん』ですー! よろしくおねがいします~!!」


彼は新人芸人風の入場をした。

すでにお辞儀の回数は5回を超えている。


司会者「それではさっそく、モズク選手とうどん選手に料理を作っていただきましょう!」

司会者「テーマは『おでん』!! 制限時間は1時間!! 会場にある食材は自由に使ってもらって結構です!!」

司会者「では、料理開始!!」


テーマは『おでん』かあ!


まずは食材あつめだーい!!!


これと、これと、これ……それに、これかな……


司会者「おや!うどん選手!すでに料理を始めているようです!」


な、なんだってーーーー!!!なんてスピードだーい!!!!??


うどん「まずは、おでんの汁作りから!コンブ、醤油、みりん、砂糖、塩、その他お好みの食材で、ベースとなる汁を作ります!」


うどん氏はおでん汁を作った。


うどん「そしてここからがターニングポイント!おでん汁にパックうどんを投入!!」

な、なんだってーーーー!!?? 司会者「おーっと、うどん選手!パックうどんを投入したぞーッ!?」

会場から驚きの声と笑い声があがる。


観客「そうか!うどん氏はうどんの国から来たから!」

うどん「さらにここに、『ちくわ』と『さつま揚げ』を投入します!!」

観客「美味しそう!!」

観客「しかし、モズク氏は何もしていないような……」


会場にいる人々がモズクに目を向ける。

司会者「なんと!モズク氏はまだ食材を選んでいる!!」


観客「ブーーー」


飛び交う罵声が、食材棚のトマトの鮮度を少し落とした。植物はかける言葉によって味を変えるのだ。


司会者「制限時間30分を切りました!」

うどん「おでん汁に、『たまご』と『がんもどき』を投入します!!」

観客「いいね」

観客「モズク氏、何もできてない……」

会場にいる人々がモズクに目を向ける。

当のモズクは、人々の視線など気にならないようで、ただ茫然と佇んでいるだけだった。

司会者「制限時間20分を切りました!」


やーい だーい!


おれっちがこの40分間やっていたことをみんなに説明するんだーい!


おれっちはこの40分間、何もしていないように見えてその実、うまい棒コーンポタージュ味をしこしことすり潰していたんだーい!


あとの五分でおでん汁を作って、そして……


司会者「おーっと?!モズク選手に動きが!!おでん汁を作っているぞ――――――!」



司会者「な、なんだあれは―――――!!誰か!止めて!誰か――――!!」

観客「キャ――――――ッ!!」

観客「殺してくれ――――――!!」


「おれっちは……おれっちは……おでんに『うまい棒』を入れるんだーい!!」

おでんが、一瞬にして、おでんでなくなった。

観客「う、うわ――ッ!」

司会者「な、なんということでしょうか!モズク選手!おでんに『うまい棒』を入れてしまったー!!」

観客「なんてことをしてくれたんだ!」

観客「殺せーーーー!!」

会場にいる人々はモズクを罵った。


「そして、ここでピザポテだーーーーい!」

モズクは叫んだ。

司会者「おーっと!ここで、モズク選手は『ポテチ』を投入する模様だー!!」

おでん汁が、一瞬にして、菓子好きな子供のゲボになった。

観客「うわああああ」

観客「なんてことをしてくれたんだ!」

観客「殺せーーーー!!」

会場にいる人々はモズクを罵った。


「そして最後に、猛毒のゴキブリだーーーーい!!」


観客「うわああああ」

観客「なんてことをしてくれたんだ!」

観客「殺せーーーー!!」

会場にいる人々はモズクを罵った。


すでにトマトは腐り落ちている。


司会者「終了――――――!!!両者手を止めてください!」

司会者「では、どちらの料理がおいしいのか、世界でも有数の料理評論家『谷山雌谷』さんに試食してもらいます!!」


谷山雌谷「どれ……まずはうどん君のからいただこうか……」


ドキドキっ ドキドキっ


谷山雌谷「あっ、うまい。」


谷山雌谷「なんか晩御飯の〆みたい。眠くなっちゃう。」


谷山雌谷「点数は、9/10!」


司会者「なんと!早速高得点だーーーー!!モズク選手、9点を超えられるか!?」


谷山雌谷「ではモズク君のを。」


パクパク……


谷山雌谷「ウッ!」


谷山雌谷が、床に倒れ込む。


観客「なんてことだ……なんてことだ……」


やーい


やーい


てやんでーい


そう、おれっちは闇のアサシン、「喪豆苦」……。


すべてを完璧にこなす鉄の男なのだ。


司会者「これでは採点ができません!!!」



司会者「おや?谷山雌谷氏が何か……」


谷山雌谷氏は、自らの血で床に「0/10」と書いた。


司会者「なんと!ゼロ点だーーーー!!うどん氏の勝利だーーー!!」



うそ?


ちくしょーーー!


やーい


やーい


やーーーーい






BAD DAY......

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