第33話 7分の1エッチ ステージ1

「もう少し入れてみる?」


 問われて薄目を開けると、ジュンくんの優しい視線に包まれた。いつもわたし第一に考えてくれるとても優しいまなざし。顔がいつもよりピンク色に染まっている。さっき浴びたシャワーのせいだろうと思った。さほど体力は使っていないはずなのに息遣いが荒い。そうか。男の子って指を入れるだけで興奮しちゃうのか……。


 私は彼に横抱きにされている。背中から腕をまわされ左の乳房を包まれている。お尻はシーツの上。左足は床に落ち、右足は私の膣を訪問している指に続く肘で押さえられている。股間が大きく開いているのがちょっと恥ずかしいけど、ジュンくんに守られているという安心の中にある。


「も、もう、入らないよ。そこが……、子宮口だよ、たぶ、ん……」 


 乳房からお臍の下まで覆った真っ白のバスタオルをぎゅっと握る。右の胸からタオルがずり落ち、乳首が露出したが、左の膨らみがジュンくんの手のひらに包まれているから、まだずり落ちていない。


「ここが子宮口だったら、サキの膣は全長3センチにも満たないことになるよ」

 

 彼のいたずらっぽい笑顔から視線を落としおそるおそる見下ろしてみると、薄い茂みがジュンくんの広い手で覆われていて、中指だけが屈折し第二関節が浮き上がっている。ジュンくんは3センチと言ったが、たぶん2センチくらいだろう。それでももし膣にそれ以上入ったら、痛みに襲われる予感があった。


「さっきまであんなに濡れていたのに。‥‥‥ローション使おうか?」


 じっくり愛撫されてあれだけよがっていたのに、そしてアソコは愛液が溢れていたのに、いざ指を入れられると未知の感覚に全身緊張し、膣はつっぱり、溢れていたものもすっかり乾いてしまったらしい。でもジュンくんのいたわりは嬉しい。


「ローションはいや。ここは私とジュンくんだけの聖域なの。異物が入るのはイヤなの」


 と、ちょっとねてみた


「そっか、じゃ‥‥‥」


 私の腰には勃起した逞しいものが当たっている。ジュンくんは膣口にあてられていた指を抜き、勃起を掴んだ。チューブを絞るように下から上にしごくと、キノコ坊やの頭が真っ赤に充血し、先端の鈴口から透明の液体があふれ出てくる。彼はそれを指ですくい取った。再度指をクリトリスから滑る落とすようにして私の膣口にあてると、ぬるっとした感覚がさっきの位置まで滑り込んできた。


「さあ、力抜いて」


 ニュルッと入って来て、隘路に圧力が加わった。未だかつて空気に触れたことのない部分が侵入を受けた。


「……くっ、……ジュンく……」


 ドーナツの穴が内側から目いっぱい拡張された。私は怯えてジュンくんを見上げる。こわい。それ以上深く入れられたら、私の膣はどうなっちゃうんだろう。襞が切れるって、襞が破れるって、どんな感じなんだろう。こわい……。


 彼の目も潤んでいる。頬が高潮している。指が……、指が心なしか震えている。彼だってこれより先は未知の領域だ。あまりにもヤワで無防備な女の器官を前にして途方に暮れているに違いない。


 限界点を超えたところでプチッと糸の切れる感覚があった。


「あっ!」


 甲高い声が漏れ、部屋の四方の壁に反射する。私はとっさにジュンくんの胸に爪を立てた。「だいじょうぶ、だいじょうぶ」となだめられながら、指はさらに奥へと進んできた。──ニュルッと。


 「ニュ」で果敢に入って来て、「ルッ」で軽く引く感じ。ニュルニュルの反復でかなり深い所まで入って来た。


 奥の方から暖かいものが溢れて、襞と指の隙間からにじみ出てくる。たら―っと垂れて肛門の方まで潤わせる。それが粘液なのか破瓜はかの血なのか、怖くて確かめられない。私の視線はジュンくんの瞳に集中している。彼の瞳こそ今現在の私の世界の全部だ。

 

 痛みはほんの一瞬だった。


 続いて……膣襞を撫でられる


 そう、「快感」には届かないけどが、痛みの上に薄く、薄く、上塗りされていく。焦げてしまったトーストの上にマーガリンが塗られていくよう。


「ほら、全部入ったよ」


 その一言で肺に監禁されていた空気が緩み、安堵のため息が漏れた。ジュンくんがクスッと笑った。


「入ったのね?」

「入ったよ」


 優しい目で見下ろされてとても幸せな気分になった。とたんに緊張していた膣もふわっと緩む感覚があった。そこが再び暖かみと潤いを回復してゆくのが感じられる。


「ジュンくんが入ったの?」

「そうだよ。キミの子宮の真ん前まで来てる」


 お腹の奥の方で指先の動きを感じる。


「う、うれしい‥‥‥」


 涙が出てきた。もちろん喜びの涙だ。ジュンくんの躰が、たとえそれがほんの一部であったとしても、私の子宮に触れている。──その思いだけで最高にしあわせだ。


 初日は指を入れるだけにしようと言い出したのはジュンくんだ。それは私にとっては「賢明な選択」だが、欲望を早く放出したい彼にとっては苦渋の決断だったにちがいない。


 私の腰に触れている彼の屹立がドクっと、心臓のように脈動を刻んだ。不規則的に脈動を刻む彼の欲望。それは今私の膣に挿入されている指の7本分の太さはあるだろうか。それほど彼の性欲は盛っている。だが、こんな大きなものを私の隘路に突っ込むのは、今は怖い。


 だから今日は7分の1セックス。


 超初心者のセックス。


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