第7話  知人、危機一髪!

 知人の仁志君、学生時代、夏休みにドイツへ2週間の一人旅。観光をしていると、急に便意に襲われた。彼には、カフェに入ってトイレに行くという発想は無かった。彼は節約するタイプだったのだ。


 やっと見つけた公衆便所。便器に座りホッとしたが、横を見ると壁の穴から誰かが覗いている。嫌な感じだ。だが、お尻を拭かないと動けない。


 お尻を拭き終わったら、壁から覗く目がいなくなっていた。安堵したところで、いきなり目の前のドアが開いた(外国の公衆便所は鍵がなくてもおかしくない)。そして目の前には、ズボンとパンツを膝までおろしたビール腹のオッサン!


 オッサンは襲って来た。仁志君は両手でオッサンの接近を止める。そして、初めて叫ぶ“ヘルプ・ミー!”。


 声が聞こえたのか? 人がやって来た。ビール腹は舌打ちをしながら去った。仁志君、便座に座ったまま“サンキュー・ベリー・マッチ!”。



 仁志君、危機一髪だった。お化けよりも怖かったと言っていた。そして、フランクフルトやソーセージを食べられなくなったとのことだった。



 と、書くと、仁志君が善人の被害者に見えるがそうでもない。



 仁志君、今度は中国へ観光旅行。そこで、或る村を通った時、同じ年頃の女の娘と意気投合、女の娘が“ついていく”と言い出した。


 旅は道連れというが、仁志君の目的は営みだった。夜になって迫ってみたが、女の娘が痛がって結ばれなかった。


 そこで仁志君、女の娘が寝ている隙に支度をしてホテルを出た。始発のバスに乗ろうとしたのだ。


 バスに乗り込み、女の娘との思い出に浸っていると、遠くの方から彼女が走ってくるのが見えた。ヤバイ! せっかく逃げたのに、ここで捕まるわけにはいかない。


 “バス、早く出発してくれ!”



 危機一髪、バスが出発して仁志君は逃亡に成功した。仁志君は、彼女が乗り込んできたらどうしよう? と、すごく怖かったらしい。







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