「年齢確認」(8月24日)
「はい、どうもー。シンタマカブリでーす」
「よろしくお願いしまーす。拍手ありがとうございまーす。はいっ、チャン、チャチャチャン」
「それで拍手止めるとは無理だって。『笑っていいとも』が終わって何年経ったと思ってんだよ」
「そう考えると、僕たちもずいぶん歳を取ったよねえ」
「そりゃあ、まあ。芸歴も長くなってきたしね」
「僕ってちょっと童顔じゃない?」
「言われてみれば、ちょっと年齢不詳な感じするかな」
「それこそ二十代の頃はよく年齢確認とかされてたんだけど、いつの間にか完全にスルーされるようになったもん」
「まあ、三十超えたオジサンを未成年に見間違うことはないからなあ」
「久しぶりに年齢確認されたい」
「はあ?」
「年確されたい」
「意味がわからん」
「とにかく。僕がレジにお酒を持っていくから、お前は年齢確認してくれればいいから」
「お、おう。仕方ねえな」
「これください」
「ピッ、ピッ、ピッ。あ、こちらお酒ですね。年齢が確認できる身分証はお持ちですか?」
「え? え? もしかして、これって年齢確認?」
「そう言ってんだろ」
「ちなみに僕っていくつくらいに見える?」
「めんどくせっ。年齢を確認してんだから、
「まあまあ。そう怒らないでよ。あー、でも身分証って何があればいいんだっけ」
「多いのは運転免許証じゃないか」
「あー、ね。でも僕、運転免許証が失効しちゃったんだよなあ」
「失効したの!? 初耳なんだけどっ」
「更新行くの、すっかり忘れてた」
「どうしようもねえな」
「ほかには身分証ってなにが使える?」
「マイナンバーカードとか」
「通知書貰ってから届けだしてない」
「運転免許証を失効するヤツはそうだろうな。あとはパスポートも使えるけど」
「コンビニ行くときにパスポート持っていくやつはいないでしょ」
「だよなあ。じゃあ在留カード出して」
「持ってないよ。なに? 僕のこと在留外国人だと思ってたの?」
「どっちかっていうと東南アジア系の顔してるから、もしかしたらって」
「こちとら東京生まれJ-POP育ちだわ」
「 悪そうな奴は大体苦手だもんな」
「じゃあ……、あれは? タスポカード」
「めちゃくちゃ懐かしいな。タバコの自販機用のカードじゃん。最近はタバコの自販機がすっかり減って出番がなくなっちゃったカードじゃん。よくそんな珍しいカード持ってたね」
「いや、持ってはないんだけど」
「じゃあ、なんで言ったし」
「あっれえ? 年齢確認ってこんなに難しかったっけ」
「だいたい年齢確認なんて面倒でしかないんだから、聞かれずに済むならそれに越したことはないんだよ」
「じゃあ、次は僕が年齢を確認する方やるから」
「もうやめさせてくれ」
【了】
🎤🎤🎤🎤🎤🎤🎤🎤🎤🎤🎤🎤🎤🎤
8月24日は「愛酒の日」です。
お酒を愛した歌人・若山牧水の誕生日なんですって。
知らないお方だったので調べてみたところ……、
-------------------
大変な酒豪(またはアルコール依存症)としても知られ、1日に1升の酒を飲んでいたという。死因は肝硬変である。
-------------------
絶対に真似しちゃダメな人だった!!
さあ。残り7本! 1週間で終わりですよ!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます