「ジェラート」(8月27日)
「はい、どうもー。シンタマカブリでーす」
「よろしくお願いしまーす。拍手ありがとうございまーす。あ、どーもどーも。いま、パピコの先っぽを頂きましたよ」
「ありがたいですねえ。お子さんが母親にくれるアレを我々なんかが貰っちゃっていいんでしょうかねえ」
「違う味のパピコを食べるときに、アレだけ交換して味見したりね」
「サーティワンのテイストスプーンみたいでいいね」
「アイスといえば、最近すごいことに気づいてしまったんだけどさ」
「なにだよ。すごいことって」
「驚かないで聞いてくれよ」
「お、おお」
「絶対に引かないでくれよ」
「わかった。絶対に引いたりしないから。言ってみ?」
「実はさ……、僕がこれまでシャーベットだと思って食べていたものは、ぜんぶジェラートだったんだ」
「……なんて?」
「だからな。僕がこれまでシャーベットだと思って食べていたものは、ぜんぶジェラートだったんだよ!!!」
「…………」
「そこはお前『な、なんだってーー!?』って叫ぶところだろ」
「無理無理無理。そんなハイテンションでリアクションできないって。正直、シャーベットとジェラートの違いがよく分かってないもん。なんなら、俺もこれまで間違って食べてきてる可能性あるもん」
「お前も!? じゃあ、もしかしてジェラートだと思って食べていたものが、ソフトクリームだったことある!?」
「ないないない。それはない。さすがにソフトクリームはわかるって。あんなグルグルに渦を巻いてるデザートはほかにない」
「え? じゃあ、もしかしてかき氷だと思って食べていたものがシャーベットだったこともない?」
「あるわけねえだろ! 氷を削ってるから『かき氷』なんだよ。それだけは間違ってくれるな」
「じゃあ、ソフトクリームだと思って食べていたものが、実は生クリームだったことは?」
「ねえよ! もう冷たくもなくなってるし」
「生クリームだと思って食べていたものが、実はバタークリームだったことは?」
「それは、あるっ!! このケーキはなんで賞味期限が5日もあるんだろうって思ったら正体はバタークリーム!!」
「家で『ピラフだよ』って出されていた食べ物が、実は『洋風味付けご飯炒め』だったことは?」
「あるよ! だってそれはもう、ただの家庭料理あるあるだから! 日本の一般的なご家庭には生米を炒めてからスープで炊き上げるなんて発想がないから」
「カキだと思っていたら、コケラだったことは?」
「仕方ねえだろ。
「タモリさんだと思ってテレビを見ていたら、ジョニー志村さんだったことは?」
「何回もあるよ。『うわっ、タモリさんが出てるなんて珍しい』と思ったら、九分九厘ジョニー志村さんだよ」
「小栗旬さんだと思ってテレビを見ていたら、粗品さんだったことは?」
「それはない。それはないけど、粗品さんだと思ってテレビを見ていたら、おばたのお兄さんだったことはある」
「相方だと思って漫才をしていたら、よく見ると別人だったことは?」
「………………え? ウソだろ?(相方の顔をじっと見つめる)」
「どうも、はじめまして」
「マジで知らん人だ。こわっ!」
【了】
🎤🎤🎤🎤🎤🎤🎤🎤🎤🎤🎤🎤🎤🎤
8月27日は「ジェラートの日」です。
映画『ローマの休日』でアン王女が、スペイン階段でジェラートを頬張るシーンは、ジェラートを世界中の人々に知らしめ、ローマを訪れる観光客の憧れのデザートとなった。
そのことから映画『ローマの休日』がアメリカで公開された1953年(昭和28年)8月27日にちなんで「ジェラートの日」を登録したそうです。
……………………遠くない!?
完結まで残り4本です。
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