第39話 教室で初挿入?
しきりと煽って来るこのみちゃんと愛理に対してジュンくんは、一応理性の壁を立てた。しかし、その壁もいつ崩れ去るとも知れない脆いものに見えた。なぜなら、彼持ち前の忍耐力で一時的に性欲を端に追いやったものの、躰の奥の方ではいまだマグマが沸騰している。それは彼の目を見るだけでわかる。「ごめん、ごめん。がっついちゃったなあ」なんて、へらへら笑ってはいるけど、大変な忍耐力と意志力で行動を律しているのだった。男らしいと言えば男らしい。
はやく彼を、性欲の業火から解放してやらないとかわいそう。
「高校で愛を温め合って来たんだから、教室で初エッチというのもありかと思うけど」
このみちゃんが突拍子のないことを言いだした。
「ちょっと、このみちゃん‥‥‥」
いつ誰が入って来るともしれない教室でセックスするなんて、ありえない。でも、頭の片隅には、ジュンくんの性欲を早く解放してあげないとあまりにもかわいそうという思いもある。
迷う。
このみちゃんとしてはかなり期待している様子だ。小さな目をあんなにくりくりさせているじゃないか。「そうよね?」と、急かすように愛理の横腹をつつく。「教室エッチっていうのもいいよね?」と、愛理が乗ってくれることを半ば確信している様子。
「そうよ! やっちゃいなさいよ。二人が愛をはぐくんだ校舎での初挿入なんて、素敵じゃない?」
とうとう愛理が乗った。願いが叶ってこのみちゃんはパチパチ胸の前で拍手する。これ以上焦らさないで、とでも言うようにパタパタと足踏みまでしている。
「見たい‥‥‥。私、見たいの。ジュンくんとサキちゃんの初挿入‥‥‥」
このみちゃんはまるでお星さまにお願いをするようだった。少女漫画の乙女のように両手を合わせ目をキラキラさせている。
「ジュンもこれ以上性欲抑制するの限界だろうし‥‥‥」
愛理の観察力は鋭い。ジュンくんだけじゃない。実は──、
私の性欲インジゲーターもマックスを示しているのだった。乳首がこれ以上ありえないほど充血して、ピーンと上を向いているし、ショーツのオープンクロッチからは蜜があふれ出し、スカートを内側から濡らしている。
「愛を温め合った校舎での初エッチ──。とても素敵なアイディアだと思うけど‥‥‥。私も見せてもらいたいし‥‥‥。ここがダメなら保健室もありだよ。だって、ふたりにとって保健室は思い出の場所でしょ?」
サキの説得が私とジュンくんの腑の底へゆっくりと落ちてゆく。
「だれにも見られないようにするから。フミカだって協力してくれるよ、きっと。フミカだって教諭だよ。教諭が協力してくれるんだよ。百人力じゃない!」
ジュンくんと出会った母校での初エッチ。ジュンくんにお姫さま抱っこで運び込まれた保健室での初エッチ。フミカに手足を縛られ、愛理に躰をまさぐられた場所でリベンジ! いいかも! 本当にいいかも! フミカと愛理、そして大好きなこのみちゃんにも見てもらう。そして自慢する。大好きなジュンくんはこんなに私を愛してくれるのよ、と。みんなの憧れの的のジュンくんに貫かれているのよ、と。
いい!
考えれば考えるほど、いい!
絶対にいい!
ジュンくんを見上げると目が合った。その瞳の色を見ただけで、ジュンくんの思いが読み取れた。
「じゃ、オレの16
それは私の願いと完全に一致していた。嬉しくて、そして恥ずかしくて私は顔が紅潮して熱くなる。愛理もこのみちゃんも目から星が飛び散るように感動している。
「さあ、制服着て! 11HRに行くのよ!」
4人は一階に移動する。もし誰か教員と遭遇した時あやしまれないように上履きを履き、わざとにぎやかに11HRに向かう。
ジュンくんはまだ勃起が収まらないようだ。ズボンの前が大きく張り出している。かわいそうに、ベルトに当たって、まっすぐ伸びたい幹が横に
私は私で、膣から大量の愛液が漏れている。オープンクロッチだから、さっきオルガズムを迎えた時噴き出した汁の一部はお尻の割れ目を下り、スカートの布地に吸い取られている。外から見てシミになってなければいいのだけど。
「だいじょうぶだよ、サキ」
私がしきりにお尻を気にしているのにこのみちゃんが気づき、教えてくれた。細かい配慮のあるこのみちゃんが大好きだ。
それにしても、濡れている部分がヒンヤリする。4月といっても、校舎の中はうすら寒い。通用口から風が吹き込んでスカートの中に侵入してくる。前と後ろの穴がヒンヤリする。内腿のあたりにもかなり垂れているのだろう。風に乾燥した粘液がゴワゴワと気持ち悪い。
それにしても私は漏らしすぎだ。性感が開発されたのはいいが、ちょっとの刺激ですぐ感じてしまうし、急激に高まってしまうし、勢いよく漏らしてしまう。メリットには例外なくデメリットがともなう。この世の
一階の廊下を11HRに向かって歩く。
「お? 何だ、オマエら‥‥‥」
うしろから呼び止められぎくりとする。悪寒を誘うひんやりした風が躰をすり抜けた。
職員室から出てきた上原先生に呼び止められたのだった。ジュンくんは私の肩から腕を下ろす。
すぐ目の前に11HRのプレートが見えるのに、あと少しというところで捕まってしまった。
「ああ……、実は、先生‥‥‥」
愛理が振り返り、顎に人差し指を当てた。何か気の利いた言い訳をしようと思案している時のお決まりの仕草だ。同時にそれは彼女の一番美しい姿だ。こんな時は現場対応能力に優れる愛理にまかせるのが一番だということは、みんな知っている。ほかの3人も先生の方に向き直りわざとらしい笑顔を張りつけ、アイリの切れのある弁明を期待している。
まずい‥‥‥。このみちゃんだけ、笑顔だけ妙にひきつっている。腰に手を当て前かがみになった先生の視線がそこに固定されているではないか。
「2年生になったら新しいサークルをつくろうと思いまして‥‥‥」
愛理が愛想よく小首をかしげると、上原先生は無関心そうに「ふーん」と顎を突き出す。だが視線はこのみちゃんに当てられたままだ。
「それで?」
「その打ち合わせのために集まったんです」
ジュンくんが引き取ってよどみなく続ける。先生の視線はこのみちゃんに固定され、頑として動かない。
「そんなことのためにわざわざ制服を着てここまで来たのか?」
先生の猜疑心溢れた顔とこのみちゃんの困り切った顔の間の距離は約20センチ。ジュンくんが発言したのだから彼を見ればいいのに、先生はこのみちゃんにさらに顔を近づけてゆく。その眼付は獲物を狙う蛇のようだ。なんて狡猾なんだろう。
「あー、だから、その—‥‥‥。青少年の恋愛と性に関して調査したり、啓蒙活動したりする‥‥‥、そんなサークルでして‥‥‥。それでフミカ先生に顧問になってもらおうと思ってるんですが‥‥‥」
とたんに上原先生がこのみちゃんから視線を離し腰を伸ばす。眉をしかめる私たち一人一人を見回した。4人に緊張が走る。
「ウソつくんじゃない! フミカ先生なら県の養護教員研修で……」
その瞬間、後ろでドアのあく音がした。一同振り向くと11HRからフミカが顔を出す。
「キミたち遅いよぉ! とっくに約束の時間すぎてるぅー!」
眉間にしわを寄せて腕時計を人差し指でペチペチと叩いている。
──え? どうして11HRからフミカが?
私たち4人は首をかしげて互いに目くばせし合う。みんな私たちが気づかないうちに愛理がフミカに連絡してくれたんだろうと思った。3人は彼女を見るが、愛理は小さく首を振っている。
フミカの登場は上原先生にとっても意外なようだった。
「‥‥‥は? フミカ先生、たしか一時間前に学校を出られたはずじゃ‥‥」
キョトンとした顔をしている。たったいま職員室から出てきた三人の先生もフミカの登場に足を止め、「は?」と首を傾げている。
3秒間、世界の時間はストップした。
まあ、「何でもあり」こそがフミカなのだ。「不思議大好き」こそがフミカがフミカである
「上原先生、すみません! 私がこの子たち呼んだんです!」
フミカは上原先生に愛嬌よく頭を下げ、私たちに、はやく、はやく、と手招きしている。
ニットの上に二つの膨らみを大胆に浮かべたフミカの登場で瞬間、目に男の色を発火させた上原先生だった。しかし自分はお呼びでないとわかると、「ふーん」とわざとらしく無関心を装うと、踵を返し教員用トイレに消えていった。
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