「誕生日プレゼント」(8月26日)
「はい、どうもー。シンタマカブリでーす」
「よろしくお願いしまーす。拍手ありがとうございまーす。実は今日、皆さんに一つだけ覚えて帰って欲しいことがありまして」
「あ、そうですね。是非、名前だけでも」
「いや、そんなんはどうでもいいんで、皆さんには今日が僕の誕生日だってことを覚えて帰って貰えればと思うんですね」
「ええぇぇぇ。お前の誕生日の方がどうでもいいよ」
「何を血迷ったことを」
「こっちのセリフだわ」
「もし僕が生まれてなかったら、コンビ名どころか、このコンビも存在しないんだからな」
「それはそうだけど。別に誕生日を覚えてもらう必要はないだろ」
「いやいやいや。誕生日を知らなかったら、誕生日プレゼントをいつ送っていいか分からなくて皆さんがお困りになられるでしょ」
「お前に誕生日プレゼントを贈ろうなんて奇特なお客さんはいないから安心しろ」
「そんなことないって。実際、昨日届いてるんだから」
「なにが?」
「ファンからの誕生日プレゼント」
「…………ウソ!?」
「本当の本当。マジのマジ」
「俺も貰ってないのに、なんでお前だけプレゼントなんか貰っちゃってんのよ」
「僕の方が痩せてるからじゃない?」
「くそっ、ぐうの音もでねえ。ちなみにプレゼントってどんなもの貰ったの?」
「ジグソーパズル」
「ジグソーパズル!? それはまた、珍しいものを頂いたね」
「組み立ててみたら、僕ができた」
「僕ができた? ちょっと意味がわからないんだけど」
「オリジナルジグソーパズルってやつらしいんだけど、写真をそのままジグソーパズルにしてくれるんだって」
「あー、なるほど。世界に一つだけのジグソーパズルってやつか」
「そういうサービスらしい。で、僕の写真をジグソーパズルにしたやつが5つ」
「お前の写真を5つも!?」
「しかも1つ1000ピース」
「なかなか骨太だな。よく1日で組み上げたもんだよ」
「さすがに3つまでしか完成させられなかった」
「3つも!? たぶん送ってくれた人も、そんなハイスピードで攻略されるとは思ってなかったんじゃねえかな」
「しかも、そのうちの1つがメチャクチャ難しくてさ」
「そうなんだ」
「ピースが白と黒しかないの」
「なにそれ。激ムズじゃん。あれ? でも元になってるのってお前の写真だよな」
「そうだよ?」
「モノクロで写真撮ることとかある?」
「そう思うじゃん。それがあったのよ。僕がすんごい小さい頃の写真でモノクロのやつが」
「マジか」
「お前のも多分実家にあるんじゃねえか。ほら、エコー写真」
「エコー写真!?」
「びっくりだよね」
「びっくりって。お前がかーちゃんのお腹の中にいた頃の写真が使われてたってこと? 小さい頃にも程があるだろ」
「そうだよ?」
「いやいやいや。平然とした顔してるけど、お前それがどんだけヤバいことかわかってる?」
「え? どういうこと?」
「なんでお前のファンが、お前のエコー写真を持ってるんだよ」
「そりゃ、僕の熱烈なファンだからに決まってんじゃん」
「どれだけ熱心なファンでも、エコー写真なんか普通は手に入れられないんだって。そいつお前のストーカーかなんかじゃねえの?」
「お前、失礼なこと言うなよな。僕のママに向かって」
「マァーマァー!?」
「そうだよ?」
「さっきからファンって呼んでるのは、まさかお前のかーちゃんのことなの?」
「ママは僕のファン第一号で、デビュー前からずっと応援してくれるからね」
「それはそうかもしれんけど。母親からのプレゼントを『ファンからのプレゼント』にカウントするなよ。っていうか、息子の誕生日にエコー写真をジグソーパズルにしてプレゼントしてくるのも普通に怖いって」
「まあ、確かに。愛されすぎてて怖いよな」
「正直、お前のことも怖くなってきた。もうやめさせてくれ」
【了】
🎤🎤🎤🎤🎤🎤🎤🎤🎤🎤🎤🎤🎤🎤
8月26日は「オリジナルジグソーパズルの日」です。
8(パ)2(ズ)6(ル)が由来なわけですが……、なんと3月3日にも「ジグソーパズルの日」があるんです。
そちらの由来は数字の「3」を裏表で組み合わせるとジグソーパズルのピースの形に見えることから。
記念日って本当に自由ですよねえ。
さあ。残り5本まできましたよー。
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