第27話 性感マッサージ
お母さまの部屋は、クイーンサイズのベッド、デスク、ドレッサー、ソファーなどが四角い壁に沿ってバランスよく、整然と配置されている。壁紙と言いカーテンと言い、すべてはお母さまのセンスが光っていた。
家族に施術することもあるのだろうか、部屋の中央にはマッサージベッドが置かれている。清潔感漂う真っ白のシーツの上にT字型に敷かれたブラウンのバスタオル。横に広げられたタオルは両腕の下になり、縦のそれは胴と脚に敷かれるのだろう。U字型の枕はうつ伏せになったとき楽に呼吸ができるように配慮されたものと思われる。
「さあ、こちらにうつ伏せになってくださいね」
上品でよく響く声。
振り向くと、お母さまが黒のカットソーにバリ風のカラフルなスカートを巻いて立っていた。胸元には「MAKIMURA」 とネームが入っている。サロンのユニフォームなのだろう。
「お母さま、とてもよくお似合いです」
「ありがとう。これ、愛理さんがコーデしてくれたのよ」
ああ、私もお母さまのサロンで働きたい。愛理のコーデしてくれるユニフォームを着たい。素直にそう思えた。
髪の毛にはまだ湿気が残っていた。ベッドに腰を下ろして、躰に巻いたバスタオルの結び目に手を掛けると、お母さまがすかさず別のタオルを広げて躰を隠してくださった。ペーパーブラとショーツを付けているから全裸にはならないのだけど、隠してもらえると心が落ち着く。きびきびとしたお母さまの所作はさすがプロと思わせるものがある。
背中から肩甲骨、肩から首筋、二の腕へと粘り気のあるオイルが垂らされてゆく。高い位置から垂らされるそれは、まるで打楽器のように肌を打ち、心地よい波動が躰の奥の方まで広がって来るのだった。
「……うっ……」
微電流にも似た怪しげな波動は、すでに私のくちびるから微かな喘ぎ声を引き出していた。
「じゃ、バストアップから始めるわね」
「はい、お願いしま……っ」
不整脈のような呼吸の揺れが、最後の「す」を言わせなかった。
バストアップというからには胸を揉まれるのかと思っていたら、うつ伏せのままだった。背中の余っている脂肪を小鳥についばまれる様に、何度も何度もつままれた。つままれては均され、つままれてはまた均されの連続だった。
左右の腋の下から手が忍び込んできた。腋のくぼみと乳房の裾野を心地よい圧力が滑らかに往復する。
「ん……、あ……」
渓谷を住みかとする小動物の鳴き声かと思った。それが自分の声だとわかったとき、ほんの一瞬羞恥心が弾け、キュッとくちびるを結んだが、それもじきに緩んで、今もだらしなく半開きになっている。
「じゃ、今度は足の裏から少しずつほぐしていきますね。躰の一部分に集中している性感帯を体全体に広げていきます……」
お母さまの発音する「性感帯」という言葉が耳道を怪しく撫でながら躰に溶け込んでゆく。この方がジュンくんのお母さまなのだと思うと、軽い目前さえ感じる。
「声を出してもいいですよ。腰が自然にピクピクしちゃうかもしれませんが、皆さんそうなりますから、恥ずかしがらなくてもいいです。じゃ、始めます‥‥‥」
クライアントに対するように敬語だった。
オイルが垂らされる。その最初の一滴が足の裏に落ちた時、快感の波紋が広がった。どんどん広がり、どこまでも広がり、それが第一波となり全身を駆け巡った。
「‥‥‥っ! ‥‥‥んっ!」
私は思わず腰を反り返らせ、お尻の穴をきゅっと絞める。それに膣口が反応し、ひきつったように痙攣する。膣がすでにたっぷりと潤いを帯びているのを感じた。足の裏の刺激がどのようにして膣までで伝ってくるのか不思議でならない。
足の指と指の間をシルクのような柔らかさが何度も何度も通り抜けてゆく。それが人間の指であることが信じられないほど滑らかだ。両足の土踏まずが、まるでタオルを絞るように圧されると、濃縮され蓄積されていた疲労が緩み、分解され、躰の外にじわーっと流れ出て行くような感じがする。その心地よい刺激で内腿がもじもじとしてくる。
「サキさん、とってもいいわ。貞利博士の鍼が効いているみたい。じゃ、ここはどうかしら?」
お母さまは私の脚を少し広げ、膝裏からわずかに内股へずれた部分を左右同時に押した。
「ふっ……、ああっ!」
途端に内股の神経回路を微電流が暴走し、膣の奥の方にパチーンと火花を上げて衝突した。
「はあーん!」
甲高い声が漏れた。腰が「へ」の字に浮き上がりそのままピクピク痙攣した。喘ぎ声が漏れる口を塞ぎたかったが、U字型の枕に顔を突っ込んでいたから不可能だ。お尻はお母様に突き出した姿勢でブルブルと震えている。
──なんてはしたない格好をしているんだろう! お尻を突き出すなんて。それもジュンくんのお母さまの前で……。
私は自分を嫌悪した。でも、どうしようもない。膣壁の痙攣が骨盤全体に広がり、突き出したお尻を引っ込めることなんて到底不可能に思えたのだった。
「お、お母さま……、ごめんなさい。わ、私……、ああ……」
無礼を詫びる。しかし、ツボを押されるたびに、押し寄せる快感に抗いきれず、ますますお尻を突き出し、振ってしまうのだった。私は激しく混乱していた。押されたのは脚なのに、どうして膣が痙攣しているんだろう。膣ばかりじゃない、お尻の穴もキュッ、キュッ、キュッとリズミカルに締まったり閉じたりするのだった。
「あやまることなんてないのよ。女の子はみんなこうなんだから。もっとリラックスして。何も考えちゃダメ」
「ああ、でも……、あっ! で、でも……、んん!」
言い訳をするたびに、喘いでしまう。こんなはしたない女じゃないのに。こんな淫らな女じゃないのに。お母さまに誤解されたらどうしよう。
「女の子はみんな淫らなのよ。サキさんも淫らなの。処女のくせにとっても淫ら……。自分の淫らさを認めてしまいなさい。ほら!」
「きゃっ!」
鼠径部のある一点を押された。とたんにすごい電流が伝わって背骨がピンと反り返った。私は腕をつっぱり、とうとう四つん這いになってしまった。腰がガクガク震える。何かを求めてしゃくってしまう。何だろう。何を求めているのだろう。
間髪を入れず、ペーパーショーツのヒップに手を掛けられた。それは丸いお尻をすべり、膝まで落ちた。左右の膝を交互にあげると、お母さまは器用にそれを抜き取った。
脚を思いっきり左右に広げたのは自分だった。そこを触ってもらいたくて広げたのだった。
ああ、なんて私は淫乱なのだろう。うつ伏せの状態から四つん這いになったのも私。脚を開いたのも私。何も強制されてないのに、私の躰は恥ずかしい姿勢を取ることに躊躇しなかった。
恥ずかしい部分がお母さまの眼前に突き付けられている。興奮してパックリ割れたそれが、まっ赤に充血したそれが、ヒクヒクと震えるそれが、お母さまの眼下にある。それを見てお母さまはどう思っているのだろう。
ショーツに覆われていた部分はオイルが塗られてないはずだ。にもかかわらず生暖かく濡れているのはなぜ? 私はお腹の下から手を通し、股間に指を這わせた。
「うっ!」
大洪水になっていた。秘所からはすでに粘液が糸になって垂れている。
──ウソウソ……。こんなことって……。
指先ですくい取った粘液を目の前に持ってきて確かめる。確かにラブジュースだった。このみちゃんに教えてもらったオナニーをすると出る液体。でも、糸を引くほどこんなにたくさん漏らしたことなんてない。どうなっちゃったんだろう、私の躰は……。
太腿へのマッサージが続く。徐々に躰が火照り、呼吸が荒くなる。私はお尻を突き出したまま肘を折り曲げる。快感にさらわれた躰がだるく、とても上半身を支えられないと思ったからだ。手の甲に顔を置いて、激しく喘ぐ。気管支が擦り切れそうだ。
「はあはあ……、ああ、ああ……」
呼気に声が混ざる。
躰中が熱を発散しているようだ。ビニールハウスに閉じ込められたように熱い。熱せられた肌がすごく敏感になっている。
お母さまの指は時々気まぐれを起こす。膝裏から脚の付け根にかけてオイルを伸ばしているかと思いきや、腕を伸ばして横腹を引っかく。とたんに電流が走り、背中が反り返る。その背中が爪の先で引っかかれる。間髪をおかず、脳天から子宮に鋭い快感が走る。
快感の波は子宮と膣を目指す。子宮は性感ポンプとなり収縮を繰り返す。膣はおいしいものを催促するように口をパックパクさせている。
お尻の左右のほっぺたを優しく撫でられていた。性器には触れないぎりぎりの所から這い上がるようにして丸いお尻が撫でられている。ペタペタと叩かれる。指先のリズムが子宮にずんずん伝わって来る。何度も何度も撫で上げられる。ときおり指先が肛門に触れるが、性器は徹底的に無視されている。しかし、その無視されているところがしきりに熱を帯び疼くのだった。膣口のパクパクが止まらない。焦らしのテクニックなのかもしれない。
「サキさん、お尻がとってもいいわ。魅力的。あなた高校生のうちから、それも処女のうちからこんなにセクシーなお尻でいいのかしら」
その時、憎たらしいわ、とでも言うようにお母さまの指先がクリトリスにちょこんと触れた。
「はあっ!」
快感電流に子宮が突きされ、大きな喘ぎ声が漏れてしまった。同時に膣口がヒクヒクと震え、パクッと音を立てて全開になってしまった。
え? 処女なのに、膣口が自ら開く? ウソ、ウソよそんなの。
いやらしい‥‥‥。なんて音を立ててるの。ピチュッ、パチュッと今までに聞いたことのないいやらしい音。ああ、その音源をお母さまの指が這っている。私の隙を見て泉に入って来ようとさえしている。ああ、お母さま、そこはジュンくんだけが入れる所なんです。で、でも‥‥‥、とても気持ちいいです。どうしよう。どうしよう‥‥‥。
お母さまの長くて白い指先が脳裏に浮かぶ。上品にコーヒーカップを掴んでいた細い指。笑う時そっとくちびるに添えられていたあの上品な指。その指が‥‥‥、ああ、その指が私のアソコに入って来ようとしている。でも、そこはジュンくんだけが‥‥‥。
いいんです! お母さま! いいんです! 入って来てもいいんです! ジュンくんのお母さまなら、お母さまなら‥‥‥。
その瞬間、脳天から膣の入口に張られた糸がピーンと弾けた。
「はあぁああ!」
すごいふり幅で振動している。快感の横溢で目の前が真っ白になり、いやらしい喘ぎ声が鼓膜を突いた。
「ああ、 いい! おかあさまぁああ、 いい!」
やがてその喘ぎ声さえ意識の向こうにぼやけて行った。
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