第16話 淫夢
……っ、……うっ、……はあぁっ、……っ、……っ、……ううっ。
引きずりこまれた夢の中で、私はあの女に嫉妬していた。
あの女は輝いているのに、どうして私は萎んでいくのかしら。
ジュンくんは会ってもくれないし、電話もしてくれない。私が処女だからかしら? 性的に幼いからかしら。処女の方が虐めがいがあるの、あなた知らないでしょ? 経験のある女をいじめるよりずっと刺激的だと思うよ。なんで私じゃないの? なんであの女なの? あの女にもジュンくんは結婚しようなんて持ち掛けたのかしら。
……んっ、……ううっ、……んんっ、……うふん、……んんっ。
誰彼かまわず手を出す男子ではないと確信していたのに。聖なる体育館であんなことをする男子ではないと確信していたのに……。ほら、みんな試合に勝とうって一生懸命練習してるよ。なのに、ジュンくんはどうして体育館の片隅で女を虐めてるの?
うふん……、あっ……、はあぁあっ……、んん……、ああん……。
愛理さんの躰はクモの巣に引っかかった哀れなモンシロチョウのようにバレーボールネットに絡み取られている。ジュンくんに躰を撫でられ快感に震えるたびに、肉感的な肢体にネットが食い込んでいく。でも、演劇部の愛理さんがどうしてバレーボールのユニフォームを? 上は背番号の付いたシャツ。でもボトムはビキニ。シャツには二つの乳首、下には股間の筋を浮かべ愛理さんはもだえ苦しんでいる。いや、苦しんでなんかいない。快感に悶えているのだ。あのうっとりとした表情。ジュンくんに虐めらることが生きがいだと書いてある。
あなたは愛理さんが好きなんじゃない? 演劇部で一番きれいな彼女。芸能界入りしても十分通じそうなルックスとボディー。身長はあなたマイナス7センチといったところ。とてもお似合いなカップルじゃない? なのに、なのに‥‥‥。
どうして私に「結婚しよう」なんて言ったの? どうして私は「いいよ」なんて安請け合いをしたのだろう。それさえなければこんなに激しく失望することもなかったのに。
私は夢の中で絶望に打ちひしがれているのだった。
自分の胸を愛撫していた手が下半身に滑ってゆく。ショーツの中に忍ばせるとビーナスの丘はツルツルだった。なぜか私はそれを誇りに思っている。指の先が敏感な突起物に触れる。ダブっている皮膚を剥く。たちまち、鋭い快感がピーンと身体を突き抜ける。
あうっ! はあ……、はあ……、んん……、うう……、はあぁああ……。
目の前ではバレーボールのネットがますます愛理さんの躰に食い込んでいく。後ろ手に縛られている彼女が羨ましい。拘束されている女体が女王様のように輝いている。それを見ている私は嫉妬が募り、口からよだれがこぼれる。それは胸の谷間を伝って下へ下へと流れてゆく。性器からも粘液が流れ出し、体育館の床はベチョベチョ。それほどジュンくんに縛られたい思いは強烈で深刻。体育館が私の粘液に埋もれてしまえばいいとさえ思っている。
ダメッ、はあっ、んぐっ、ダメだったら、ああっ、ひっ……。
愛理さんが藻掻く。藻掻けば藻掻くほど、膝が左右に大きく割られてゆく。一番感じるところにぐいぐいネットが食い込んでいく。網の目が食い込んで性器の形が浮かび上がっているじゃない。ほら、おっぱいだって。ネットに絞られ、かわいい乳首が浮き出ている。
あ! ユニフォームが裂けた! 生の女体にネットが食い込んでいく。メリメリと音を立てて食い込んでゆく。
大きなクリトリスに糸が絡み、包皮がめくれてゆく。真珠のようにまんまるの、パールピンクに輝いた肉芽が姿を現す。美しい愛理さんは女の芯まで美しい。背の高い愛理さんは芯もふっくらとして大きい。でも、そんなことで私が落ち込むと思ってるの? 私の先端だって、ツンと前に突き出ているんだよ。充血したらピンと勃起するんだよ。ショーツに擦れてヒリヒリするくらいなんだよ。
ジュン……、ダメ、イっちゃう、もっと、もっと虐めて! うぐっ!
そうか……。ふたりはいつもこうやって楽しんでいるんだね。でも、だからといって愛し合っている証拠にはならないでしょ? 私ならジュンくんをもっと満足させてあげられる。自分で慰めることだって覚えたんだよ。花芯を舐められる快感だって知っている。性感の発達においては愛理さんに劣っていないはず。
ああっ、もっと、くうっ、んんぐっ、もっと、んぐわっ……。
16
ジュンくんが結婚しようと言ってくれたのは私。たとえ冗談だったとしても、そう言わせる思いが彼の中にあったということだ。大丈夫。彼の心は私に向いているはず。「結婚」なんて言葉、むやみやたらに口にできるわけがない。それを口にしたからにはそれなりの決意があったはずよ。それに相応する魅力が私にもあるはず。
そう思い込みたい。けど、いまいち確信の領域にまで届かないでいるからもどかしい。彼に電話もかけられず、教室に会いにも行けないのは、学年中に広まっている愛理さんとの噂を否定しきれないから。拒絶されてミジメになりたくないから。
彼の指が愛理さんの股間を這う。ネットの食い込んだワレメを指でなぞっている。そんな光景を眺めながら、私は覚えたてのオナニーをする。潤った花びらの周りを指でなぞり、ハタハタとはたき、芯を覆う皮を剥いたり被せたりを繰り返す。愛液がまだ使ったことのない壺の奥から溢れ出て、お尻の穴にまで垂れてくる。快感が募ってくる。来る。すごい気の塊がやってくる。イくかも、イッちゃうかも……。
「んぐっ……」
目がくらむような快感の瞬間、愛理さんと私が入れ替わってた。
ネットが食い込んでいるのは私のアソコ。ジュンくんがしきりに指を這わせているのはわたしの花びら。指を押し込もうとしてるのは、私の壺口。
荒い指がショーツの中に侵入してくる。渓谷を行ったり来たり下いると思ったら、皮がめくられ芯が露出する。真っ赤に充血したものにさらなる血流が押し寄せ、パーンと弾けてしまいそうだ。
ああっ、もっと、くうっ、んんぐっ、もっと、んぐわっ……。
何よ、さっきから聞こえる喘ぎ声⁈ 愛理さんの声かと思っていたら私の声じゃない⁈ 私が初めてのオナニーで喘ぐ声。おじいさん鍼灸師の鍼と、このみちゃんのクンニで開発された私の性感! すごい! 不感症だなんて嘲笑われたのは過去の話。私は今や、すごい敏感な躰になっているのだ。
バターン!
鼓膜が破れたかと思った。
体育館の鉄扉が嵐のような強風に煽られ勢いよく閉まったのだ。轟音と同時に体育館全体がぐらりと揺らいだかと思ったら、蜃気楼のように消え去ってしまった。
ハッとして目を上げる。
だ、誰の脚? いやらしい! 膝を立てて淫らに開かれているあの脚‥‥‥。
それが自分のものであることに気づくまで数秒を要した。片手で乳房を掴み、もう片手で花びらと雌しべをなぶっているという、淫らな格好の自分を発見し驚愕した。サキは処女なのになんてはしたないことを……。
「ほら、鏡に手ェ突いて、もっとケツ突き出せよ!」
重量感のある男の怒声に続き、またバターンと轟音が響く。雷鳴のようなそれは体育館の扉じゃなく、壁を叩く音だったんだ。空間がぐらっと揺れた気がした。慌てて股間から手を抜き、脚を閉じる。
「イヤ! そんな大きなの入れないで!」
マジックミラーに両手を突き、後ろにお尻を突き出した全裸のこのみちゃんが視界いっぱいに広がった。その後ろに全裸の男が立っている。胸毛もすね毛もみんな金色。そう、阿久津先輩だ。このみちゃんが後ろに振り返り半泣きで哀願する。顔が真っ赤に高潮し、涙と涎でびちょびちょだ。
私が初オナニーで脱力している間、このみちゃんは部屋に阿久津先輩を招き入れていたのだった。私が見ていた夢はこの二人の濡れ場が刺激源になっていたようだ。
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