第3話 廃病院。
学生時代、友人A、B、Cと一緒に肝試し、夜中に車で廃病院へ。
病院に入ろうとすると、Cが呻いてうずくまった。
「腕が痛い」
懐中電灯で照らすと、ミミズ腫れのようにカタカナで『ヤメロ』という字が浮き上がっていた。だが、AもBも気にしない。
「どうせ自分で引っ掻いたんやろ?」
病院の中に入っていく。仕方が無いので僕等もついて行った。
懐中電灯の明かりだけを頼りに4階建ての院内をさ迷う。が、何も起きない。最初は緊張していたが、やがて退屈してきた。暑い。早くエアコンの効いている車内に入りたい。
「もう帰ろうや」
ところが、何故か出口が見つからない。4人で院内をさ迷った。夜が明けかけて、明るくなり始めた頃、ようやく病院の外に出ることが出来た。
「やっと出られた」
「なんやったんや? なんで出られへんかったんや?」
その時、Bが言った。
「A! 背中! 背中!」
Aの白いTシャツの背中には、泥の手形がついていた。
「なんやこれ?」
勿論、誰の手にも泥などついていなかった。誰の仕業か? わからない。
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