第6話  幽体離脱?②

 中学3年生の時、寝ていて目が覚めたら朝方、窓の外が明るくなり始めていた頃に金縛りに遭った。金縛りが解けるのを待って、目を開けてぼんやりと天井を見上げた。


 “?”


 違和感を感じた。天井が近づいて来るのだ。


 “天井が降りて来てる?”


 いや、違う、僕が浮いているのだ。下を見て確認したいが、金縛りで動けないので下を見ることが出来ない。天井にぶつかる!


 何かをすり抜けて、また目の前に天井があった。わかった、4階の天井だ。僕の家はマンションの3階だから、天井をすり抜けて4階に来たのだ。そして上昇は止まらない。また天井をすり抜ける。5階! またすり抜ける。6階! そして7階! マンションは7階建て、次は屋上のはず。


 やっぱり! 僕は屋上をすり抜けた。空、空が見えた。もう充分だ、元に戻りたい。なのに上昇速度は増していく。速度が増す、まだ増す、もっと増す。空も高さによって色が変わるということを知った。


 そして、いよいよ大気圏を突破してしまったのか真っ暗になった。星は見える。


 “戻らないとヤバイ!”


 止まれ! 止まれ! 止まれ! 止まれ!


 やがて上昇は止まった。暗い世界に1人浮いている。


 “アカンやん! 戻れ! 戻れ!”


 祈った。念じた。気合いを入れた。必死だった。やがて、ゆっくりと下降していく感覚があった。下降速度が増していく。怖い! 絶叫マシンに乗ったときのような感覚だが、絶叫マシンよりも怖い。


 仰向けのまま降りていく。空の色が広がり始めた。大気圏までは戻った。もっと! もっと! もっと降りないと!


 最後はさっきと逆、パッ、パッ、パッと天井が見えて、


 “ドーン!”


 と、落下の衝撃を受けて、ようやく自分の身体に戻った。怖かった。めちゃくちゃ汗を掻いていた。夢だったのだろうか?







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