第六譚:狐の嫁入り 其の壱
たんと伝わる 昔の話
嘘か誠か 知らねども
昔々の 事なれば
誠の事と 聞かねばならぬ
昔々からの言い伝え、空には太陽が照り日差しが眩しい空から雨が降る不思議な空模様、それは狐の嫁入りと呼ばれるそうな。その雨に紛れて、結婚先に嫁いでゆく狐の嫁御が提灯行列で嫁ぎ先に向かっていくらしい。誰に遠慮する必要も、こそこそ隠れる必要もないのに、狐はそうやって嫁入りをする。そんな風に語り継がれているそうな。
何でも狐は一度選んだ嫁御を後生大事にするそうだから、それは狐の嫁御はさぞかし幸せな心地で嫁入りを楽しんでおることであろう。我々人間がその幸せな嫁入りを目にすることは出来ないが、この狐の嫁入りと呼ばれる日差し眩しい雨降りに出会った者は、他人との
誰に遠慮がいるはずもない幸せな嫁入りを、人目につかぬようにこっそりとするのはなんとも不可思議ではあろうけれども、周囲までをも幸せにするこの狐の嫁入りは、なんとも有難き空模様であることか。
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